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~藤壺の章~

第95話お見舞い品

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実の兄のとばっちりを食らった可愛そうな藤壺の女御のために、僕はお見舞いの品を用意した。

春画エロ本』。

男女、男男、女女、バリエーションが豊富できっと喜ぶだろう!
だって、藤壺の女御のために頑張って作ったんだから!


「大輔の命婦、これもっていって~」


乳姉妹の一人であり僕付の女房にお願いする。内裏での事は流石に、惟光には、お願いはできないからね。
結果、大輔の命婦がになった。
あ、やっぱり?
そんな気がしたんだよね~。
彼女、華やかな美女で恋多き女性として有名だけど、茶目っ気たっぷりの姉御気質だからね~。隠してるようだけど女性からもモテるんだよ。美女と誉れ高い式部といい雰囲気なのも知ってるよ~。
だから春画と漫画を彼女に教えておいた。これで女性との恋愛もいけるでしょう。

僕っていい子! 

数百年先の芸術と文化を先取りするなんて!と喜んでいたら、大輔の命婦によって後宮は腐女子の巣窟となった。おっかし~~~~。

あれ?
惟光どうしたの?
顔色が土色になってるよ?

「ああ……あががががががが」

突然、奇声を発した後に惟光はぶっ倒れて運ばれていった。

どうしたんだろう???

兄上から「惟光を労わってあげなさい」と言われちゃった。
あれ?
こき使いすぎてたのかな?
気をつけないといけないな、と兄上に話したら、頭をなでなでしてくれた。
あぁ~兄上のなでなでは相変わらず気持ちいいな~。


藤壺女御にプレゼントした春画エロ本はとても気に入ってくれたようで、しばらく雲林院うんりんいん参篭さんろうすることになったようだ。うんうん、こんな空気の悪い桐壺帝の後宮にいるよりずっといいよね。夫には相手にされないわ、皇女でござれと入内してきても『内裏の主』は弘徽殿女御だもん。
しかも兵部卿の馬鹿宮が「いずれ妹宮は中宮になり東宮を産み落とす」なんて言っちゃうもんだから、内裏中の女を全て敵にまわしちゃったよ。弘徽殿の女御と東宮の兄上がいる以上、僕がそんなこと許すわけないでしょう。


でも、騒動が起こった。
なんと藤壺女御が懐妊したのだ(何故!?)。
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