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第7話政略結婚2
しおりを挟む結局、ジョアンは赤毛の女性を引き取って愛人にしました。
当初はアウストラリス伯爵家の屋敷に部屋を与えようとしていたそうですが、無理でしょう。ここは私の屋敷です。
「婿入りの分際で愛人を屋敷にいれるだと!? 馬鹿者が!!!」
伯父に殴られています。
「な、ならグリア侯爵家でもいい!」
「お前はグリア侯爵家からアウストラリス伯爵家に籍を移した身だぞ!」
「でも……私はグリア侯爵家の人間です」
「それがどうした!侯爵家の跡取りでもない貴様が何故愛人を侯爵家に迎え入れられると思うんだ!その前に正妻と愛人を一つ屋根の下で暮らすような非常識な行為をする貴族はこの世にはおらん!」
「で、ですが……」
「仮にいたとして、そんな非常識な家は社交界でも爪弾きにされている輩だ!」
伯父に怒られ、ジョアンは外で愛人を囲われました。
それでも伯父はジョアンの仕打ちを許す事が出来ないらしく、愛人を囲うにあたり、伯爵家の金は一切使用しないように念書まで書かせました。念書を書いている最中に何度も私の方をチラチラ見てきました。私に助け舟を出して欲しいのですね、分かります。何しろ従兄妹で幼馴染でもあるのです。言いたいことは大体理解できます。が、それをするメリットは私にはありません。
「伯父様はお怒りだけど、私は特に気にしてはいないわ。元々、兄妹同然の間柄ですもの。妹に恋をしろと言う方が無理というものよ。私だってジョアンに家族愛を持ってても“男”として愛する事は出来そうにないもの」
「フアナ様……」
「そんな顔しないでマーサ。貴族の結婚は政略。そこに恋愛感情を持ち込む者はいないわ。私の場合、両方の家が味方に付いてくれているから良い方よ。それに、結婚前に愛人の存在を知ったから伯爵家に有利な婚姻契約を交わす事が出来たわ」
もっとも、ジョアンの非常識な行動は伯父の想定外だったようですけど。
『フアナ、お前は所詮飾り物の妻だ!私に愛されようなどと夢にも思うなよ!』
などと言われ、初夜をボイコットしたジョアン。
全くお馬鹿さんなんだから。
結婚前から愛人を侍らせている男に愛を求める程おめでたい女ではありませんよ。どれだけ女性に夢見ているのかしら?それとも私が自分と結婚をしたいと伯父様達に泣きついたとでも思っているのかしら……どれだけ自分に自信があるの……確かにジョアンは見た目は完璧な王子様だわ。けれど彼以上に美形なのが兄のガルシアで、私はガルシアと一緒に過ごす時間が長かった。早い話が美形は見慣れているという訳。
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