1 / 37
プロローグ
しおりを挟む「大変です!!!
ヘッセン公爵令嬢が……アレクサンドラ様が……アレクサンドラ様が、自死あそばされました!!!」
筆頭公爵家の令嬢。
アレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
王姉を母に持つ公爵令嬢は、血筋も、家柄も、美しさも、教養も、なにもかも申し分ない当代一の令嬢である。
その令嬢が自死を図ったのだ。
衝撃は王城に留まらず、王国中に知れ渡ることになった。
令嬢は、自室の寝室で毒杯を呷った。
何故、公爵令嬢がそのような事をしたのか。
それには理由があった。
婚約者からの婚約破棄が原因であることは誰の目から見ても明白である。
アレクサンドラの婚約者は、自国の王太子。
二人の婚約は政略的なものであったが、それ以上に、アレクサンドラ以外に王妃に相応しい令嬢がいなかったことも理由だった。
また、王太子の後ろ盾を盤石なものにするためのものでもある。
側妃腹の王太子だ。
母親である側妃の実家は伯爵家。親族にも、これといって優れた者もおらず、なにかと心細い有様だった。
国王も姪であるアレクサンドラを大層可愛がっており、二人が同じ年齢である事も有利に働き、婚約が成立したのである。
それが突如、夜会で婚約破棄を宣言されたのだ。
しかも、王太子とその側近達により罪人として罰されたのだ。
勿論、冤罪である。
だが、運が悪い事に、その場には国王もヘッセン公爵もいなかった。
王太子の命令で、アレクサンドラは近衛兵達に取り囲まれる寸前だった。それを、アレクサンドラの腹心の侍女が機転をきかせた事によって、アレクサンドラは無事に夜会から救い出された。
本来であれば、筆頭公爵令嬢に冤罪をかけた者達が処罰されて終わりになるはずであった。
アレクサンドラが自ら毒杯を呷ったと聞かされるまでは、誰もがそう考えていたのだ。
王太子の乱心、もしくは奸計によって図られたのか、と憶測された。
もしくは王家を知り過ぎた故に自ら命を絶つ行為をしたのではないか、とも噂された。
どうにか一命を取り止めたものの、一向に目を覚ます気配がない公爵令嬢に、自国の民のみならず、他国の者達も、彼女に同情を寄せた。
580
お気に入りに追加
4,859
あなたにおすすめの小説
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
比べないでください
わらびもち
恋愛
「ビクトリアはこうだった」
「ビクトリアならそんなことは言わない」
前の婚約者、ビクトリア様と比べて私のことを否定する王太子殿下。
もう、うんざりです。
そんなにビクトリア様がいいなら私と婚約解消なさってください――――……
彼女は彼の運命の人
豆狸
恋愛
「デホタに謝ってくれ、エマ」
「なにをでしょう?」
「この数ヶ月、デホタに嫌がらせをしていたことだ」
「謝ってくだされば、アタシは恨んだりしません」
「デホタは優しいな」
「私がデホタ様に嫌がらせをしてたんですって。あなた、知っていた?」
「存じませんでしたが、それは不可能でしょう」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる