78 / 130
~一度目~
30.浅田理事長side
しおりを挟む
厳しい環境下にある伴侶の立場も状況も全く理解していない。
それが一番厄介だろう。
内にも外にも敵だらけ。
味方のいない状況だ。「もう頑張れない」「無理だ」という言葉を無視する……この場合、何も聞かなかった事にする結婚相手。
一般家庭に育った伴侶はこんな未来は予想したいなかった。
四面楚歌の環境で精神はボロボロだ。
それでも離婚を許されず、幸せな結婚生活を強要され続ける。
悪夢だろうに……。
親や親族の反対を押し切って結婚した手前、意地になっている奴らもいるのだろう。だが数名は本当に伴侶の最悪の状況を理解していなかった。鈍感なのか、それとも自分が幸せだから相手や周囲が見えていないのか。
救いや拠り所がない。それとなるべき伴侶が自分を守らないのだ。絶望的な状況で精神崩壊を起こしていてもおかしくない。近年でパートナーなしで参加している既婚者が恐らくそうなのだろう。秘かに伴侶を精神科やカウンセラーに通わせて治療を受けている可能性が高い。
…………無関係ではいられない。
何しろ「シンデレラストーリー」は浅成学園から始まっているのだ。
この学園に在籍していた以上は「知らなかった」ことにはならない。
それだけじゃない。
鈴木の元妻。
彼女の事も問題だった。
瑕疵一つない女性に対して俺達は……。
しかもだ。
鈴木の元妻は再婚している上に、子供まで誕生しているんだ。
このことを鈴木は知っているのか?
知っているのなら俺達がしたことは……。
冷や汗が止まらない。
もし知っていたら……どうなる? ……いや、知らない可能性だってある。今まで鈴木の口から元妻の話題は上った事がない。早川と結婚したからな。早川を気遣ってあえて話題にしないのかもしれないが。
だが、もしそうでなったら?
突如、襲ってきた罪悪感に押し潰されそうになる。
無意識に持っていた報告書を強く握り締めていた。
それが一番厄介だろう。
内にも外にも敵だらけ。
味方のいない状況だ。「もう頑張れない」「無理だ」という言葉を無視する……この場合、何も聞かなかった事にする結婚相手。
一般家庭に育った伴侶はこんな未来は予想したいなかった。
四面楚歌の環境で精神はボロボロだ。
それでも離婚を許されず、幸せな結婚生活を強要され続ける。
悪夢だろうに……。
親や親族の反対を押し切って結婚した手前、意地になっている奴らもいるのだろう。だが数名は本当に伴侶の最悪の状況を理解していなかった。鈍感なのか、それとも自分が幸せだから相手や周囲が見えていないのか。
救いや拠り所がない。それとなるべき伴侶が自分を守らないのだ。絶望的な状況で精神崩壊を起こしていてもおかしくない。近年でパートナーなしで参加している既婚者が恐らくそうなのだろう。秘かに伴侶を精神科やカウンセラーに通わせて治療を受けている可能性が高い。
…………無関係ではいられない。
何しろ「シンデレラストーリー」は浅成学園から始まっているのだ。
この学園に在籍していた以上は「知らなかった」ことにはならない。
それだけじゃない。
鈴木の元妻。
彼女の事も問題だった。
瑕疵一つない女性に対して俺達は……。
しかもだ。
鈴木の元妻は再婚している上に、子供まで誕生しているんだ。
このことを鈴木は知っているのか?
知っているのなら俺達がしたことは……。
冷や汗が止まらない。
もし知っていたら……どうなる? ……いや、知らない可能性だってある。今まで鈴木の口から元妻の話題は上った事がない。早川と結婚したからな。早川を気遣ってあえて話題にしないのかもしれないが。
だが、もしそうでなったら?
突如、襲ってきた罪悪感に押し潰されそうになる。
無意識に持っていた報告書を強く握り締めていた。
81
お気に入りに追加
4,562
あなたにおすすめの小説
望まれない結婚〜相手は前妻を忘れられない初恋の人でした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【忘れるな、憎い君と結婚するのは亡き妻の遺言だということを】
男爵家令嬢、ジェニファーは薄幸な少女だった。両親を早くに亡くし、意地悪な叔母と叔父に育てられた彼女には忘れられない初恋があった。それは少女時代、病弱な従姉妹の話し相手として滞在した避暑地で偶然出会った少年。年が近かった2人は頻繁に会っては楽しい日々を過ごしているうちに、ジェニファーは少年に好意を抱くようになっていった。
少年に恋したジェニファーは今の生活が長く続くことを祈った。
けれど従姉妹の体調が悪化し、遠くの病院に入院することになり、ジェニファーの役目は終わった。
少年に別れを告げる事もできずに、元の生活に戻ることになってしまったのだ。
それから十数年の時が流れ、音信不通になっていた従姉妹が自分の初恋の男性と結婚したことを知る。その事実にショックを受けたものの、ジェニファーは2人の結婚を心から祝うことにした。
その2年後、従姉妹は病で亡くなってしまう。それから1年の歳月が流れ、突然彼から求婚状が届けられた。ずっと彼のことが忘れられなかったジェニファーは、喜んで後妻に入ることにしたのだが……。
そこには残酷な現実が待っていた――
*他サイトでも投稿中
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
姉の婚約者であるはずの第一王子に「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」と言われました。
ふまさ
恋愛
「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」
ある日の休日。家族に疎まれ、蔑まれながら育ったマイラに、第一王子であり、姉の婚約者であるはずのヘイデンがそう告げた。その隣で、姉のパメラが偉そうにふんぞりかえる。
「ぞんぶんに感謝してよ、マイラ。あたしがヘイデン殿下に口添えしたんだから!」
一方的に条件を押し付けられ、望まぬまま、第一王子の婚約者となったマイラは、それでもつかの間の安らぎを手に入れ、歓喜する。
だって。
──これ以上の幸せがあるなんて、知らなかったから。
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】裏切っておいて今になって謝罪ですか? もう手遅れですよ?
かとるり
恋愛
婚約者であるハワード王子が他の女性と抱き合っている現場を目撃してしまった公爵令嬢アレクシア。
まるで悪いことをしたとは思わないハワード王子に対し、もう信じることは絶対にないと思うアレクシアだった。
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる