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~輝く日の宮の章~
第75話閑話 藤の中納言side
しおりを挟む四の君の常軌を逸した行動や気性の激しさを知った上で求婚してくる強者である二の宮が右大臣家を訪れた。噂通りの美しい美少年で家族一同驚愕したものだ。
「本当に四の君に求婚をしているのか?」
「もしや、四の君が怪しげな術でも使って操っているのではあるまいか?」
「いや、四の君は専ら攻撃系だろ。人を操る様な繊細な術は無理では?」
「なら……何か弱みでも握られているのか?」
弟達がヒソヒソと会話している。聞こえているぞ。周りを見ろ!女房達に囲まれている。この屋敷を生きて出たければ「右大臣家の姫君」の悪口はいうな!
私達の憶測はいい意味で裏切られた。
二の宮はニコニコと四の君の隣に座り口説き始めた。
どうやら二の宮が四の君に惚れているのは本当のようだ。
「父上はああいったが……真実を知らないのではないか?」
「四の君のアレを本当に知っているのか?」
「アレを知っていても見た事がないから実感が湧かないのでは?」
不安を煽るな、弟達よ。
だが、それも杞憂だった。
二の宮は四の君の『蟲毒』を見ても全く動じず、「四の君凄い!これで浮気野郎も瞬殺だ!」と応援していた。というより、誰に使用する物なのかも知っていた。一部始終見ていた弟達は「あああ~~~」と頭を抱えながらも納得した。
「女人の好みが尋常ではない」
右大臣家の男達(父上除く)の見解だった。
しかも、四の君に「浮気野郎に使って!これで調教だ!」と見たことの無い縄?のような物を渡していた。
後日、四の君が頭の中将に使用している姿を嫌でも見る事になるのであった。
この一件で“二の宮と四の君を結婚させてはいけない”と兄弟の意見は一致した。妹を所行を知ってなお求婚してくれるのは兄として喜ばしい事だが、四の君を止めてくれない処か煽って応援する婿など御免被る。ヤバすぎる妹が更に進化しそうで恐ろしい。
幸い、四の君は二の宮と結婚する気はない。
ここは、父上から二の宮に引導を渡してくれれば事は穏便に終わる。
なに、言い訳など幾らでもある。
四の君の方が年上だし、人妻だ。それを抜きにしても右大臣家と左大臣家の政略結婚だ。重要性を解けば納得してくださるだろう。
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