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~第三章~
64.最悪の結婚式1
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結婚式の当日。
何故か僕は元婚約者の結婚式に出席させられた。
国王の補佐として元祖国に足を踏み入れたのだった。
いや、ほんとに……。
「僕が出席しても大丈夫なの?」
声に出してしまった。
だってさぁ、これって本当に大丈夫?
僕は生きてこの国から出られる?って案件だ。ちょっと震えてしまう。
「それなら安心するといい」
満面の笑みで国王は語り始めた。いや、もう嫌な予感しかしない。
「今回、我々を招待したのは王女自身だ。結婚式の主役の一人が招待しているならば、それを拒む必要なんてないだろう?」
「……宰相達は驚いていましたけどね」
「知らなかったようだ」
「……あの様子だと王女が勝手に出した可能性は大ですよ?いいんですか?本当に」
「いい、いい!今更、間違いでした、などと言える訳がない」
「神官達も引きつった笑みでしたけど……」
「自分達の仕出かしたちょっとしたミスに居たたまれないのだろう。まぁ、あの連中にそんな繊細な感情があるとは思えないがね。大方、自分達の計画がとん挫したと思っている位だろう」
「只の貴族子息を追放する事がですか?」
「サビオを只の貴族子息と言うのは疑問だが、何かを企んでいる事は確かだろう。あの王女がここまで執念深くて行動的だった事を考慮出来なかったのは、この国と神殿の責任だ」
「本当に何で出席する事にしたんですか?」
参加する必要性が全くない王女の結婚式だ。
国内の貴族達と神官の出席は多いけれど、国外からの参加者は僕と国王陛下だけである。
「いや、あれだけ馬鹿げた内容を臆面なく何度も送って来るんだ。逆に清々しいじゃないか。王女の望み通り結婚式に出席すれば、どんな反応を示すのかと考えてな」
そう言って悪い笑みを浮かべた国賓であるはずの陛下は実に愉しそうだ。
「それにこれはチャンスとも捉えてもいい」
「チャンス?」
「ああ、今まで好き勝手に行動したツケだ。あの王女にはそろそろ現実というものを直視して貰いたい。その為に一度、この国で直接的な事件を引き起こして貰った方が後々の面倒事を減らせるだろうさ」
それは一理ありますけどぉ……僕はもう帰りたいですっ!切実に!
だってさっきから参加者達の注目を一身に浴びているのが、ものすごーく解る!解るよ! 特に国王の横に座っている僕に視線が集中しているのだ。
もう帰りたい……いや、帰して……お家にかえしてくださいぃぃいぃ!!!
「さて、そろそろ花嫁の登場だ」
そう陛下が宣言した瞬間、会場の扉が開き音楽が響き渡った。
もうそこからは思い出したくもない修羅場が待っていた。
「やっぱり!私を迎えに来てくれたのね!!」
何が?
何で?
そうなった!?
理解不能な台詞を大声で叫ぶのは、今日の主役の一人。
この国の王女殿下。
つまり花嫁様だった。
何故か僕は元婚約者の結婚式に出席させられた。
国王の補佐として元祖国に足を踏み入れたのだった。
いや、ほんとに……。
「僕が出席しても大丈夫なの?」
声に出してしまった。
だってさぁ、これって本当に大丈夫?
僕は生きてこの国から出られる?って案件だ。ちょっと震えてしまう。
「それなら安心するといい」
満面の笑みで国王は語り始めた。いや、もう嫌な予感しかしない。
「今回、我々を招待したのは王女自身だ。結婚式の主役の一人が招待しているならば、それを拒む必要なんてないだろう?」
「……宰相達は驚いていましたけどね」
「知らなかったようだ」
「……あの様子だと王女が勝手に出した可能性は大ですよ?いいんですか?本当に」
「いい、いい!今更、間違いでした、などと言える訳がない」
「神官達も引きつった笑みでしたけど……」
「自分達の仕出かしたちょっとしたミスに居たたまれないのだろう。まぁ、あの連中にそんな繊細な感情があるとは思えないがね。大方、自分達の計画がとん挫したと思っている位だろう」
「只の貴族子息を追放する事がですか?」
「サビオを只の貴族子息と言うのは疑問だが、何かを企んでいる事は確かだろう。あの王女がここまで執念深くて行動的だった事を考慮出来なかったのは、この国と神殿の責任だ」
「本当に何で出席する事にしたんですか?」
参加する必要性が全くない王女の結婚式だ。
国内の貴族達と神官の出席は多いけれど、国外からの参加者は僕と国王陛下だけである。
「いや、あれだけ馬鹿げた内容を臆面なく何度も送って来るんだ。逆に清々しいじゃないか。王女の望み通り結婚式に出席すれば、どんな反応を示すのかと考えてな」
そう言って悪い笑みを浮かべた国賓であるはずの陛下は実に愉しそうだ。
「それにこれはチャンスとも捉えてもいい」
「チャンス?」
「ああ、今まで好き勝手に行動したツケだ。あの王女にはそろそろ現実というものを直視して貰いたい。その為に一度、この国で直接的な事件を引き起こして貰った方が後々の面倒事を減らせるだろうさ」
それは一理ありますけどぉ……僕はもう帰りたいですっ!切実に!
だってさっきから参加者達の注目を一身に浴びているのが、ものすごーく解る!解るよ! 特に国王の横に座っている僕に視線が集中しているのだ。
もう帰りたい……いや、帰して……お家にかえしてくださいぃぃいぃ!!!
「さて、そろそろ花嫁の登場だ」
そう陛下が宣言した瞬間、会場の扉が開き音楽が響き渡った。
もうそこからは思い出したくもない修羅場が待っていた。
「やっぱり!私を迎えに来てくれたのね!!」
何が?
何で?
そうなった!?
理解不能な台詞を大声で叫ぶのは、今日の主役の一人。
この国の王女殿下。
つまり花嫁様だった。
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