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20.長男side
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「ねぇ、お兄様。王家って邪魔だと思いませんか?」
第三子にして、長女の妹が、とんでもないことを言い出した。
「かと言って、無くなってしまうと国が混乱して大変でしょうし……」
物騒なことを口にする。
何があったんだ、妹よ。
「悩ましい問題ですわね」
「……どうしたんだ?急に……何か、あったのか?」
「ええ、ちょっと」
微笑む妹だが、目は全く笑っていない。
若干、周囲の気温が下がった気がしたのは気のせいだろうか? いや、気のせいではないな。
「人様の獲物を横取りするのは王族として如何なものかと」
「……は?」
「王女殿下に婚約者がいらっしゃらないことが原因だと、私は思うんですよね」
妹の言い分はこうだ。
自分が目を付けていた侯爵子息にちょっかいを出し始めている。
会話をしていたら急に割り込んで来て、勝手に話し始める王女にイラっとしてしまう。
度重なる身勝手な王女のイライラが募ってつい、先日のパーティーで王女が頭空っぽのバカ女だということをさり気無く暴露してしまったらしい。もっとも、誘導した感じなのでバレてはいない。
「そもそも他国の貴族との会話にまで割り込む方が悪いんです」
「……まぁ、そうだな」
「しかも、私達は相手に合わせてその方の国の公用語で会話してましたのよ?勝手に割り込んで『この国の言語で会話しなさい』は、あんまりですわ」
王女は無知をさらけ出したようだ。
他国の貴族に、自国の言語で会話しろと命令したのだから。
「しかも、その国の言語は我が国の言語より簡単なんですのよ?」
「そうだな」
「なのに、『私、外国語が苦手』ですって。……どの口が言っているのか。この国の最大輸出国に対して、馬鹿なの、と言いそうになってしまったわ」
妹よ。
王女に対して辛辣だな。
そういえば、姉妹でコイバナが流行っていると弟が教えてくれた。
長女は侯爵家の嫡男に惚れ込んでいるから、と。
恋敵だからか?
「あれでは他国に嫁がすなんて無理でしょうし、我が国の貴族に降嫁ということになりそうですわね。私としては少し前にいた王女殿下のように出奔してくださるのが一番良いのですが……」
やばい。
邪魔な王女を行方不明にしたい、と聞こえてしまう。
実行しそうで怖い。
ここは穏便に、な?
「王女殿下に関しては留学という形をとった方が良いだろう。外の世界を知るいい機会でもあるしな。父上を通して王家に進言しておこう」
「まぁ、お兄様。ありがとうございます!そうですわ、ついでに他国の言語も学べる環境を作れば一石二鳥ですわね!」
「そ、そうだな」
妹よ。
その笑顔が怖いのだが……。
頼むから、暴走するなよ?
三ヶ月後、王女は海の向こう側の大陸に留学した。
遠方すぎないか?と疑問に思ったものの、王族会議で決まったことらしい。
近い国よりも遠い国の方が、王女も甘えずに勉学に励むだろう、と。
王女にとっていい経験になるだろう。
そして、妹よ。
なぜ、そんなにも黒い笑みを浮かべるのだ?妹よ。
一年後、王女は留学先の国の貴族と婚姻を結んだ。
文化的に馴染めるのか?と誰もが首を傾げたが、案外うまくやっているらしい。
あの王女がなぁ……。
おかげでスパイスの輸入価格が下がった。
貿易の関税も下げられたし、良いこと尽くめだ。
ちなみに、王女が嫁いだ国とは友好な関係を築いている。
文化の違いか、互いの国民性か。
少しばかり戸惑うこともあるが、概ね平和な関係が続いている。
良いこと、のはずだ。
それなのに、妹よ。
何故、そんな黒い笑みを浮かべるんだ?
薄っすらと笑うのはよせ!
「お兄様は、そのままでいてくださいね」
「?」
にっこりと笑う妹。
妹が何を言っているのか、さっぱり分からない。
しかし、妹よ。
そんな目で人を見るんじゃない!
怖いじゃないか!
頼むから、その目をやめてくれ!!
