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第11話公式愛妾2
しおりを挟む「何故だ! 何故、フアナが陛下の愛人なんだ!?」
納得していない人物が一人いました。
私の夫、ジョアンです。
「何故も何も、陛下からの『宣言』があったからに決まっているだろう」
「父上!」
「そもそも、お前にも愛人がいるではないか。自分の事を棚に上げて何を言っている」
「わ、私は男です!」
「だから何だ?」
「だ、だから愛人を持つのは『男の甲斐』というものです!」
「頭に蛆虫でも湧いているか? 夫に愛人がいて妻が愛人を持つ事は許されない等という法律はない」
「で、ですが、私はフアナの夫ですよ!」
「だから何だ?」
「だ、だから……その、子供の事もあるでしょう。跡継ぎの問題も……」
「結婚初夜を拒否したお前が何を言う。跡取りの子供は、フアナが産んだ子供が継ぐに決まっているだろう。何もお前の子である必要はないしな」
「なっ!? 父上は伯爵家の跡取りが自分の血を分けた孫でなくても構わないと仰るのですか!?」
「一向に構わん。そもそも、フアナは姪だ。血の繋がりは十分ある。寧ろ、お前のようなクズの血を引く子供を孫と可愛がる方が苦痛だ。陛下との子供ならフアナと伯爵家の将来も安泰だ。ああ、そう言えば、お前は以前から言っていたな。伯爵家から解放されて愛する女と生きたいと。いいぞ。許可する。女と共に生きろ」
「そ、それは……。ですが、父上。私がいないと困るでしょう。私は時期伯爵ですよ?」
「心配するな。フアナのお腹の中の子供が伯爵位を継ぐし、法律を一部改変する事が決まったからな。まだ女子の爵位継承は認められないが、相続の一部改変で、爵位預かりが受理される事になった」
「爵位……預かり……?」
「そうだ。直系の娘しかいない場合に限り『爵位を一時的に国が管理』する。そして、娘に子供が生まれたら『子』に爵位が渡る仕組みだ」
「な、なんですかそれは……」
「因みに言っておくが、『子』が全て『女子』であった場合は『長子』が相続する決まりにもなっている」
「……と、言うと?」
「『長女』が婿を取れば、その婿が爵位を継ぐ。ただし、婿に『御家乗っ取りがある』と国が判断した場合は、爵位は自動的に『長女の産んだ子供』にいく」
「ムチャクチャだ……」
「文句があるなら国王陛下に言え」
「父上はそれでいいんですか!?」
「勿論だ。フアナに害を与えかねない婿とその愛人の存在がある以上、私は陛下の案を全面的に支持する」
「そんな、父上……」
ジョアンは今にも泣きそうな顔を私に向けてきます。
「フアナ……」
そんな縋るような目をされても困りますわ。
私にできるのは微笑み返すことだけです。
「ジョアン、考えようによってはこれでお互いに何一つ干渉することなく婚姻関係が継続できるわよ」
この世の終わりのような顔をするジョアン。
何故かしら?
これで赤毛の愛人と一緒に居られるというのに。
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