2 / 17
第2話結婚前2
しおりを挟む「急にどうしたのですか?ジョアン」
「どうしただと!? お前が私の愛するベアトリスを追い帰したせいだろう!」
「ベアトリス?どなたでしょう」
「しらを切るつもりか!」
「いいえ、存じ上げない名前ですので……」
「この前、屋敷を訪れただろう!」
「残念ながらベアトリスという方の訪問はありません。どなたかとお間違えになっているのでは?」
「そんな筈ないだろう!」
困ったわ。
本当に知りませんのに。
「それは以前いらした赤毛の女性の事でしょうか」
困り切っていた処にマーサの助け舟が入りました。
赤毛?
ああ!
あの時の女性ですか。
「やっぱり隠していたのか!」
「ジョアン様、それは誤解でございます」
「何が誤解だ!」
「確かに赤毛の女性は当家に参られましたが、名乗りを上げられることはありませんでした。それどころかお嬢様に暴言を吐く礼儀知らずの女性でございました。およそ貴族階級ならば知っている常識を全く御存知ない様子でもありましたので警察に届けたのですが何かいけなかったでしょうか?」
「貴様か!ベアトリスを警察に突き出したのは。お陰でベアトリスは謂れのない誹りを受けたのだぞ!」
「フアナ様とアウストラリス伯爵家に対する暴言の数々は他の使用人も目撃しております。名誉棄損で訴えるのは当然の措置でございます」
まあ、何時の間に。
我が家の使用人たちは皆優秀だわ。
「勝手な事を!」
「勝手と申しますが、これは相手の女性のためでもございます」
「どこがだ!保釈金まで払ったんだぞ!」
「平民が貴族に難癖をつける事がどういった事態を引き起こすのかよく分かったと思います。もっとも、当家はただ被害を訴えただけです。他の貴族に比べますとかなり甘い処置で済ませましたが、何しろ話が通じない相手でしたの精神を患っている可能性も考えての配慮でした」
流石はマーサです。
素晴らしい判断だわ。
「な、な、なんだ……と。へ、平民……ベアトリスが……」
言葉になっていません。
どうしたのでしょう?
そういえば赤毛の女性はジョアンを愛し合っているとか世迷言を言ってました。そういうお店の女性でしょうか?
我が家の騒ぎを聞きつけたグリア侯爵家の執事が駆け付け、丁寧に謝罪をするとジョアンを連れて行ってくれました。
141
お気に入りに追加
2,751
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?
秋月一花
恋愛
本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。
……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。
彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?
もう我慢の限界というものです。
「離婚してください」
「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」
白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?
あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。
※カクヨム様にも投稿しています。
男の仕事に口を出すなと言ったのはあなたでしょうに、いまさら手伝えと言われましても。
kieiku
ファンタジー
旦那様、私の商会は渡しませんので、あなたはご自分の商会で、男の仕事とやらをなさってくださいね。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
婚約破棄ですか? でしたら貴方様には、その代償を払っていただきますね
柚木ゆず
ファンタジー
婚約者であるクリストフ様は、私の罪を捏造して婚約破棄を宣言されました。
……クリストフ様。貴方様は気付いていないと思いますが、そちらは契約違反となります。ですのでこれから、その代償を受けていただきますね。
【完結】陛下、花園のために私と離縁なさるのですね?
紺
ファンタジー
ルスダン王国の王、ギルバートは今日も執務を妻である王妃に押し付け後宮へと足繁く通う。ご自慢の後宮には3人の側室がいてギルバートは美しくて愛らしい彼女たちにのめり込んでいった。
世継ぎとなる子供たちも生まれ、あとは彼女たちと後宮でのんびり過ごそう。だがある日うるさい妻は後宮を取り壊すと言い出した。ならばいっそ、お前がいなくなれば……。
ざまぁ必須、微ファンタジーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる