【完結】「離婚して欲しい」と言われましたので!

つくも茄子

文字の大きさ
上 下
100 / 130
~番外編 鈴木夫妻の被害者~

8.中島香織side

しおりを挟む
 
「あら、パパの言う通りじゃない」

「ママまで!」

「だって、貴女、向こうの両親から嫌われているんでしょう?」

「嫌われてません!」

「結婚を反対されてるって事は嫌ってるって事よ。バカな子ね」

「む~~~~~~っ」

「婿養子はママも大賛成よ。貴女の性格じゃあ、あちらの御両親と上手くやっていけっこないもの」

「そんなの分かんないでしょう?」

「分かるわよ」

 私は今、ママの経営するエステサロンに来てる。
 結婚式の為に、手入れをして貰ってるところ。

恋敵前妻は美人だったんでしょう?」

「……思ったよりマシってだけよ」

「しかも良妻賢母だっていうじゃない」

「私の方が若くて可愛いもん!」

「もうすぐ三十でしょう」

「まだ二年ありますぅ!ママの意地悪!!」

「結婚を急ぐからこうなるのよ。既婚者以外にだって良いのがいるでしょう」

「だって~~~、パパの持ってくる見合い話って良いのがいないじゃない。それに人の物ってそれだけ魅力的に見えるのよね~~っ」

「ママには香織が結婚に焦って慌てたようにしか見えないわ」

「う!」

「図星ね」

「だって……友達みんな結婚してくんだもの」」

「貴女のお友達の大半はで結婚していくのよ」

「それはそうだけど……」

 ママって変なところで鋭いのよね。
 パパとは反対。

「ママだって彼を『イイ男』だって言ってたじゃない」

「そうね、その通りね」

「その後に『イイ夫にはならないわね』って貶してたけど」

「あら、本当のことよ。ママの勘は当たるの」

「彼、会社じゃ『イクメン』で有名なんだよ?」

「本当の『イクメン』で『愛妻家』なら妻子に隠れて浮気なんてしないわ」

「ママッ!私達の愛は本物。浮気じゃないの!」

「はいはい」

 ママは私の手をマッサージしながら楽しげに言う。

「彼がイイ夫になるかどうかは兎も角、面倒な姑や舅がいない方が楽なものよ。ママ達も向こうの御両親に気を遣うのは真っ平だもの。秀一君を囲い込んでしまえばいいじゃない。パパはその気よ」

 うふふふ、とママは笑う。

 囲い込むねぇ。
 それってパパとママ達と一緒に暮らせってこと?新婚なのに?実家だとイチャイチャしにくいんですけど……。

 それにしてもママはパパの何処が良くて結婚したんだろう?
 特に美形って訳じゃないし……。ママ美人だからモテたはず。

「ねぇ、ママ?」

「なに?」

「なんでパパと結婚したの?」

「急にどうしたの?」

「う~~~ん、なんとなく?気になって……」

「パパがママにプロポーズしてきたから結婚したに決まっているでしょ?」

「あ~~~、そういうことじゃなくて。結婚の決め手というか。どこに惹かれたのかとか」

「お金よ」

「え?」

「パパ家は資産家だったからよ。それと、パパがと分かったから」

 ママ……。
 夢がない。
 現実過ぎてつまんない。





 お腹が目立たないうちにと早めの式を挙げる事になり、マジにちょっと急いだ。
 結局、パパとママの希望通り。
 秀一は婿入りして、彼は「中島秀一」となった。
 流石に同居は勘弁して欲しかったので、実家の近くのマンションを購入する形を取った。因みにマンションはパパからの結婚祝い。

 会社の同僚は「略奪婚」って陰口を言うけど、所詮は負け犬の遠吠えよ。
 私がパパの娘だって事は結婚式でバラしているから表立って攻撃される事はなかった。

 もっとも陰口が酷くなる前に退職したけどね。

 

しおりを挟む
感想 372

あなたにおすすめの小説

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

婚約破棄されたので、隠していた力を解放します

ミィタソ
恋愛
「――よって、私は君との婚約を破棄する」  豪華なシャンデリアが輝く舞踏会の会場。その中心で、王太子アレクシスが高らかに宣言した。  周囲の貴族たちは一斉にどよめき、私の顔を覗き込んでくる。興味津々な顔、驚きを隠せない顔、そして――あからさまに嘲笑する顔。  私は、この状況をただ静かに見つめていた。 「……そうですか」  あまりにも予想通りすぎて、拍子抜けするくらいだ。  婚約破棄、大いに結構。  慰謝料でも請求してやりますか。  私には隠された力がある。  これからは自由に生きるとしよう。

余命3ヶ月を言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のセイラは、ずっと孤独の中生きてきた。自分に興味のない父や婚約者で王太子のロイド。 特に王宮での居場所はなく、教育係には嫌味を言われ、王宮使用人たちからは、心無い噂を流される始末。さらに婚約者のロイドの傍には、美しくて人当たりの良い侯爵令嬢のミーアがいた。 ロイドを愛していたセイラは、辛くて苦しくて、胸が張り裂けそうになるのを必死に耐えていたのだ。 毎日息苦しい生活を強いられているせいか、最近ずっと調子が悪い。でもそれはきっと、気のせいだろう、そう思っていたセイラだが、ある日吐血してしまう。 診察の結果、母と同じ不治の病に掛かっており、余命3ヶ月と宣言されてしまったのだ。 もう残りわずかしか生きられないのなら、愛するロイドを解放してあげよう。そして自分は、屋敷でひっそりと最期を迎えよう。そう考えていたセイラ。 一方セイラが余命宣告を受けた事を知ったロイドは… ※両想いなのにすれ違っていた2人が、幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いいたします。 他サイトでも同時投稿中です。

婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!

さこの
恋愛
 婚約者の第五王子フランツ殿下には好きな令嬢が出来たみたい。その令嬢とは男爵家の養女で親戚筋にあたり現在私のうちに住んでいる。  婚約者の私が邪魔になり、身分剥奪そして追放される事になる。陛下や両親が留守の間に王都から追放され、辺境の町へと行く事になった。  100キロ以内近寄るな。100キロといえばクレマン? そこに第三王子フェリクス殿下が来て“グレマン”へ行くようにと言う。クレマンと“グレマン”だと方向は真逆です。  追放と言われましたので、屋敷に帰り準備をします。フランツ殿下が王族として下した命令は自分勝手なものですから、陛下達が帰って来たらどうなるでしょう?

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?

ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。 一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです

風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。 婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。 そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!? え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!? ※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。 ※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。

【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-

七瀬菜々
恋愛
 ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。   両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。  もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。  ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。  ---愛されていないわけじゃない。  アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。  しかし、その願いが届くことはなかった。  アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。  かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。  アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。 ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。  アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。  結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。  望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………? ※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。    ※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。 ※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。  

前世の旦那様、貴方とだけは結婚しません。

真咲
恋愛
全21話。他サイトでも掲載しています。 一度目の人生、愛した夫には他に想い人がいた。 侯爵令嬢リリア・エンダロインは幼い頃両親同士の取り決めで、幼馴染の公爵家の嫡男であるエスター・カンザスと婚約した。彼は学園時代のクラスメイトに恋をしていたけれど、リリアを優先し、リリアだけを大切にしてくれた。 二度目の人生。 リリアは、再びリリア・エンダロインとして生まれ変わっていた。 「次は、私がエスターを幸せにする」 自分が彼に幸せにしてもらったように。そのために、何がなんでも、エスターとだけは結婚しないと決めた。

処理中です...