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~第三章~
58.王女(元婚約者)side
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アヴィド。
彼の再教育が始まったと聞きました。そして全く成果がない事も同時に聞かされました。
ええ、ええ、そうでしょうとも。
解っておりますわ。
あのような生まれながらの下賤な存在に礼儀作法を教え込む方が難しいと――
『王女殿下が目を覚ましてくださった事は大変に喜ばしい』
『如何に侯爵家の子息とはいえ、あれでは王女殿下が気の毒というもの』
『市井での生活が長かったとは聞きますが……それだけに人の何倍も努力しなければならないと言うのに』
私付きの侍女や侍従は口を揃える。
アヴィドの再教育など無駄な事だと……。
一生を共にするに値しないと。
ええ、ええ、全くその通りだわ。
あのような下賤な者と生涯を共にする気には到底なれません!!!
不思議だわ。
あれほど夢中になったというのに。
恋焦がれ、胸を熱くしたのに――今は何とも思わない。
私付きの女官は「あの者を密かに処分しましょうか?」と申し出るくらいだった。
ああ、それもいいかもしれない……と本気で考えてしまう。
異性にだらしなく、教養もなく、マナーも知らない。
見てくれだけの男。
何故、あれほど夢中になっていたのか……今となっては全く解らないわ。
まるで憑き物が落ちたかのように、彼の事はどうでも良くなってしまっていたわ。
夢から覚めたかのように。
なのに……。
『アヴィド様との婚姻を取りやめる事は難しいです。非常に残念な事ですが……』
『婚約の延長も無理かと思われます。大臣方は王女殿下の結婚を日程通りに行うと公表されてますので……』
『身分的には問題のない相手でございます』
『相思相愛の婚姻だと市井で評判になっておりますので……その……』
侍女達に話を聞いてもらったわ。
アヴィドとの婚姻を取り止めたいと――でも無理だと言われた。
国が決めた結婚。
既に日程も決まった婚姻。
それを覆うだけの材料がない――そう言われた。
何故!?
あの下品な男は貴族社会では最悪だった。
それでも市井では評判が良かった。
気さくで金払いの良い貴族――そう通っていたのよ!
ありえないわ!!
平民たちの目は節穴なの!?
冗談じゃないわよ!!!
『婚姻を取りやめれば、国民の不信感を買うのは王家と王女殿下ですぞ』
大臣の無情な言葉。
悪夢は終わらない。
私はずっとこの悪夢を見続けなければならないというの?
誰か嘘だと言って……。
彼の再教育が始まったと聞きました。そして全く成果がない事も同時に聞かされました。
ええ、ええ、そうでしょうとも。
解っておりますわ。
あのような生まれながらの下賤な存在に礼儀作法を教え込む方が難しいと――
『王女殿下が目を覚ましてくださった事は大変に喜ばしい』
『如何に侯爵家の子息とはいえ、あれでは王女殿下が気の毒というもの』
『市井での生活が長かったとは聞きますが……それだけに人の何倍も努力しなければならないと言うのに』
私付きの侍女や侍従は口を揃える。
アヴィドの再教育など無駄な事だと……。
一生を共にするに値しないと。
ええ、ええ、全くその通りだわ。
あのような下賤な者と生涯を共にする気には到底なれません!!!
不思議だわ。
あれほど夢中になったというのに。
恋焦がれ、胸を熱くしたのに――今は何とも思わない。
私付きの女官は「あの者を密かに処分しましょうか?」と申し出るくらいだった。
ああ、それもいいかもしれない……と本気で考えてしまう。
異性にだらしなく、教養もなく、マナーも知らない。
見てくれだけの男。
何故、あれほど夢中になっていたのか……今となっては全く解らないわ。
まるで憑き物が落ちたかのように、彼の事はどうでも良くなってしまっていたわ。
夢から覚めたかのように。
なのに……。
『アヴィド様との婚姻を取りやめる事は難しいです。非常に残念な事ですが……』
『婚約の延長も無理かと思われます。大臣方は王女殿下の結婚を日程通りに行うと公表されてますので……』
『身分的には問題のない相手でございます』
『相思相愛の婚姻だと市井で評判になっておりますので……その……』
侍女達に話を聞いてもらったわ。
アヴィドとの婚姻を取り止めたいと――でも無理だと言われた。
国が決めた結婚。
既に日程も決まった婚姻。
それを覆うだけの材料がない――そう言われた。
何故!?
あの下品な男は貴族社会では最悪だった。
それでも市井では評判が良かった。
気さくで金払いの良い貴族――そう通っていたのよ!
ありえないわ!!
平民たちの目は節穴なの!?
冗談じゃないわよ!!!
『婚姻を取りやめれば、国民の不信感を買うのは王家と王女殿下ですぞ』
大臣の無情な言葉。
悪夢は終わらない。
私はずっとこの悪夢を見続けなければならないというの?
誰か嘘だと言って……。
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