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プロローグ
しおりを挟む「大変です!!!
ヘッセン公爵令嬢が……アレクサンドラ様が……アレクサンドラ様が、自死あそばされました!!!」
筆頭公爵家の令嬢。
アレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
王姉を母に持つ公爵令嬢は、血筋も、家柄も、美しさも、教養も、なにもかも申し分ない当代一の令嬢である。
その令嬢が自死を図ったのだ。
衝撃は王城に留まらず、王国中に知れ渡ることになった。
令嬢は、自室の寝室で毒杯を呷った。
何故、公爵令嬢がそのような事をしたのか。
それには理由があった。
婚約者からの婚約破棄が原因であることは誰の目から見ても明白である。
アレクサンドラの婚約者は、自国の王太子。
二人の婚約は政略的なものであったが、それ以上に、アレクサンドラ以外に王妃に相応しい令嬢がいなかったことも理由だった。
また、王太子の後ろ盾を盤石なものにするためのものでもある。
側妃腹の王太子だ。
母親である側妃の実家は伯爵家。親族にも、これといって優れた者もおらず、なにかと心細い有様だった。
国王も姪であるアレクサンドラを大層可愛がっており、二人が同じ年齢である事も有利に働き、婚約が成立したのである。
それが突如、夜会で婚約破棄を宣言されたのだ。
しかも、王太子とその側近達により罪人として罰されたのだ。
勿論、冤罪である。
だが、運が悪い事に、その場には国王もヘッセン公爵もいなかった。
王太子の命令で、アレクサンドラは近衛兵達に取り囲まれる寸前だった。それを、アレクサンドラの腹心の侍女が機転をきかせた事によって、アレクサンドラは無事に夜会から救い出された。
本来であれば、筆頭公爵令嬢に冤罪をかけた者達が処罰されて終わりになるはずであった。
アレクサンドラが自ら毒杯を呷ったと聞かされるまでは、誰もがそう考えていたのだ。
王太子の乱心、もしくは奸計によって図られたのか、と憶測された。
もしくは王家を知り過ぎた故に自ら命を絶つ行為をしたのではないか、とも噂された。
どうにか一命を取り止めたものの、一向に目を覚ます気配がない公爵令嬢に、自国の民のみならず、他国の者達も、彼女に同情を寄せた。
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