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~第四章~

73.エヴァンside

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 僕の親友のサバスは間違いなく『本物の天才』だよ。
 なのに何故か自分を低く見てる。低評価している。謎だ。

 あれだけの魔力量を持ってそれをコントロールして自在に操っている。

 もうそれだけで凄い。

 サバスは何でもない事のように思ってるけど、それは違う。
 普通はあれだけの魔力を持って生まれたら魔力過多で寝込む部類だ。

『父上は俺より凄いし、これくらい普通だろ?』

 アレだ。
 父親が凄い魔術師だから自分なんて大したことないと思っている。
 一族総出で魔術師やってるから感覚が麻痺しちゃってるんだ。サバスは十分すぎるくらいに凄いのに。


『魔力のあるなしは関係ない。天才は魔力なんて無くても天才だ』

『凡人は本物の天才には敵わないものさ』

 ふと脳裏をよぎったサバスの言葉。
 サバスには弟がいて、その弟は天才らしい。

 天才一家かな?

 ただ話しを聞くだけで、サバスの弟君はサバスとは種類の違う天才だという事が分った。それもかなり変わった天才だ。サバスが典型的な天才なら、弟君は風変わりな天才だろう。 優れた記憶力を持ち、一度見たり聞いたりするだけで覚えるそうだ。

 絶対的な記憶力の持ち主らしい。

 それに加えて観察眼に優れているらしく、人の思考を読み解くのが得意だという。

『俺には理解できないことを弟は直ぐに理解していた』

 う~~~ん。
 考え方の違いだろう、と僕は思う。

 あれだな。
 魔力持ちのサバスには魔力無しの弟君の置かれた立場や気持ちなんかを本当の意味で理解できない。特に魔術師の家系なんて「魔力を持ってあたりまえ」って考えの奴らが結構いる。弟君は魔力無しだからそういった命の危機にはメチャクチャ敏感なんじゃないかな?貴族でもある訳だし。王侯貴族ってのは大なり小なり裏がある。まったく裏のない奴なんていない。いるとしたらよっぽど目出度い奴か、過保護の守られている奴だろう。

 サバスも結構裏を知らない。

 年齢的な部分もあるけど、知らなくても生きていける魔力量の持ち主だから、っていうのもあると思う。

 将来有望な魔術師だ。
 貴族だけど、魔術師としてのしがらみの方が強そうだ。どこの国からも喉から手が出るくらいに欲しがる逸材だもんね。


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