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~第一章~
5.ギルドの仲間
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「黒曜、本当に行ってしまうの?」
「うん、元々これを最後にするつもりだったしね」
「……これからどうするの?」
「暫くは諸国漫遊でもしようかなって思ってる。一週間前の誕生日で十三歳を迎えたし。色んな国を見てまわりたいんだ」
「そっか……寂しくなっちゃうわね」
「また会えるよ」
「旅から戻ったら連絡して!」
「分かった。皆が全員揃っていたら連絡するよ」
「約束だからね!」
「絶対よ!」
「待ってるからね!」
「うん、約束だ」
「元気でね!黒曜!」
「いい旅を!」
「君たちも元気で!それじゃあ!」
僕は手を振りながら彼女達に別れを告げた。
半年間、パーティーを組んでいた彼女達に振り替えることは一度もなかった。それは僕の中で彼女たちは既に仲間ではなかったからだ。
それはきっと彼女達も同じ。
いや、自覚がない分より質が悪い。
まあ、今頃は宿で待っている男とよろしくやっている事だろう。
ほんの少し前はこうではなかった。
あの男が現れるまでは良好な関係だった。仲間であり家族に近い存在だったと思う。
神官見習いの「エル」、剣士の「アーミ」、魔術師の「レヴィ」、そして薬師の僕「黒曜」。
僕以外の三人は全員十五歳から十八歳の女子。
人の事は言えないが、恐らく三人とも偽名だ。まあ、冒険者ギルドの場合は安全性を考えて遭えて本名を出さないのが暗黙の了解ともいえた。これは僕も登録してから知った。魔獣や獰猛な獣を退治するなら兎も角、仕事によっては「人」を相手取って戦う場合もある。要は、人からの逆恨みや復讐の可能性も考慮しなければならないということだ。
エルは回復魔法を得意とする心優しい十五歳の少女だった。
アーミは美しい剣術を披露する正義感が強く誇り高い十七歳。
レヴィは結界を張るのに長けた女性らしい性格の十八歳。
しかも三人とも大変な美少女だ。
それぞれ違ったタイプの美人で性格だって異なっている。
愛らしく無邪気なエル、キリッとした美貌のアーミ、肉感的な魅力を持つレヴィ。
彼女達が僕と組んだ理由は最後まで言わなかったが、僕は三人をかけがえのない仲間だと思っていた。
一ヶ月前までは――――
その宿屋を選んだのは偶然だった。
今思えば、宿を選ぶのはいつも女性陣。僕は彼女達の選んだ場所に文句一つ言わずに従ってきただけだ。
「ねえねえ、この宿なんてどうかしら?広くて小綺麗だわ!」
「そうね、他の宿屋よりも設備も整っているみたいだし」
「私も賛成だ。部屋にシャワー室があるのはありがたい」
「それ、大事だわ。大衆浴場なんてもうごめんだもの」
「レヴィ、失礼ですよ」
「あら、本当の事でしょ?」
「もう!仕方ない人ですね」
「ふふっ」
「あははっ」
楽しそうな笑い声につられて僕まで笑ってしまった。
「じゃあ、ここに決めましょう!」
「異議なし」
「決まりね」
こうして、僕らはその宿屋で部屋を取る事にした。
それが間違いだと気付かずに。
「うん、元々これを最後にするつもりだったしね」
「……これからどうするの?」
「暫くは諸国漫遊でもしようかなって思ってる。一週間前の誕生日で十三歳を迎えたし。色んな国を見てまわりたいんだ」
「そっか……寂しくなっちゃうわね」
「また会えるよ」
「旅から戻ったら連絡して!」
「分かった。皆が全員揃っていたら連絡するよ」
「約束だからね!」
「絶対よ!」
「待ってるからね!」
「うん、約束だ」
「元気でね!黒曜!」
「いい旅を!」
「君たちも元気で!それじゃあ!」
僕は手を振りながら彼女達に別れを告げた。
半年間、パーティーを組んでいた彼女達に振り替えることは一度もなかった。それは僕の中で彼女たちは既に仲間ではなかったからだ。
それはきっと彼女達も同じ。
いや、自覚がない分より質が悪い。
まあ、今頃は宿で待っている男とよろしくやっている事だろう。
ほんの少し前はこうではなかった。
あの男が現れるまでは良好な関係だった。仲間であり家族に近い存在だったと思う。
神官見習いの「エル」、剣士の「アーミ」、魔術師の「レヴィ」、そして薬師の僕「黒曜」。
僕以外の三人は全員十五歳から十八歳の女子。
人の事は言えないが、恐らく三人とも偽名だ。まあ、冒険者ギルドの場合は安全性を考えて遭えて本名を出さないのが暗黙の了解ともいえた。これは僕も登録してから知った。魔獣や獰猛な獣を退治するなら兎も角、仕事によっては「人」を相手取って戦う場合もある。要は、人からの逆恨みや復讐の可能性も考慮しなければならないということだ。
エルは回復魔法を得意とする心優しい十五歳の少女だった。
アーミは美しい剣術を披露する正義感が強く誇り高い十七歳。
レヴィは結界を張るのに長けた女性らしい性格の十八歳。
しかも三人とも大変な美少女だ。
それぞれ違ったタイプの美人で性格だって異なっている。
愛らしく無邪気なエル、キリッとした美貌のアーミ、肉感的な魅力を持つレヴィ。
彼女達が僕と組んだ理由は最後まで言わなかったが、僕は三人をかけがえのない仲間だと思っていた。
一ヶ月前までは――――
その宿屋を選んだのは偶然だった。
今思えば、宿を選ぶのはいつも女性陣。僕は彼女達の選んだ場所に文句一つ言わずに従ってきただけだ。
「ねえねえ、この宿なんてどうかしら?広くて小綺麗だわ!」
「そうね、他の宿屋よりも設備も整っているみたいだし」
「私も賛成だ。部屋にシャワー室があるのはありがたい」
「それ、大事だわ。大衆浴場なんてもうごめんだもの」
「レヴィ、失礼ですよ」
「あら、本当の事でしょ?」
「もう!仕方ない人ですね」
「ふふっ」
「あははっ」
楽しそうな笑い声につられて僕まで笑ってしまった。
「じゃあ、ここに決めましょう!」
「異議なし」
「決まりね」
こうして、僕らはその宿屋で部屋を取る事にした。
それが間違いだと気付かずに。
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