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~第三章~

60.王女(元婚約者)side

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 その日、私はお父様と一緒に宰相に召集を掛けられました。ええ、王族に向かって「今すぐ来なさい」と面と向かって言われたのです。周りを取り囲む近衛兵達。私は近衛に両脇を
 挟まれて歩きました。ええ、怖かった。途中でお父様と合流しましたわ。国王であるお父様も私同様に両脇を兵士によって、挟まれていたのです。

 なんと無礼な!


「あなた達!自分達が何をしているのか理解しているの!?」

「解っています」

「主君に対する態度ではないわ!!」

「解っています」

「なっ!? 解っているですって!? これは不敬罪に問われる行為よ!!」

「解っています」


 ゾッとするのを感じましたわ。
 だって、彼らは「解っています」と言うだけで、他は何も答えませんもの。まるで人形のような彼ら。無表情な彼らの顔に薄ら寒さを覚えましたわ。

 そうして、私達が連れて行かれたのは会議室ではなく応接室。
 部屋には宰相を始めとした大臣達と普段交流の少ない王族の方々がいましたわ。
 近衛兵に連行されるようしてやって来た私とお父様を見て、宰相は一瞬眉を顰めましたわ。けれどそれは本当に刹那的な時間ですぐに表情を隠してしまいましたの。何なんですの?その態度は!

「陛下、殿下も……どうぞお座りください」

 宰相の言葉に促され、私は席に付きましたわ。
 隣に座るお父様は何故か強張った顔をしていました。どうなさったのかしら?

 そうして宰相が私達をこの場に呼んだ理由を語り始めたのです。その内容が衝撃的で、私は一瞬理解を拒んだのですが……でも宰相に促されては仕方がなく……耳を傾けましたわ。


「これ以上、おろかな行動はおやめください」

 そう、宰相は言ったのですよ!!愚か者だと!ええ、この者は確かにそう言ったんです。国王たるお父様や王女である私に対してですよ?信じられます??お父様は顔を強張らせ「おろかな行動をしているなど……何のことなのだ?」と尋ね返したわ。ええ、私も同じ思いでしたわよ。全くもって理解できませんもの!

「解っていないとは言わせませんな!国王に王女!!あなた方二人が何をなさったのか理解できないのですか!?」

「なんのことです!!」

「サビオ殿の返還要求をするなと言っているのです!」

「なぜ!?彼は私の婚約者ですのよ!!?」

「既に無効になっております!」

「なっ!!」

 何を言い出すの!?
 私の言葉を真っ向から叩き潰してくれましたのよ!!何様のつもりなのですか!!と怒り心頭で反論しようとしました。

 ですがそれよりも先に「国の恥をこれ以上、広げないでください」と言って宰相は深く溜め息を吐いたのです。何様なの!?本当に!!私が何をしたと言うんですか!!!


 

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