45 / 60
【婚約者のための成績アップ】
~数百年後の偉人伝~
しおりを挟むラウル
初の平民出身の庶民宰相。
平民の中でも最も貧しい地区の生まれであり両親が何処の誰かも分からない孤児であったため苗字がない。
貧民街で生まれながら、その劣悪な環境に屈することなく王立大学に進学を果たす。彼の一度見たら忘れない絶対記憶力と他を圧倒する数学の才能があったからこそ成し遂げられた偉業ともいえよう。大学で生来の頭脳を発揮した。大学始まって以来の天才と謳われるようになるものの、その生活態度は決して褒められたものでは無かった。歓楽街に入り浸り停学させられそうになったこともあるが、時の宰相であるロジェス伯爵にその才を認められ、ロジェス伯爵の援助により大学院まで通う。
卒業後は、王都ではなく、地方を希望し、国防の要の一つである辺境で事務官として勤務。
その頃、地方役人たちの間では女遊びが盛んで、例に漏れずラウルも給料の殆どを現地の色町につぎ込んだ程のめり込んでいた。
あまりに度が過ぎたのか、ラウルの行動は王都でも噂になる程で、遂に、ラウルのいる地域に王都から隠密での調査が入り、地方役人の一斉摘発が行われた。たかが女遊びで?と思うかもしれないが、実は、役人が裏社会と通じて人身売買を行っていたのだ。表向き娼館という事になっていたが、実際は人買いとの取引が行われていたのだ。
その後、他の地域にもメスが入り王国に巣くっていた人身売買の犯罪は無くなった。
ラウルは、この事を評価されて王都に戻ると「宰相府」の勤務という花形の出世コースにのる。これは異例の出世であった。訝しげにする人々も多くいた。「ラウルは王都からの密偵だったのではないか?」という噂が囁かれ始めたのもこの頃からだ。真偽のほどは今もって分からない。隠密であった事が本当であっても何も悪いものではない。彼は己の役目も果たしているのだから。
かといって、ラウルの女遊びがカモフラージュかというと「違う」と言える。
彼は根っからの女好きだ。
その証拠に宰相となった後も、度々、スキャンダルを起こしている。
相手は様々だ。
高級娼婦であったり、社交界の花である貴族令嬢あったり、どこその上流婦人であったり、自分付きのメイドであったり、花屋の娘だったり、と色々だ。あまりの女好きに、非難が集まる以上に驚きの方が勝る有り様。
彼の最もスキャンダルな事は「結婚」であった。
相手は元娼婦。
地方勤務での馴染みの娼婦であった。
名前は『ライ』といい、周りが何と言おうと決して別れる事はなかった。
結婚後も浮気を繰り返していたラウルだが、妻にはめっぽう弱く、彼女のいう事には従順だった。
159
お気に入りに追加
876
あなたにおすすめの小説
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
(完結)婚約破棄から始まる真実の愛
青空一夏
恋愛
私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。
女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?
美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
(完)イケメン侯爵嫡男様は、妹と間違えて私に告白したらしいー婚約解消ですか?嬉しいです!
青空一夏
恋愛
私は学園でも女生徒に憧れられているアール・シュトン候爵嫡男様に告白されました。
図書館でいきなり『愛している』と言われた私ですが、妹と勘違いされたようです?
全5話。ゆるふわ。
別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中
(本編完結)家族にも婚約者にも愛されなかった私は・・・・・・従姉妹がそんなに大事ですか?
青空一夏
恋愛
私はラバジェ伯爵家のソフィ。婚約者はクランシー・ブリス侯爵子息だ。彼はとても優しい、優しすぎるかもしれないほどに。けれど、その優しさが向けられているのは私ではない。
私には従姉妹のココ・バークレー男爵令嬢がいるのだけれど、病弱な彼女を必ずクランシー様は夜会でエスコートする。それを私の家族も当然のように考えていた。私はパーティ会場で心ない噂話の餌食になる。それは愛し合う二人を私が邪魔しているというような話だったり、私に落ち度があってクランシー様から大事にされていないのではないか、という憶測だったり。だから私は・・・・・・
これは家族にも婚約者にも愛されなかった私が、自らの意思で成功を勝ち取る物語。
※貴族のいる異世界。歴史的配慮はないですし、いろいろご都合主義です。
※途中タグの追加や削除もありえます。
※表紙は青空作成AIイラストです。
(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)
青空一夏
恋愛
従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。
だったら、婚約破棄はやめましょう。
ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!
悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる