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~一度目~
10.陽向side
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「え!?妊娠!?」
驚いた。
本当に驚いた。
最近体調が悪くて病院に来てみたら、 まさかの妊娠が判明したのだった。
ほぇ~~~。
赤ちゃんか~~。
出来たのかぁ~。
驚き過ぎて嬉しいというより正直実感が湧いてこなかった。
それでも結婚して随分経つ。別段、子供が欲しいって思ってはなかった。できたらいいな、といったぐあいかな?晃司もそれっぽかったし。でも本当に妊娠してるとなるとジワジワと喜びが押し寄せて来るのが分かった。
そっか。
私、本当は子供が欲しかったんだ。
「はっ?! 妊娠……?」
「そう妊娠!子供ができたんだよ!!」
思った通り、晃司はメチャクチャ驚いてた。そりゃそうだ。私だって驚いてるんだもん。
「そうか……子供が……」
晃司はそれだけ呟くと黙り込んでしまった。
どうしたのかな?
「晃司?」
「あ、いや……意外だったからさ」
「え?」
「いや、子供のいる生活ってイメージが湧かなくてさ」
「なんだ~!そんなことぉ~。私だって想像してなかったよぉ~~!」
私は笑った。
だけど、何故か晃司は笑ってくれなかった。
心なしか暗いような……?
……もしかして晃司って子供嫌いだった……とか?でもまさか、晃司が……ねぇ……? そんな雰囲気でもなかったし。あ!子供について今までまともに話し合ってこなかった気が……するかも?だから不安になったとか?それとも一時期不妊治療を受けようって私が言った事を気にしてた?でもでもアレはお義母さんの催促が凄かったからで……違うの?ダメだ。混乱してきた。
「え……と……晃司って、子供が嫌いだったりする?」
「……いや、別に……好きでも嫌いでもないが」
「だ、だよね~~。ごめん。何だかあんまり嬉しそうじゃなかったから。てっきり子供嫌いなのかなって」
「……」
晃司はずっと黙ったまま。
私は自分一人で話してどんどん声が小さくなっていく。
やっぱりダメじゃん。
コレって子供嫌いなのを隠してたパターンじゃん!
最悪~~!晃司にずっと気を使わせてたの!? 分かんないよ~~っ。そんなこと!!子供が出来たって喜んだ矢先でコレって。この謎にドンヨリした空気ってヤバい……めちゃくちゃへこむ。私がショック受けちゃう……なんて考えてたら、やっと晃司が口を開いた。
「……そうか、俺も父親になるのか……」
そう言うと私のお腹をそっと撫でてくれた。
優しい顔。
撫でる手も優しい。
私も晃司の手の上に自分の掌を重ねてお腹に手を当てた。
「そうだよ……私たち二人の赤ちゃん。私達の子供がココに居るんだよ」
「そっか……」
晃司は私のお腹に手を当てたまま「ありがとう」と言った。
幸せだった。
来年になったら新しい家族が増える。
もしかすると数年後にはもっと増えてるかも。想像するだけで楽しくなってきた。
幸せに浮き立っていた私は気付かなかった。
近所の産婦人科病院の院長先生が逮捕されたことを。
ご近所の情報で患者さんに猥褻行為をしてたことを。
院長は逮捕され、病院は閉鎖されることになった。
「怖い事件よね?」と皆で笑いながら話していた。
驚いた。
本当に驚いた。
最近体調が悪くて病院に来てみたら、 まさかの妊娠が判明したのだった。
ほぇ~~~。
赤ちゃんか~~。
出来たのかぁ~。
驚き過ぎて嬉しいというより正直実感が湧いてこなかった。
それでも結婚して随分経つ。別段、子供が欲しいって思ってはなかった。できたらいいな、といったぐあいかな?晃司もそれっぽかったし。でも本当に妊娠してるとなるとジワジワと喜びが押し寄せて来るのが分かった。
そっか。
私、本当は子供が欲しかったんだ。
「はっ?! 妊娠……?」
「そう妊娠!子供ができたんだよ!!」
思った通り、晃司はメチャクチャ驚いてた。そりゃそうだ。私だって驚いてるんだもん。
「そうか……子供が……」
晃司はそれだけ呟くと黙り込んでしまった。
どうしたのかな?
「晃司?」
「あ、いや……意外だったからさ」
「え?」
「いや、子供のいる生活ってイメージが湧かなくてさ」
「なんだ~!そんなことぉ~。私だって想像してなかったよぉ~~!」
私は笑った。
だけど、何故か晃司は笑ってくれなかった。
心なしか暗いような……?
……もしかして晃司って子供嫌いだった……とか?でもまさか、晃司が……ねぇ……? そんな雰囲気でもなかったし。あ!子供について今までまともに話し合ってこなかった気が……するかも?だから不安になったとか?それとも一時期不妊治療を受けようって私が言った事を気にしてた?でもでもアレはお義母さんの催促が凄かったからで……違うの?ダメだ。混乱してきた。
「え……と……晃司って、子供が嫌いだったりする?」
「……いや、別に……好きでも嫌いでもないが」
「だ、だよね~~。ごめん。何だかあんまり嬉しそうじゃなかったから。てっきり子供嫌いなのかなって」
「……」
晃司はずっと黙ったまま。
私は自分一人で話してどんどん声が小さくなっていく。
やっぱりダメじゃん。
コレって子供嫌いなのを隠してたパターンじゃん!
最悪~~!晃司にずっと気を使わせてたの!? 分かんないよ~~っ。そんなこと!!子供が出来たって喜んだ矢先でコレって。この謎にドンヨリした空気ってヤバい……めちゃくちゃへこむ。私がショック受けちゃう……なんて考えてたら、やっと晃司が口を開いた。
「……そうか、俺も父親になるのか……」
そう言うと私のお腹をそっと撫でてくれた。
優しい顔。
撫でる手も優しい。
私も晃司の手の上に自分の掌を重ねてお腹に手を当てた。
「そうだよ……私たち二人の赤ちゃん。私達の子供がココに居るんだよ」
「そっか……」
晃司は私のお腹に手を当てたまま「ありがとう」と言った。
幸せだった。
来年になったら新しい家族が増える。
もしかすると数年後にはもっと増えてるかも。想像するだけで楽しくなってきた。
幸せに浮き立っていた私は気付かなかった。
近所の産婦人科病院の院長先生が逮捕されたことを。
ご近所の情報で患者さんに猥褻行為をしてたことを。
院長は逮捕され、病院は閉鎖されることになった。
「怖い事件よね?」と皆で笑いながら話していた。
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