39 / 60
【婚約者のための成績アップ】
ラウルside
しおりを挟む王立大学に入学して二年だ。
平民にも開かれた国の最高機関の大学。
貧しい出であろうとも成績優秀であれば、奨学金と支援金が支給される上に、大学寮もあり、それらの施設も暮らしも全額負担してくれる。
俺も貧しい庶民の出だ。
この大学の制度は有難い。
地頭が良かったお陰で特に苦労せずに特待生として入れた。
自分でいうのもあれだが、俺は顔もいい。
将来性を見込んで女も寄ってくる。寮に戻らず女の元に入り浸る事も多かった。寮監なんかは小煩く説教を垂れるが、大学側としたら成績さえ良ければ、少々素行が悪くとも大目に見てくれる場合が多い。
俺からすれば天国みたいな場所だぜ!
それが今期に入ってから変わった。
ああ!
変わっちまったぜ!!!
事の発端は、伯爵家の嬢ちゃんのワガママから始まった。
なんでも、この俺に専属の家庭教師になれと依頼してきやがった!
これが、年頃の令嬢なら俺だって三顧の礼で引き受けたぜ!
だがな、教える令嬢が十代前半だ。
何が嬉しくて、子供を相手にしなけりゃいけないんだ!!!
当然、断った。
上手くいけば伯爵家と懇意になれるかもしれないが面倒だろ。
これが妙齢の女性なら話は別だが、相手はお子様だ。
断わるのは当たり前だろう?
俺はツルペタに興味はねぇ!!!
それが、悪夢の始まりだった。
あのガキは、いつの間にか大学の大半を味方につけてやがった!
しかも噂に尾ひれが付いて、
「子供相手に大人げない」
「全世界の女の敵」
「貴族令嬢を誑かそうとして失敗した最低男」
と、まあ散々の言われ放題。
極めつけが「ロリコン野郎」だ。
遊び相手の女達からも散々罵倒されちまった!「発展途上の女子に発情する変態野郎」だとな!!!
お陰で、女がまったく寄ってこねぇ。
何度も説明をしたが、まったく信じてくれないんだ。
俺が無実を訴えれば訴えるほど、噂が事実と認識されていく。
「多いのよね。散々女と遊び歩いといて結局は『良家のお嬢さんタイプ』と結婚するの」
「プレイボーイを気取っておいてそっち系だったのね」
「私を愛してるですって!? 何? もしかして表向きの恋人としてカムフラージュに使おうっての!? 冗談じゃないわ!」
勘違いだ!!!
何が悲しくてガキに欲情しないといけないんだ。
そんな趣味はない!
俺はおっぱいはデカい方が好みだし、尻だってデカいのがいい!
凹凸のとれた体形が好みだんだ。顔より体。ふくよかな胸に顔を埋める感触がたまらん!これで腰が細ければなお良い!!!
なのに……。
俺が一体、何をしたっていうんだ!!!
106
お気に入りに追加
875
あなたにおすすめの小説
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
(完結)婚約破棄から始まる真実の愛
青空一夏
恋愛
私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。
女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?
美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)
別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中
(完)イケメン侯爵嫡男様は、妹と間違えて私に告白したらしいー婚約解消ですか?嬉しいです!
青空一夏
恋愛
私は学園でも女生徒に憧れられているアール・シュトン候爵嫡男様に告白されました。
図書館でいきなり『愛している』と言われた私ですが、妹と勘違いされたようです?
全5話。ゆるふわ。
(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)
青空一夏
恋愛
従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。
だったら、婚約破棄はやめましょう。
ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!
悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
(完結)だったら、そちらと結婚したらいいでしょう?
青空一夏
恋愛
エレノアは美しく気高い公爵令嬢。彼女が婚約者に選んだのは、誰もが驚く相手――冴えない平民のデラノだった。太っていて吹き出物だらけ、クラスメイトにバカにされるような彼だったが、エレノアはそんなデラノに同情し、彼を変えようと決意する。
エレノアの尽力により、デラノは見違えるほど格好良く変身し、学園の女子たちから憧れの存在となる。彼女の用意した特別な食事や、励ましの言葉に支えられ、自信をつけたデラノ。しかし、彼の心は次第に傲慢に変わっていく・・・・・・
エレノアの献身を忘れ、身分の差にあぐらをかきはじめるデラノ。そんな彼に待っていたのは・・・・・・
※異世界、ゆるふわ設定。
(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。
なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと?
婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。
※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。
※ゆるふわ設定のご都合主義です。
※元サヤはありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる