上 下
37 / 60
【婚約者のための成績アップ】

仕上げの学園

しおりを挟む
 
 聖王学園は、別名「完成された学園」とも呼ばれています。貴族の子息と令嬢の“最終仕上げを行う場所”という意味が込められています。
 貴族令嬢にとって、聖王学園を卒業したということは名誉であると共に『いつ嫁いでも可能な淑女である』といった、ある種のお墨付きがついたことを意味します。

 学園で令嬢達は、婚姻前に備えておかなければならない社交界でのお付き合いに必要な教養、マナー、社交術、家政科などを全般に学びます。学園に通う前に、お抱えの教師によって既に学んでいる令嬢は数多います。ですが、この学園は一流の教師達揃い。より高度なものを要求されるのです。

 文学、芸術、音楽、歴史など多岐にわたり深く学びます。特に重点に置かれているのが社交のスキルでしょう。授業内容にも公式な外交や社交の場で必要とされる実践的な礼儀作法、言葉遣い、会話、社会への貢献、語学などが含まれております。

 子息方は令嬢よりも更に専門教育が施され、ここで文官か武官の分かれ道ともいわれております。

 学園は男女ともに三学期制。
 学期に終わりごとに試験があり、その結果発表が掲示されるそうです。

 それも一番から最下位まで。

 私も試験は初めてのことですから緊張してしまいましたわ。
 結果は中の上。
 まあまあの成績でほっとしました。
 あまりに成績が悪いようなら両親にも恥をかかせてしまいますからね。
 それにしても掲示は何故か。建物も別ですのに、男女分けて発表した方がいいのではないかしら?

 疑問に思っていた後日、婚約者様から呼び出しがかかりました。と言っても、私が公爵邸に赴くだけですが。学園に入って以来、会う事もままならなかったので、会うのは数ヶ月ぶりです。



「どういうことだ」

 メイドから受け取った紅茶を一口含んで、早々に放たれた言葉。

「なんのことでしょう?」

 何故か、婚約者様は不機嫌なまま。
 どうやら怒っているようです。声色が既に怒りに満ちてます。けれど、怒られる理由には思い当たらないのですが?

「お前の成績の事だ。なんだコレは?平均点しか取れていないではないか。お前はこんな成績で恥ずかしくないのか。かりにもスコット公爵家の一員になるというのに。少しは自覚を持て!こんな調子じゃあ、友人達に披露できないじゃないか!」

 私の成績の悪さに怒っていました。
 そうですか…平均はダメですか……。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏
恋愛
 私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。  女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?  美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

(完)イケメン侯爵嫡男様は、妹と間違えて私に告白したらしいー婚約解消ですか?嬉しいです!

青空一夏
恋愛
私は学園でも女生徒に憧れられているアール・シュトン候爵嫡男様に告白されました。 図書館でいきなり『愛している』と言われた私ですが、妹と勘違いされたようです? 全5話。ゆるふわ。

別に要りませんけど?

ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」 そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。 「……別に要りませんけど?」 ※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。 ※なろうでも掲載中

(本編完結)家族にも婚約者にも愛されなかった私は・・・・・・従姉妹がそんなに大事ですか?

青空一夏
恋愛
 私はラバジェ伯爵家のソフィ。婚約者はクランシー・ブリス侯爵子息だ。彼はとても優しい、優しすぎるかもしれないほどに。けれど、その優しさが向けられているのは私ではない。  私には従姉妹のココ・バークレー男爵令嬢がいるのだけれど、病弱な彼女を必ずクランシー様は夜会でエスコートする。それを私の家族も当然のように考えていた。私はパーティ会場で心ない噂話の餌食になる。それは愛し合う二人を私が邪魔しているというような話だったり、私に落ち度があってクランシー様から大事にされていないのではないか、という憶測だったり。だから私は・・・・・・  これは家族にも婚約者にも愛されなかった私が、自らの意思で成功を勝ち取る物語。  ※貴族のいる異世界。歴史的配慮はないですし、いろいろご都合主義です。  ※途中タグの追加や削除もありえます。  ※表紙は青空作成AIイラストです。

(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。 なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと? 婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。 ※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。 ※ゆるふわ設定のご都合主義です。 ※元サヤはありません。

処理中です...