96 / 112
96.クーデター2
しおりを挟む
僕の指摘に対して義母は溜息をつく。
「ミゲルの言う通り、次期大公は決まっていないわ。ただ、アイゼンシュタイン侯爵が今回のクーデターの首謀者である事は間違いないわ。クーデターで大公家は壊滅状態。大公家は幼い子供に至るまで殺されているわ」
「見せしめですか?」
「今回ばかりは違うみたいだわ。一族総出でクーデターを起こしたのよ。いうなれば戦死ね」
「戦死……」
「クーデターで戦死と言うのもおかしな話だけれど、そう言うに相応しいものだったそうよ。御年輩の方から幼い子供まで武器を持って戦ったという話だわ」
なんでそこまでするのか理解できない。
まあ、クーデター起こしたこと事態に理解が及ばないけど。
「大公家……この場合はアイゼンシュタイン侯爵というべきでしょうか?侯爵はクーデターが成功すると思ったのでしょうか?」
ブリジットが首を傾げて尋ねると義母は大きくため息をついた。
その様子だけで答えが出ているようなものだ。
僕達にとっては良い迷惑だし、巻き込まれる方はたまったものではないだろうなと思う。
「成功する確率は低いと分かっていたはずです。けれどこの機会を逃がしてしまうと次は無いのも確か。一か八かの賭けに打って出たのでしょう。危い賭けではありますが、チャンスである事も確かです」
「なぜそのような危険な事をしたのでしょうか?失敗しては元も子もありません。勝算が低いのなら尚更ではありませんか」
「侯爵も後がないと感じたのでしょう。正規軍が勝っても連合軍が勝っても大公家に未来はありませんからね。大公家は今もまだ反王家の看板を下ろしていない状態です。かと言って、ぺーゼロット公爵家と親交がない。数で勝る正規軍が連合軍に押されているのを見てこちらに付こうと考えてもおかしくはないでしょう。大公家にしてみれば王家が勝つよりも公爵家が勝った方がいいと考えたのでしょう。王家が勝った場合、下手をすれば大公家そのものが無くなる恐れがありますから。いいえ、大公家に属していた者達の死すらあり得たかもしれません。エンリケ王子と宰相にとって彼らは邪魔な存在以外の何物でもありませんからね」
つまり、どちらに転んでも死ぬ可能性が少なからずあると言う事か。
「座して死を待つよりは……と言ったところでしょうか?」
「そうかもしれないわね。このクーデターが成功していれば私達も彼らの功績を無視するわけにはいかないわ。同じ反逆者だと言われればそれまでですもの。それに、彼らが恭順してくるならそれを拒否する事も出来なかったでしょうね。公爵家と王家にとっては意味のない行為だけれど見方を変えれば意味のある行動だわ」
確かに見方によってはそうだ。
大公家もまた生き残る事に必死なのだろう。
「ミゲルの言う通り、次期大公は決まっていないわ。ただ、アイゼンシュタイン侯爵が今回のクーデターの首謀者である事は間違いないわ。クーデターで大公家は壊滅状態。大公家は幼い子供に至るまで殺されているわ」
「見せしめですか?」
「今回ばかりは違うみたいだわ。一族総出でクーデターを起こしたのよ。いうなれば戦死ね」
「戦死……」
「クーデターで戦死と言うのもおかしな話だけれど、そう言うに相応しいものだったそうよ。御年輩の方から幼い子供まで武器を持って戦ったという話だわ」
なんでそこまでするのか理解できない。
まあ、クーデター起こしたこと事態に理解が及ばないけど。
「大公家……この場合はアイゼンシュタイン侯爵というべきでしょうか?侯爵はクーデターが成功すると思ったのでしょうか?」
ブリジットが首を傾げて尋ねると義母は大きくため息をついた。
その様子だけで答えが出ているようなものだ。
僕達にとっては良い迷惑だし、巻き込まれる方はたまったものではないだろうなと思う。
「成功する確率は低いと分かっていたはずです。けれどこの機会を逃がしてしまうと次は無いのも確か。一か八かの賭けに打って出たのでしょう。危い賭けではありますが、チャンスである事も確かです」
「なぜそのような危険な事をしたのでしょうか?失敗しては元も子もありません。勝算が低いのなら尚更ではありませんか」
「侯爵も後がないと感じたのでしょう。正規軍が勝っても連合軍が勝っても大公家に未来はありませんからね。大公家は今もまだ反王家の看板を下ろしていない状態です。かと言って、ぺーゼロット公爵家と親交がない。数で勝る正規軍が連合軍に押されているのを見てこちらに付こうと考えてもおかしくはないでしょう。大公家にしてみれば王家が勝つよりも公爵家が勝った方がいいと考えたのでしょう。王家が勝った場合、下手をすれば大公家そのものが無くなる恐れがありますから。いいえ、大公家に属していた者達の死すらあり得たかもしれません。エンリケ王子と宰相にとって彼らは邪魔な存在以外の何物でもありませんからね」
つまり、どちらに転んでも死ぬ可能性が少なからずあると言う事か。
「座して死を待つよりは……と言ったところでしょうか?」
「そうかもしれないわね。このクーデターが成功していれば私達も彼らの功績を無視するわけにはいかないわ。同じ反逆者だと言われればそれまでですもの。それに、彼らが恭順してくるならそれを拒否する事も出来なかったでしょうね。公爵家と王家にとっては意味のない行為だけれど見方を変えれば意味のある行動だわ」
確かに見方によってはそうだ。
大公家もまた生き残る事に必死なのだろう。
124
お気に入りに追加
3,308
あなたにおすすめの小説

