偽物の侯爵子息は平民落ちのうえに国外追放を言い渡されたので自由に生きる。え?帰ってきてくれ?それは無理というもの

つくも茄子

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~第四章~

74.エヴァンside

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「サバス!!」

 今日も元気にお姫様デイジーがサバスを追いかけまわしている。全く相手にされてないのにそれに気付かない!ある意味凄いお姫様だよ。まあ、そのお姫様に引っ付いている男達取り巻きがサバスとお姫様が二人っきりにならないように牽制している。牽制する必要はないと思うんだけどね。サバスはお姫様に興味ないし。

 現に今も――――



「……は?」

「ね、いいでしょう?」

「意味が分からないんだが?何故、俺が君に魔力コントロールを教えないといけない?それは教師の仕事だ」

「サバスは成績トップでしょう?」

「……成績が良いからといって教えるのが上手とは限らない。現に、俺は人に教えた事はないし、魔力コントロールは素人が簡単に教えられるものじゃない。素人が迂闊に教えた事で逆に魔力の暴走を引き起こしたりするケースだってあるんだ。最悪命に関わる。危険性やトラブルを引き起こすかもしれない事はできない。というか、何の為に学校に来ているんだ?出来ないなら教師に教えを乞うべきだろう?」

「だって、先生物凄く怖いんだもの」

「教育熱心な教師なんだ」

「でも!」

「でももだってもない。無理なモノは無理だ」

 サバスは全く相手にしてないけど、お姫様は結構グイグイくる。
 人の話を聞かないタイプかな?
 それとも人の迷惑を考慮しないタイプ?
 どちらにしてもサバス相手にそういう態度は逆効果だと思うんだよね。

 そろそろサバスも限界だろうし、ここは僕の出番かな?
 僕が椅子から立ち上がろうとした時だ。二人に声をかける女子生徒が現れた。

「こんなところで何をなさっているのです?デイジー嬢」

 キリッとした知的な少女の登場。
 張り上げている訳でもないのに、その声はとてもよく通り、聞き手の耳に良く聞こえた。

「え……と……」

「彼の言った通り、教師に教えを乞いなさい。その方が貴方のためです。それともデイジー嬢はご自分の魔力コントロールが上手くいかない事を彼のせいになさるおつもりかしら?」

「そんな!?」

「違うと言うのなら彼に謝罪するべきです。貴方は彼に無理難題を言い続けていたんですから」

 正論だ。
 少女の言葉でお姫様は俯いてしまった。

「ご、ごめんなさい……。私……そんなつもりで……いったんじゃ……」

 そこからはもう声にならないようだった。
 涙ぐんでそのまま走って教室を出て行った。そしてそれを追う男達。


 ……
 …………えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

 そのまま去る!?
 この状況下で!!?

 君達は良いよね?走って去ったんだから!でもここは教室!僕達以外にも生徒は要るんだ!そして今までのやり取りを見てるんだよ!?そこは皆に一言謝ってから出て行くところでしょ!?お姫様の言動に引いてる子もいるんだよ?

 教室内は微妙な空気が充満していた。



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