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~番外編 鈴木夫妻の被害者~

14.中島里香side

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 失敗した。
 もっと上手くやるべきだった。

 いい副業だったのに。

 逃げ遅れたせいで捕まちゃった。
 
 まぁ、それは良いわ。
 初犯だから直ぐに出られるって思ったのに。訳が分からない。よく分からないうちに病院に入院。どこも悪くないのに。

 先生たちと毎日お話。

 ここに来る前にお父さんや刑事たちからそ「それはいけないことだ」って何度も言われた。彼等の言っている事はイマイチよく解らなかった。
 
 先生は否定しない。

 薬を売買してるのは違反してるって理解してる。
 法律で禁止してるから、他者に売っても私は使用しなかった。やってるフリはしてたけどね。だから検査されても全然平気だった。
 だからって「薬を使用したことは無い」とは言えない。

 ただ単に、使だけ。

 だって法律で禁止してるんだもの。

 だから、合法の国でやった。
 結構多いんだよね。
 薬を合法化してる国って。

 経済活性化のためだって。
 売れるし、買う人間は多い。

 一度やると病みつきになる。
 まぁ、ハマるとヤバイとは思った。

 だから知らなかった。
 例え、薬が合法の国でも日本人は法律違反になるんだってことを。
 

「その国のルールに従っているのに?」

「里香さんはその国の国籍を持っていないでしょう?」

「……」

「合法化された国の人間ではありませんよね?」

「……」

「なら、違法になりますよね」

 確かに。
 でも、昔の虐めで訴えられるのはおかしい。
 過去の事をだし。
 私が虐めた訳じゃないのに。

 そもそも法律でも学校の校則にも「虐めをしてはいけません」なんて書かれていない。
 明記されてないのにおかしいじゃない。


「里香さん、今日はこの辺にしましょうか。疲れたでしょうから、また明日にしましょう」

 また、明日も来ないといけないのか。
 なんだか同じ事の繰り返し。一体いつまでここにいればいいんだろう。先生も話し合いの進展を何一つ私に教えてくれない。訊いたけど、少し笑って「もう少しね」って言うだけ。まぁ、いいけどね。暇だし。

 それに先生との話は嫌じゃない。

 
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