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第2話結婚前2
しおりを挟む「急にどうしたのですか?ジョアン」
「どうしただと!? お前が私の愛するベアトリスを追い帰したせいだろう!」
「ベアトリス?どなたでしょう」
「しらを切るつもりか!」
「いいえ、存じ上げない名前ですので……」
「この前、屋敷を訪れただろう!」
「残念ながらベアトリスという方の訪問はありません。どなたかとお間違えになっているのでは?」
「そんな筈ないだろう!」
困ったわ。
本当に知りませんのに。
「それは以前いらした赤毛の女性の事でしょうか」
困り切っていた処にマーサの助け舟が入りました。
赤毛?
ああ!
あの時の女性ですか。
「やっぱり隠していたのか!」
「ジョアン様、それは誤解でございます」
「何が誤解だ!」
「確かに赤毛の女性は当家に参られましたが、名乗りを上げられることはありませんでした。それどころかお嬢様に暴言を吐く礼儀知らずの女性でございました。およそ貴族階級ならば知っている常識を全く御存知ない様子でもありましたので警察に届けたのですが何かいけなかったでしょうか?」
「貴様か!ベアトリスを警察に突き出したのは。お陰でベアトリスは謂れのない誹りを受けたのだぞ!」
「フアナ様とアウストラリス伯爵家に対する暴言の数々は他の使用人も目撃しております。名誉棄損で訴えるのは当然の措置でございます」
まあ、何時の間に。
我が家の使用人たちは皆優秀だわ。
「勝手な事を!」
「勝手と申しますが、これは相手の女性のためでもございます」
「どこがだ!保釈金まで払ったんだぞ!」
「平民が貴族に難癖をつける事がどういった事態を引き起こすのかよく分かったと思います。もっとも、当家はただ被害を訴えただけです。他の貴族に比べますとかなり甘い処置で済ませましたが、何しろ話が通じない相手でしたの精神を患っている可能性も考えての配慮でした」
流石はマーサです。
素晴らしい判断だわ。
「な、な、なんだ……と。へ、平民……ベアトリスが……」
言葉になっていません。
どうしたのでしょう?
そういえば赤毛の女性はジョアンを愛し合っているとか世迷言を言ってました。そういうお店の女性でしょうか?
我が家の騒ぎを聞きつけたグリア侯爵家の執事が駆け付け、丁寧に謝罪をするとジョアンを連れて行ってくれました。
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