偽物の侯爵子息は平民落ちのうえに国外追放を言い渡されたので自由に生きる。え?帰ってきてくれ?それは無理というもの

つくも茄子

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~第四章~

79.とある新米刑事side

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 それは奇妙な事件だった。

 旧校舎の一室で四人の男子生徒が全裸で死んだ。
 部屋の中には拘束具の数々と不気味なラベルの張られた小瓶。中身の液体は碌なものじゃないだろう事は想像できた。


「遺体は一切動かしていない。発見された時のままにされてる。あ~~、臭いだけは取り除いているらしい」

「この状態ですからね。ある程度想像は出来ますけど……それにしても……これは…………」

「ああ、ミイラだ」

 四人の男子学生達は「ミイラ」として発見された。それが事件を複雑にしていた。

「犯人は女性ですか?」

「何故、そう思う?」

「状況からしてこの部屋は死んだ男子学生達の溜まり場だったんでしょう。それも女性を無理やり暴行するための……。そう考えると犯人は女性と考えられます。この学校は特殊な結界が張られていて部外者は入れません。そうなると男子学生達の被害者はこの学校にいる女性で決まりでしょう。故意かそれとも事故かは分かりませんが、何らかの魔術を使用して彼等から逃げ出したんじゃないでしょうか?」

「なるほどな。確かに一理ある」

 そう言って警部は一枚のメモを差し出した。被害者四人の情報。

「四人とも同じ国の出身なんですね」

「ああ、そうだ。同じオレフ王国の貴族だ。そして今、この学校にはオレフ王国の王女と公爵令嬢が在籍している」

「……もしかしてその二人のどちらかが?」

「それはない。自国のトップの女に手を出すアホはいない。首と胴が離れる案件だ。貴族ならそんな危ない橋は渡らんよ」

「……そうですか」

「オレフ王国か。少し調べてみるか」

「王女と公爵令嬢に話しを聞かなくていいんですか?」

「バカたれ。容疑者でもねぇのに話を聞き出せるわけないだろ」

 警部はメモを一枚破り取ると切り取った。そして残りの二枚をゴミ箱に捨てた。

「情報を整理するか。分かってると思うがこの男子生徒のミイラ化は他言無用だ。学校側も魔術の練習中に起きたかもしれない事故として生徒に話しているからな」

「はい」

 俺は頷いた。


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