私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!
近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。
「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」
声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。
※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です!
※「カクヨム」にも掲載しています。
辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~
紫月 由良
恋愛
辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。
魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています
修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね
星里有乃
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』
悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。
地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……?
* この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。
* 2025年2月1日、本編完結しました。予定より少し文字数多めです。番外編や後日談など、また改めて投稿出来たらと思います。ご覧いただきありがとうございました!

似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。

聖女じゃないと追い出されたので、敵対国で錬金術師として生きていきます!
ぽっちゃりおっさん
恋愛
『お前は聖女ではない』と家族共々追い出された私達一家。
ほうほうの体で追い出され、逃げるようにして敵対していた国家に辿り着いた。
そこで私は重要な事に気が付いた。
私は聖女ではなく、錬金術師であった。
悔しさにまみれた、私は敵対国で力をつけ、私を追い出した国家に復讐を誓う!

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

異世界から本物の聖女が来たからと、追い出された聖女は自由に生きたい! (完結)
深月カナメ
恋愛
十歳から十八歳まで聖女として、国の為に祈り続けた、白銀の髪、グリーンの瞳、伯爵令嬢ヒーラギだった。
そんなある日、異世界から聖女ーーアリカが降臨した。一応アリカも聖女だってらしく傷を治す力を持っていた。
この世界には珍しい黒髪、黒い瞳の彼女をみて、自分を嫌っていた王子、国王陛下、王妃、騎士など周りは本物の聖女が来たと喜ぶ。
聖女で、王子の婚約者だったヒーラギは婚約破棄されてしまう。
ヒーラギは新しい聖女が現れたのなら、自分の役目は終わった、これからは美味しいものをたくさん食べて、自由に生きると決めた。

余命3ヶ月を言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のセイラは、ずっと孤独の中生きてきた。自分に興味のない父や婚約者で王太子のロイド。
特に王宮での居場所はなく、教育係には嫌味を言われ、王宮使用人たちからは、心無い噂を流される始末。さらに婚約者のロイドの傍には、美しくて人当たりの良い侯爵令嬢のミーアがいた。
ロイドを愛していたセイラは、辛くて苦しくて、胸が張り裂けそうになるのを必死に耐えていたのだ。
毎日息苦しい生活を強いられているせいか、最近ずっと調子が悪い。でもそれはきっと、気のせいだろう、そう思っていたセイラだが、ある日吐血してしまう。
診察の結果、母と同じ不治の病に掛かっており、余命3ヶ月と宣言されてしまったのだ。
もう残りわずかしか生きられないのなら、愛するロイドを解放してあげよう。そして自分は、屋敷でひっそりと最期を迎えよう。そう考えていたセイラ。
一方セイラが余命宣告を受けた事を知ったロイドは…
※両想いなのにすれ違っていた2人が、幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いいたします。
他サイトでも同時投稿中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる