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【婚約者のための成績アップ】

ラウルside

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 王立大学に入学して二年だ。
 平民にも開かれた国の最高機関の大学。
 貧しい出であろうとも成績優秀であれば、奨学金と支援金が支給される上に、大学寮もあり、それらの施設も暮らしも全額負担してくれる。
 俺も貧しい庶民の出だ。
 この大学の制度は有難い。

 地頭が良かったお陰で特に苦労せずに特待生として入れた。

 自分でいうのもあれだが、俺は顔もいい。
 将来性を見込んで女も寄ってくる。寮に戻らず女の元に入り浸る事も多かった。寮監なんかは小煩く説教を垂れるが、大学側としたら成績さえ良ければ、少々素行が悪くとも大目に見てくれる場合が多い。
 俺からすれば天国みたいな場所だぜ!
 それが今期に入ってから変わった。

 ああ!
 変わっちまったぜ!!!

 事の発端は、伯爵家の嬢ちゃんのワガママから始まった。


 なんでも、この俺に専属の家庭教師になれと依頼してきやがった!
 これが、年頃の令嬢なら俺だって三顧の礼で引き受けたぜ!
 だがな、教える令嬢が十代前半だ。
 何が嬉しくて、子供を相手にしなけりゃいけないんだ!!!
 当然、断った。
 上手くいけば伯爵家と懇意になれるかもしれないが面倒だろ。
 これが妙齢の女性なら話は別だが、相手はお子様だ。
 断わるのは当たり前だろう?

 俺はツルペタに興味はねぇ!!!

 それが、悪夢の始まりだった。

 あのガキは、いつの間にか大学の大半を味方につけてやがった!
 しかも噂に尾ひれが付いて、

「子供相手に大人げない」

「全世界の女の敵」

「貴族令嬢を誑かそうとして失敗した最低男」

 と、まあ散々の言われ放題。
 極めつけが「ロリコン野郎」だ。

 遊び相手の女達からも散々罵倒されちまった!「発展途上の女子に発情する変態野郎」だとな!!!
 お陰で、女がまったく寄ってこねぇ。
 何度も説明をしたが、まったく信じてくれないんだ。
 俺が無実を訴えれば訴えるほど、噂が事実と認識されていく。


「多いのよね。散々女と遊び歩いといて結局は『良家のお嬢さんタイプ男を知らない少女』と結婚するの」

「プレイボーイを気取っておいてそっち系アブノーマルだったのね」

「私を愛してるですって!? 何? もしかして表向きの恋人としてカムフラージュに使おうっての!? 冗談じゃないわ!」


 勘違いだ!!!
 何が悲しくてガキに欲情しないといけないんだ。
 そんな趣味はない!

 俺はおっぱいはデカい方が好みだし、尻だってデカいのがいい!
 凹凸のとれた体形が好みだんだ。顔より体。ふくよかな胸に顔を埋める感触がたまらん!これで腰が細ければなお良い!!!


 なのに……。


 俺が一体、何をしたっていうんだ!!!

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