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~外伝 運命を捻じ曲げられた女人たち~
第115話とある人事異動~伊勢の斎宮 常陸の宮の姫(末摘花)~
しおりを挟む「源氏の君」
「常陸の宮の姫君です。私も姫君について伊勢に参ります!」
「なんで?」
「常陸の宮の姫君は、と~~~~ても奥手で人見知りが激しい方なんです。今時珍しいほどの慎ましい姫なんですもの。宮家のお育ちのせいか、物凄くおっとりなさった性質で、ああいう姫君には私みたいにしっかりした者が傍で守ってさし上げないと、とんでもない事になるに違いありません。
よからぬ男にいい寄られて捨てられたり、遊びで相手にされた挙句に血筋だけはいいと妻の一人にされたり、器量があまり良くない事に憐れまれて『お世話してあげよう』と上から目線の男の何番目かの妻にされて他の妻達の笑いものにされたりしますわ」
えっ!?具体的すぎない?
「既に被害にあったの?」
「まあ!源氏の君、私が居る限り、姫君をそんな目にあわせたりするもんですか!
男達は見る目が無いんです。器量だって平均以下なだけで醜女という訳ではないです!
大事に育てられ過ぎて、初対面の人やそれに近い人には赤ら顔になるだけ。それがまた可愛らしいんですけどね。トマトのように真っ赤な顔で、食べちゃいたいくらい!」
なるほど。
危険人物は、命婦本人か。僕の乳兄弟だからね。性犯罪でしょっ引かれるのはちょっと不味い。
「源氏の君、何か私に対しておかしな事を考えていませんか?」
「ハッハッハ。マサカソンナ……」
なんで心の声が聞こえんるんだよ!
こわっ!!
まあ、早い話が命婦は伊勢で意中の姫君と新婚生活を満喫したいという事か。今のところ同性婚は出来ないけど、事実婚は可能だもんな。まさに恋に生きる平安時代。現代よりも自由恋愛が推奨されている。
僕も乳兄弟の門出を祝って、結婚の祝い金を奮発しよう!
こうして、宮中の花と謳われた命婦は愛する姫君と共に伊勢に向かう事になった。
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