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犯罪幇助
しおりを挟む裁判はある意味で難航しました。
それはヴィラン以外の5人の罪について。
弁護士は飽く迄も「家族だからこそ、犯罪の手助けをせざる得えなかった」と主張し続けました。
「家族を犯罪者にしたくないという心理が働いたのです。何処の世界に実の息子を、弟を、兄を罪人にしたいと思いますか!? 愛すればこその行為なのです!」
聞きようによっては家族愛の溢れる家庭のようだった、と執事長が呆れを通り越して感心していました。弁護士は今からでも俳優に転職できる程の名演技だったとか。
「裁判官は親による犯罪教唆を疑っておりましたが、確固たる物的証拠がなかった事もあり後半では『犯罪幇助』の方に傾きました。伯爵家の弁護士は優秀な上に人の心情に訴えかける何かをお持ちのようです」
執事長は奮闘した弁護士に敬意を払っているようでした。
まぁ、証拠物件はヴィランの物しかありませんからね。弁護士もそこに目を付けたからこそ頑なに「犯罪幇助なのです」と言い続けたのでしょう。
「教唆」と「幇助」では罪の重みが違います。
幇助の方が教唆よりも罪は軽い。同じ「犯罪の共犯」ではありますが、「幇助」は「元々の犯罪者を助ける共犯者」。対して「教唆」は「犯罪行為を唆して実行させる共犯者」なのです。判決によっては、実行犯よりも「犯罪教唆」の方が罪が重くなる場合もありました。
裁判の結果、「三男を主犯」とした「家族の犯罪幇助」で幕を閉じました。
弁護士の熱弁と粘り勝ちという処でしょうか?
もっとも、ヤルコポル伯爵夫妻は「育児放棄」の罪にも問われましたが、息子の仕出かした事を思えば当然でしょう。
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