【完結】「離婚して欲しい」と言われましたので!

つくも茄子

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7.陽向side

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 晃司と再会して数か月後――


『妻とは離婚する。陽向、俺と結婚してくれ』


 そう言ってくれた。

 嬉しかった。
 だってずっと好きだったから。
 晃司と別れても忘れられなかった。誰と付き合っても長続きしなかった。この人は!と思った相手はどことなく晃司に似た人で……。そういう人に限って相手がいた。


 晃司は私を選んでくれた。
 奥さんじゃなくて、私を!!


 でも奥さんから慰謝料を請求された。


 なんで!?
 あっちが後から割り込んできたのに!!
 私と晃司は元々恋人同士だった!!!

 お邪魔虫はあっちじゃない!!!


『世慣れていない桃子がした事じゃない。恐らく伊集院家が請求してきたんだろう』

 晃司は冷静だった。
 お嬢様育ちで世間の荒波を経験した事のない人だから仕方ないんだって!
 奥さんの実家が意地悪してるんだから奥さんにだって責任があるでしょう!?

 あんな法外な金額を請求するなんて常識外れもいいところよ!何なの!?冗談じゃないわ!!

 ただ、法的には彼女は晃司の『妻』だから。だから……謝らないといけない。そう思った。謝ったら許してくれる。だって私達は何も悪い事はしてないんだから。

 なのに……。なのにお父さんは私が悪いって。
 どうして私が!?なんで!?

『相手は既婚者なんだ!お前は人の道を踏み外したんだぞ!?なのに自分は悪くないと言う気か!!?』

 怒鳴られた。
 顔を真っ赤にして怒るお父さんを初めてみた。

 どうして!? だって元々晃司と付き合っていたのは私だよ!?あの人が後から割り込んできたんじゃない!!あの人がいなかったら私と晃司は別れる必要なんてなかった!!大学卒業後には結婚していた筈よ!!!

 なんで?どうして私を理解してくれないの!? 

『相手の方に謝罪しないと……』

 お父さんの呟きを聞いて腹が立った。
 どうしてっ!!どうして!? 悪いところなんて何一つない!!悪いのはあ・い・て!!「悪いのはその女じゃない!なんでお父さんが謝るのよ!?」と叫んだ私を信じられない者を見るような目で見てきたお父さんはそれから私を避けるようになった。もう私の話は一切聞いてくれなくなった!!

 もう訳が解らないよ……。

 晃司に相談しようか迷った時だった。ふと目にした法律事務所の看板。
 相談無料の文字が目に入ったの……。気付いたら私は事務所のドアを開けてた。そしたら――

『相手の奥さんが慰謝料を請求してきたんですか。そう言うケースは多いですね。そうですね……お父様の仰る通り、謝罪をするのも一つの手かと』

『誠意ある謝罪はきっと相手の心に訴える事もありますから』

 弁護士さんの言葉は不思議。
 ちょっと晃司に似ているからかな?素直に聞ける。

 だから謝ったんだ。
 晃司の奥さんに。ああ、もう元奥さんだっけ?

 でも許してくれなかった。
 運転手?使用人?そんな感じの人に阻まれて失礼な事を言われまくった。お金どうしよう……。


『心配しなくていい。陽向の慰謝料は俺が払う』

 晃司が事態を察してくれた。
 その後は全てトントン拍子に進んでいったの。

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