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番外編~ダフネス男爵家の崩壊~
54.ダフネス男爵side
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「なんで!?なんであの娘が王都に!?」
後妻は酷く驚いていた。
「何故って……。貴族だからに決まっているだろう?」
この後妻は何を言っているんだ?
「貴族全員が入学する訳じゃないでしょ!?」
「それはそうだが。エリカは跡取り娘だ。王立学園で学んだ方が将来の役に立つだろう?」
「あ、跡取りですって!?あの娘が!!?」
「そうだ」
私は何かおかしな事を言っただろうか?
後妻は愕然としていた。
「で、でもあの娘は女の子で……うちには息子がいるじゃない!?普通は男の子が後を継ぐもんでしょ!?」
「それはそうだが……」
「なら!」
「先々の事を考えればエリカが後を継いだ方が良い。両親揃って貴族出身ならば、後々も問題はない」
「だ、だけど……」
「それに……。エリカはリンスレットに似て美人だ。きっと引く手数多だろう。次男、三男あたりに婿入りしてもらえればいいが。学園在籍中に良い人と出会わなければ伝手を使って見合いしてもいい」
「……!?!?」
後妻は何故か狼狽えている。何か変な事を言っただろうか?口をパクパクさせて声にならない声を出している。何が言いたいのだろう?最初からそれを条件に結婚した筈だ。それなのに何故?と疑問に思った。
私はこの時、深く考えなかった。
翌日、高利貸しがやって来た。
高利貸しは不機嫌な顔を隠しもしなかった。
「男爵、どういうことですか?息子がいるのに女に家を継がせるとは?」
「そのままですが?」
「女では貴族社会で舐められるでしょう」
「母親が高利貸しの平民出身の方が貴族社会で舐められると思いますが?」
「っ~~~~~!?し、失礼だろう!!」
「? 何を怒っているのですか?本当の事ではありませんか」
「本当の事でも言って良い事と悪い事がある!!」
「現実を考えればそうです」
「男爵はアシアの子供達が可愛くないのですか!?」
「我が子ですから。可愛いですよ」
「なら!」
「可愛いからこそ、成人した暁には男爵籍から除籍し、平民にする予定です」
「なっ!?」
「貴方が何を怒っているか判りませんが……。下の子供達はマナーや勉強を嫌っています。あの調子だと王立学園に入ったところで周囲についていけないでしょう。幸い、長女のエリカは貴族のマナーは最低限ですができます。妻が生前に合間を縫って教え込んでいた様ですから」
「先妻が……!?」
「貴族社会で生きていくのであれば、片親が平民というのはハンデになりかねます。うちはしがない男爵家ですから。息子は体を動かす事が好きな様なので将来は軍に入らそうと考えていますが、問題は次女の方ですね。できれば商人に嫁がそうと考えているところですが……」
「ふざけるな!そんな事は認めない!」
「そう言われましても……。平民として生きる方が二人のためですよ?」
「煩い!孫たちは貴族だ!貴族として生きさせる!!」
高利貸しは顔を真っ赤にして唾を飛ばしながら激昂する。
何故、そう怒るのか。訳が分からない。
その後も話は平行線のまま。
しびれを切らした高利貸しが帰るまで続いた。
後妻は酷く驚いていた。
「何故って……。貴族だからに決まっているだろう?」
この後妻は何を言っているんだ?
「貴族全員が入学する訳じゃないでしょ!?」
「それはそうだが。エリカは跡取り娘だ。王立学園で学んだ方が将来の役に立つだろう?」
「あ、跡取りですって!?あの娘が!!?」
「そうだ」
私は何かおかしな事を言っただろうか?
後妻は愕然としていた。
「で、でもあの娘は女の子で……うちには息子がいるじゃない!?普通は男の子が後を継ぐもんでしょ!?」
「それはそうだが……」
「なら!」
「先々の事を考えればエリカが後を継いだ方が良い。両親揃って貴族出身ならば、後々も問題はない」
「だ、だけど……」
「それに……。エリカはリンスレットに似て美人だ。きっと引く手数多だろう。次男、三男あたりに婿入りしてもらえればいいが。学園在籍中に良い人と出会わなければ伝手を使って見合いしてもいい」
「……!?!?」
後妻は何故か狼狽えている。何か変な事を言っただろうか?口をパクパクさせて声にならない声を出している。何が言いたいのだろう?最初からそれを条件に結婚した筈だ。それなのに何故?と疑問に思った。
私はこの時、深く考えなかった。
翌日、高利貸しがやって来た。
高利貸しは不機嫌な顔を隠しもしなかった。
「男爵、どういうことですか?息子がいるのに女に家を継がせるとは?」
「そのままですが?」
「女では貴族社会で舐められるでしょう」
「母親が高利貸しの平民出身の方が貴族社会で舐められると思いますが?」
「っ~~~~~!?し、失礼だろう!!」
「? 何を怒っているのですか?本当の事ではありませんか」
「本当の事でも言って良い事と悪い事がある!!」
「現実を考えればそうです」
「男爵はアシアの子供達が可愛くないのですか!?」
「我が子ですから。可愛いですよ」
「なら!」
「可愛いからこそ、成人した暁には男爵籍から除籍し、平民にする予定です」
「なっ!?」
「貴方が何を怒っているか判りませんが……。下の子供達はマナーや勉強を嫌っています。あの調子だと王立学園に入ったところで周囲についていけないでしょう。幸い、長女のエリカは貴族のマナーは最低限ですができます。妻が生前に合間を縫って教え込んでいた様ですから」
「先妻が……!?」
「貴族社会で生きていくのであれば、片親が平民というのはハンデになりかねます。うちはしがない男爵家ですから。息子は体を動かす事が好きな様なので将来は軍に入らそうと考えていますが、問題は次女の方ですね。できれば商人に嫁がそうと考えているところですが……」
「ふざけるな!そんな事は認めない!」
「そう言われましても……。平民として生きる方が二人のためですよ?」
「煩い!孫たちは貴族だ!貴族として生きさせる!!」
高利貸しは顔を真っ赤にして唾を飛ばしながら激昂する。
何故、そう怒るのか。訳が分からない。
その後も話は平行線のまま。
しびれを切らした高利貸しが帰るまで続いた。
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