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39.とある近衛騎士side
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「はぁ~~~~!?物資が届かない!?どういうことだよ!」
「どういうことだって?それはコッチのセリフさ」
「なんだと!?ただの武器商人の癖に!」
「ああ、ただの武器商人さ。だがな、商人だからこそ売る客を選べるのさ」
「なんだと!?」
「まぁ、お前さん達に売るものは何もないってことだ」
「き、きさま……!」
「近衛騎士っていうのは喧嘩売る相手が誰なのか分かっちゃいねぇな。流石は王都育ちのボンボンだ!口だけは達者だな!」
横から口を出してきたガタイのデカい男をギロリと睨む。
「いきなりなんだ!失礼だろう!?」
「ああ。すまないな。あんたらが実にみっともないからよ、ついつい口が動いちまったぜ」
「な、な、き、聞き捨てならない!!」
「おっと。これくらいのことで熱くなるなんて。まるで物忘れの激しいジジィのようだぜ」
「なん……だと……」
「ん?俺は変なこと言ったか?事実だろう?なぁ?」
「こ、こやつを捕らえろ!!近衛騎士に逆らったらどのような目に遭わされるか……ぐわっ!?」
侮辱されて頭に血が上っていた。だから同僚や部下達と共にガタイの良い男に殴り掛かった。短気なのが玉に瑕だと上司に言われていたが、そんなものは関係ない。これは俺だけの問題じゃない。近衛騎士団全体の問題だ!そうだろ?栄えある近衛が一介の冒険者風情に謂れのない侮辱を受けたんだ。手打ちにされても文句は言えまい! そう思って襲い、地面に転がされた。
え?一瞬だった。
「なんだその弱い拳は?」
俺は目を疑った。馬鹿な!?手を抜いていたというのか?部下も一瞬で打ち倒されたってのか!?一人で十人以上はいた筈だぞ!しかも片っ端からあっという間に!嘘だろ!?俺達よりも数倍の速さと強烈な蹴りを喰らった。
「ぎゃぁぁぁぁ~~!!」
「痛い痛い!」
「あ、あ……」
「あ……うう……は、歯が……」
「う…………」
大半が気絶している。
なんとか意識のある奴らは呻き声と悲鳴を上げていた。
「ヤレヤレ。近衛ってのは思ったよりもずっと弱っちいなぁ」
なんだと!?訂正しろ!そう叫びたくとも朦朧とする意識ではまともに声が出せなかった。辛うじて目を開けているのが精一杯だ。
「これに懲りたら自分達よりも強い相手には喧嘩を売らないこった!これ、冒険者の生き残る知恵ってやつだねぇ。ま、命の危険に晒せれない近衛ちゃん達には分かんないかぁ~~~」
「理解していたら侯爵家や辺境伯家に喧嘩なんか売らないでしょうよ」
「そりゃそうだ!ガハハハッ!!!」
「弱い者は弱いなりの戦い方があるっていうのに。宮廷貴族出身はそれが分かってないのかね」
「アホだなぁ。普段何言ってもスルーしてくれるからって何時までもソウだとは限らねぇってのに」
「今回は侯爵家にも喧嘩売ってるからね。救いようがないよ」
「あ、そりゃあダメだ!アホすぎる!!」
冒険者と商人の二人が倒れた騎士達の前で悪態をつく。
俺達は屈辱を刻み込まれた。
今まで相手にもしてこなかった冒険者風情にだ!それが悔しくてならない。誇りある近衛騎士団のこの俺にこんな事をしてタダで済むと思うなよ!!汚されたプライドを取り戻すためにも、俺は初めて近衛騎士団長に直談判した。
そして俺達全員が謹慎処分と降格処分を受けた。
何故だ!!?? 納得いかない!しかも減給までされた!
俺達は納得できず、上司に食って掛かったが「これ以上恥を掻かせるな!!」と殴られた。何故だ!何故誰も分ってくれないんだ!?俺達は正しい事をしようとしたんだぞ!?なのにこの仕打ちだ!納得できない!! 俺達がそう叫ぶ度に「恥の上塗りをするなっ!」と殴られ、蹴られた。
「これ以上、近衛の品位を落とすな!!」
それもこれも全部冒険者のせいだ!!
近衛騎士団に武器や物資を売らない商人のせいだ!!