僕の平穏が崩れる音がするだろう!!!
第三子にして、長女の妹が、とんでもないことを言い出した。
「かと言って、無くなってしまうと国が混乱して大変でしょうし……」
物騒なことを口にする。
何があったんだ、妹よ。
「悩ましい問題ですわね」
「……どうしたんだ?急に……何か、あったのか?」
「ええ、ちょっと」
微笑む妹だが、目は全く笑っていない。
若干、周囲の気温が下がった気がしたのは気のせいだろうか? いや、気のせいではないな。
「人様の獲物を横取りするのは王族として如何なものかと」
「……は?」
「王女殿下に婚約者がいらっしゃらないことが原因だと、私は思うんですよね」
妹の言い分はこうだ。
自分が目を付けていた侯爵子息にちょっかいを出し始めている。
会話をしていたら急に割り込んで来て、勝手に話し始める王女にイラっとしてしまう。
度重なる身勝手な王女のイライラが募ってつい、先日のパーティーで王女が頭空っぽのバカ女だということをさり気無く暴露してしまったらしい。もっとも、誘導した感じなのでバレてはいない。
「そもそも他国の貴族との会話にまで割り込む方が悪いんです」
「……まぁ、そうだな」
「しかも、私達は相手に合わせてその方の国の公用語で会話してましたのよ?勝手に割り込んで『この国の言語で会話しなさい』は、あんまりですわ」
王女は無知をさらけ出したようだ。
他国の貴族に、自国の言語で会話しろと命令したのだから。
「しかも、その国の言語は我が国の言語より簡単なんですのよ?」
「そうだな」
「なのに、『私、外国語が苦手』ですって。……どの口が言っているのか。この国の最大輸出国に対して、馬鹿なの、と言いそうになってしまったわ」
妹よ。
王女に対して辛辣だな。
そういえば、姉妹でコイバナが流行っていると弟が教えてくれた。
長女は侯爵家の嫡男に惚れ込んでいるから、と。
恋敵だからか?
「あれでは他国に嫁がすなんて無理でしょうし、我が国の貴族に降嫁ということになりそうですわね。私としては少し前にいた王女殿下のように出奔してくださるのが一番良いのですが……」
やばい。
邪魔な王女を行方不明にしたい、と聞こえてしまう。
実行しそうで怖い。
ここは穏便に、な?
「王女殿下に関しては留学という形をとった方が良いだろう。外の世界を知るいい機会でもあるしな。父上を通して王家に進言しておこう」
「まぁ、お兄様。ありがとうございます!そうですわ、ついでに他国の言語も学べる環境を作れば一石二鳥ですわね!」
「そ、そうだな」
妹よ。
その笑顔が怖いのだが……。
頼むから、暴走するなよ?
三ヶ月後、王女は海の向こう側の大陸に留学した。
遠方すぎないか?と疑問に思ったものの、王族会議で決まったことらしい。
近い国よりも遠い国の方が、王女も甘えずに勉学に励むだろう、と。
王女にとっていい経験になるだろう。
そして、妹よ。
なぜ、そんなにも黒い笑みを浮かべるのだ?妹よ。
一年後、王女は留学先の国の貴族と婚姻を結んだ。
文化的に馴染めるのか?と誰もが首を傾げたが、案外うまくやっているらしい。
あの王女がなぁ……。
おかげでスパイスの輸入価格が下がった。
貿易の関税も下げられたし、良いこと尽くめだ。
ちなみに、王女が嫁いだ国とは友好な関係を築いている。
文化の違いか、互いの国民性か。
少しばかり戸惑うこともあるが、概ね平和な関係が続いている。
良いこと、のはずだ。
それなのに、妹よ。
何故、そんな黒い笑みを浮かべるんだ?
薄っすらと笑うのはよせ!
「お兄様は、そのままでいてくださいね」
「?」
にっこりと笑う妹。
妹が何を言っているのか、さっぱり分からない。
しかし、妹よ。
そんな目で人を見るんじゃない!
怖いじゃないか!
頼むから、その目をやめてくれ!!
僕の平穏が崩れる音がするだろう!!!
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