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5.恋の終焉2
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「お義兄様、一つお聞きしても宜しいですか?」
「ん?なんだい?」
「何故、このような話を私に告げたのですか?」
黙っている事も出来た筈です。
それを今伝えるのには何か意図があるのでしょうか?
ご自分が不利な立場になるというのに……。
「ミネルヴァは大切な人だ。隠し事はしたくなかった」
「そうですか……」
「義父上と義母上に告げる前に、ミネルヴァに話しておきたかったんだ」
「それは何故でしょう?」
「僕はミネルヴァの義兄だ。婚約者候補でもあるけれど、その前に義兄だ。ミネルヴァに対して不誠実な真似はできない。僕は君の義兄として誠実でいたいんだ。だから最初にミネルヴァに伝えたかった。君に隠し事なんてしたくない。それにずっと一緒にいたミネルヴァにも祝って欲しかったんだ」
私は笑いをこらえるのに必死でした。
だってそうでしょう?
私を裏切っておいて誠実でいたいって、どれほど身勝手な言葉なのでしょう。
不貞を働いて不誠実ではないと?
不貞相手との結婚を許して祝福しろと?
本気ですの?
きっと本気で言っているのでしょうね。
「そうですか。それがお義兄様の考えなのですね。……分かりましたわ」
「ありがとう。ミネルヴァ!エリカも喜ぶ!早速、義父上達に話してエリカとの結婚の許しを頂戴しようと思う。……ミネルヴァ、君なら許してくれると思っていた」
お義兄様は嬉しそうに笑みを浮かべられます。
まるで、私が許す事がさも当然だと言わんばかりの態度。
「両親には私の方からそれとなく話しておきますわ」
「本当に!?ありがとう。ミネルヴァ!恩に着る!」
都合の良い勘違いをしているお義兄様。
一週間後に正式な話し合いの場を設ける事にしましょうと言えば、お義兄様は満足そうに頷かれ、そそくさと出て行かれました。きっと彼女に報告に行くのでしょうね。「義妹の許可を得た」「もう何も心配することは無い」「安心していい」と、言葉を添えて抱きしめるのかもしれません。
なんて愚かな。
一人取り残された室内は、やけに広く感じます。
この空虚な空間が今の私の感情と良く似ていました。
お義兄様が出て行かれて暫くすると堪えていた笑いがこみ上げてきました。
「ふふっ……ふふふ……あははは……アッハハハッハハッハハ!」
私が我慢していたのが馬鹿みたいに思えます。
ひとしきり笑いましたら、今度は涙がこぼれてきました。
私はお義兄様を前にして上手く笑えていたかしら?上手く取り繕えていたでしょうか?
「本当に酷いお義兄様……」
私が本当にお義兄様とお相手の女性を祝福すると思ってらっしゃるのかしら?
ふふっ。あの調子ですもの。きっと本気で応援すると思っているのでしょうね。
そんなはずありませんでしょう!
どこの世界に愛する男性の裏切りを許せる女がいるというのです!
私がお義兄様達を許すはずがありませんわ。
いえ、むしろ私以外の女を愛するなんて絶対に許せません!
「ふふふふ……あははは!」
仕方ありませんよね?
お義兄様が最初に私を裏切ったのですから。
私の恋心を知っていたのに。
いいえ、知っていながら知らないフリをし続けてきたのです。「大切だ」だなんて言葉でごまかして。
義兄は私を拒絶し続けてきたのだと知りました。
許されるはずなどありません。
許すつもりは……ない!
お義兄様、私は物分かりの良い女ではありません。
この私を都合の良い女扱いをするなんて……ウォーカー侯爵家の娘を『自分の都合の良い女』とした罪、高くつきますわよ?
「ん?なんだい?」
「何故、このような話を私に告げたのですか?」
黙っている事も出来た筈です。
それを今伝えるのには何か意図があるのでしょうか?
ご自分が不利な立場になるというのに……。
「ミネルヴァは大切な人だ。隠し事はしたくなかった」
「そうですか……」
「義父上と義母上に告げる前に、ミネルヴァに話しておきたかったんだ」
「それは何故でしょう?」
「僕はミネルヴァの義兄だ。婚約者候補でもあるけれど、その前に義兄だ。ミネルヴァに対して不誠実な真似はできない。僕は君の義兄として誠実でいたいんだ。だから最初にミネルヴァに伝えたかった。君に隠し事なんてしたくない。それにずっと一緒にいたミネルヴァにも祝って欲しかったんだ」
私は笑いをこらえるのに必死でした。
だってそうでしょう?
私を裏切っておいて誠実でいたいって、どれほど身勝手な言葉なのでしょう。
不貞を働いて不誠実ではないと?
不貞相手との結婚を許して祝福しろと?
本気ですの?
きっと本気で言っているのでしょうね。
「そうですか。それがお義兄様の考えなのですね。……分かりましたわ」
「ありがとう。ミネルヴァ!エリカも喜ぶ!早速、義父上達に話してエリカとの結婚の許しを頂戴しようと思う。……ミネルヴァ、君なら許してくれると思っていた」
お義兄様は嬉しそうに笑みを浮かべられます。
まるで、私が許す事がさも当然だと言わんばかりの態度。
「両親には私の方からそれとなく話しておきますわ」
「本当に!?ありがとう。ミネルヴァ!恩に着る!」
都合の良い勘違いをしているお義兄様。
一週間後に正式な話し合いの場を設ける事にしましょうと言えば、お義兄様は満足そうに頷かれ、そそくさと出て行かれました。きっと彼女に報告に行くのでしょうね。「義妹の許可を得た」「もう何も心配することは無い」「安心していい」と、言葉を添えて抱きしめるのかもしれません。
なんて愚かな。
一人取り残された室内は、やけに広く感じます。
この空虚な空間が今の私の感情と良く似ていました。
お義兄様が出て行かれて暫くすると堪えていた笑いがこみ上げてきました。
「ふふっ……ふふふ……あははは……アッハハハッハハッハハ!」
私が我慢していたのが馬鹿みたいに思えます。
ひとしきり笑いましたら、今度は涙がこぼれてきました。
私はお義兄様を前にして上手く笑えていたかしら?上手く取り繕えていたでしょうか?
「本当に酷いお義兄様……」
私が本当にお義兄様とお相手の女性を祝福すると思ってらっしゃるのかしら?
ふふっ。あの調子ですもの。きっと本気で応援すると思っているのでしょうね。
そんなはずありませんでしょう!
どこの世界に愛する男性の裏切りを許せる女がいるというのです!
私がお義兄様達を許すはずがありませんわ。
いえ、むしろ私以外の女を愛するなんて絶対に許せません!
「ふふふふ……あははは!」
仕方ありませんよね?
お義兄様が最初に私を裏切ったのですから。
私の恋心を知っていたのに。
いいえ、知っていながら知らないフリをし続けてきたのです。「大切だ」だなんて言葉でごまかして。
義兄は私を拒絶し続けてきたのだと知りました。
許されるはずなどありません。
許すつもりは……ない!
お義兄様、私は物分かりの良い女ではありません。
この私を都合の良い女扱いをするなんて……ウォーカー侯爵家の娘を『自分の都合の良い女』とした罪、高くつきますわよ?
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