俺達は悪くない!!!
「どういうことだって?それはコッチのセリフさ」
「なんだと!?ただの武器商人の癖に!」
「ああ、ただの武器商人さ。だがな、商人だからこそ売る客を選べるのさ」
「なんだと!?」
「まぁ、お前さん達に売るものは何もないってことだ」
「き、きさま……!」
「近衛騎士っていうのは喧嘩売る相手が誰なのか分かっちゃいねぇな。流石は王都育ちのボンボンだ!口だけは達者だな!」
横から口を出してきたガタイのデカい男をギロリと睨む。
「いきなりなんだ!失礼だろう!?」
「ああ。すまないな。あんたらが実にみっともないからよ、ついつい口が動いちまったぜ」
「な、な、き、聞き捨てならない!!」
「おっと。これくらいのことで熱くなるなんて。まるで物忘れの激しいジジィのようだぜ」
「なん……だと……」
「ん?俺は変なこと言ったか?事実だろう?なぁ?」
「こ、こやつを捕らえろ!!近衛騎士に逆らったらどのような目に遭わされるか……ぐわっ!?」
侮辱されて頭に血が上っていた。だから同僚や部下達と共にガタイの良い男に殴り掛かった。短気なのが玉に瑕だと上司に言われていたが、そんなものは関係ない。これは俺だけの問題じゃない。近衛騎士団全体の問題だ!そうだろ?栄えある近衛が一介の冒険者風情に謂れのない侮辱を受けたんだ。手打ちにされても文句は言えまい! そう思って襲い、地面に転がされた。
え?一瞬だった。
「なんだその弱い拳は?」
俺は目を疑った。馬鹿な!?手を抜いていたというのか?部下も一瞬で打ち倒されたってのか!?一人で十人以上はいた筈だぞ!しかも片っ端からあっという間に!嘘だろ!?俺達よりも数倍の速さと強烈な蹴りを喰らった。
「ぎゃぁぁぁぁ~~!!」
「痛い痛い!」
「あ、あ……」
「あ……うう……は、歯が……」
「う…………」
大半が気絶している。
なんとか意識のある奴らは呻き声と悲鳴を上げていた。
「ヤレヤレ。近衛ってのは思ったよりもずっと弱っちいなぁ」
なんだと!?訂正しろ!そう叫びたくとも朦朧とする意識ではまともに声が出せなかった。辛うじて目を開けているのが精一杯だ。
「これに懲りたら自分達よりも強い相手には喧嘩を売らないこった!これ、冒険者の生き残る知恵ってやつだねぇ。ま、命の危険に晒せれない近衛ちゃん達には分かんないかぁ~~~」
「理解していたら侯爵家や辺境伯家に喧嘩なんか売らないでしょうよ」
「そりゃそうだ!ガハハハッ!!!」
「弱い者は弱いなりの戦い方があるっていうのに。宮廷貴族出身はそれが分かってないのかね」
「アホだなぁ。普段何言ってもスルーしてくれるからって何時までもソウだとは限らねぇってのに」
「今回は侯爵家にも喧嘩売ってるからね。救いようがないよ」
「あ、そりゃあダメだ!アホすぎる!!」
冒険者と商人の二人が倒れた騎士達の前で悪態をつく。
俺達は屈辱を刻み込まれた。
今まで相手にもしてこなかった冒険者風情にだ!それが悔しくてならない。誇りある近衛騎士団のこの俺にこんな事をしてタダで済むと思うなよ!!汚されたプライドを取り戻すためにも、俺は初めて近衛騎士団長に直談判した。
そして俺達全員が謹慎処分と降格処分を受けた。
何故だ!!?? 納得いかない!しかも減給までされた!
俺達は納得できず、上司に食って掛かったが「これ以上恥を掻かせるな!!」と殴られた。何故だ!何故誰も分ってくれないんだ!?俺達は正しい事をしようとしたんだぞ!?なのにこの仕打ちだ!納得できない!! 俺達がそう叫ぶ度に「恥の上塗りをするなっ!」と殴られ、蹴られた。
「これ以上、近衛の品位を落とすな!!」
それもこれも全部冒険者のせいだ!!
近衛騎士団に武器や物資を売らない商人のせいだ!!
俺達は悪くない!!!
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