18 / 24
18.ダニエル(兄)side
しおりを挟む
早朝、先王陛下が王宮に戻られた。
真偽のほどを確かめるために。
父上も一緒だ。
その結果、現国王とその側近はまとめて謹慎処分を受けた。
上級妃であるシャーロット・カールストン侯爵令嬢に、知らなかったとはいえ冤罪を着せ己の側近に下賜したのだ。
シャーロットに冤罪を被せた妃達は軒並み後宮から追い出された。
首謀者は上級妃だ。それを止めもせずに追随した他の妃達も同罪と判断され、それぞれの実家に戻された。
国王陛下の寵妃である下級妃に対する嫌がらせ。
それがシャーロットに着せられた罪状であったが、下級妃よりもシャーロットのほうがより悪質な嫌がらせを受けていたことが判明した。
「今の陛下は無能だな」
思わず呟いてしまった私は悪くないと思う。
だってそうだろう?
シャーロットは被害者だ。なのに加害者にされたうえ、まともに調べもしなかったというではないか。
首謀者が幼馴染だったから?
公爵令嬢だったから?
親しくしていたから?
だからなんだ!!
そんなくだらない理由で無実のシャーロットを罪人扱いするんじゃない!!
国王陛下は、妃達のそれに気付かなかった。
この時点で、王としての資質を疑われても仕方ない。
実際に他の貴族達からそのように見られている。
国王陛下は、『無能』の烙印を押された。
それでも退位させないのは、今現在、他国との戦争の兆しもなく、国内の情勢も落ち着いているからだ。
隣国と緊張状態にあり、いつ開戦となるか分からない状況だったなら、とっくに更迭されているだろうに……。
あとは、まだ若い。
再教育すればどうにかなると判断されたためだ。
まだやり直せると――――
王家から莫大な慰謝料がシャーロットに支払われた。
先の国王自ら、シャーロットに謝罪してくださった。
後宮から追い出された妃達。
彼女達の実家もまた、シャーロットに多額の賠償金を払わなければならなくなった。
なかには爵位を取り上げられた家もあるようだ。
自業自得だ、馬鹿め。
こうして、シャーロットは侯爵家に戻って来たわけだが、問題はここから先にある。
シャーロットの婚姻が無効にならなかった。
王命での婚姻。
既に神殿に婚姻届けを出している。
その二点を踏まえて、婚姻無効は三年後。
つまり、三年待たないと離縁できない。
ふざけている。
真偽のほどを確かめるために。
父上も一緒だ。
その結果、現国王とその側近はまとめて謹慎処分を受けた。
上級妃であるシャーロット・カールストン侯爵令嬢に、知らなかったとはいえ冤罪を着せ己の側近に下賜したのだ。
シャーロットに冤罪を被せた妃達は軒並み後宮から追い出された。
首謀者は上級妃だ。それを止めもせずに追随した他の妃達も同罪と判断され、それぞれの実家に戻された。
国王陛下の寵妃である下級妃に対する嫌がらせ。
それがシャーロットに着せられた罪状であったが、下級妃よりもシャーロットのほうがより悪質な嫌がらせを受けていたことが判明した。
「今の陛下は無能だな」
思わず呟いてしまった私は悪くないと思う。
だってそうだろう?
シャーロットは被害者だ。なのに加害者にされたうえ、まともに調べもしなかったというではないか。
首謀者が幼馴染だったから?
公爵令嬢だったから?
親しくしていたから?
だからなんだ!!
そんなくだらない理由で無実のシャーロットを罪人扱いするんじゃない!!
国王陛下は、妃達のそれに気付かなかった。
この時点で、王としての資質を疑われても仕方ない。
実際に他の貴族達からそのように見られている。
国王陛下は、『無能』の烙印を押された。
それでも退位させないのは、今現在、他国との戦争の兆しもなく、国内の情勢も落ち着いているからだ。
隣国と緊張状態にあり、いつ開戦となるか分からない状況だったなら、とっくに更迭されているだろうに……。
あとは、まだ若い。
再教育すればどうにかなると判断されたためだ。
まだやり直せると――――
王家から莫大な慰謝料がシャーロットに支払われた。
先の国王自ら、シャーロットに謝罪してくださった。
後宮から追い出された妃達。
彼女達の実家もまた、シャーロットに多額の賠償金を払わなければならなくなった。
なかには爵位を取り上げられた家もあるようだ。
自業自得だ、馬鹿め。
こうして、シャーロットは侯爵家に戻って来たわけだが、問題はここから先にある。
シャーロットの婚姻が無効にならなかった。
王命での婚姻。
既に神殿に婚姻届けを出している。
その二点を踏まえて、婚姻無効は三年後。
つまり、三年待たないと離縁できない。
ふざけている。
1,309
お気に入りに追加
2,164
あなたにおすすめの小説

婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
あなたの姿をもう追う事はありません
彩華(あやはな)
恋愛
幼馴染で二つ年上のカイルと婚約していたわたしは、彼のために頑張っていた。
王立学園に先に入ってカイルは最初は手紙をくれていたのに、次第に少なくなっていった。二年になってからはまったくこなくなる。でも、信じていた。だから、わたしはわたしなりに頑張っていた。
なのに、彼は恋人を作っていた。わたしは婚約を解消したがらない悪役令嬢?どう言うこと?
わたしはカイルの姿を見て追っていく。
ずっと、ずっと・・・。
でも、もういいのかもしれない。

愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
婚約破棄を、あなたのために
月山 歩
恋愛
私はあなたが好きだけど、あなたは彼女が好きなのね。だから、婚約破棄してあげる。そうして、別れたはずが、彼は騎士となり、領主になると、褒章は私を妻にと望んだ。どうして私?彼女のことはもういいの?それともこれは、あなたの人生を台無しにした私への復讐なの?
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

白い結婚をめぐる二年の攻防
藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」
「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」
「え、いやその」
父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。
だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。
妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。
※ なろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる