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86.予想外の展開
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予想通り、大公家では跡取り問題が勃発した。
それに合わせるように神官長が死に神殿勢力は大公家から離れた。その数日後に大公女が事故死したと発表された。
何が起きたんだ!?
大公の死を皮切りに次々と起こる異常事態に頭がパンクしそうだった。
「話が逆なのよ」
混乱している僕を気にもせずブリジットは説明を続けた。
「最初に死んだのは大公女の方。次に神官長が死んだの。それを神殿側と大公家が共謀して事故として処理したのが今の状態よ」
「なんでまたそんなことを……」
「これも仕方のない事なんでしょうね。大公女を殺したのは神官長の息子。神殿側としてもそんな不祥事を表沙汰にはできなかったのでしょう」
「え?」
意外な人物が出てきた。
というか動機ってまさか!!
「知ってしまったのでしょうね。大公家のやり口を。彼の場合は大公女のやり口と言った方がいいのかしら?まあ、彼も頭のどこかではおかしいと感じてはいたのでしょうね」
「決定的な証拠でも見つかったとか?」
「影の報告では第一王子派と接触した直後から様子がおかしかったみたいなの。恐らく、そちらから情報を手に入れたんでしょうね」
「第一王子が何でまた……」
「それは分からないわ。親切心で教えたのか、大公家の力を削ぐために情報をリークしたのか……それとも全く別の理由があるのか……。ただ、神官長の息子が大公女を殺すことは全く予想していなかったのは確かでしょうね。大公女が亡くなったと発表されて以降は表舞台に出てきていないわ。表向きは『婚約者の喪に服す』となっているけれど実際のところどうなのかはまだ分かっていないの」
どうしよう。
頭を抱えたくなった。
「それで、大公女を殺した神官長の息子は今どうしてるんです?」
「亡くなったわ。大公女を殺して自害したの」
「そう……」
「その後に神殿で神官長が亡くなっているわ。これは別のルートからの情報だけど神殿でクーデターが起こって現体制側が負けてしまったみたい。そこで新しいトップが誕生したのだけど……この話は後回しにするわ。とりあえずはこの二つの死に関して、神殿側は事故死として片付けたかったみたいね。そして、その企みは成功した」
「なんでまたそんなことを。神官長を殺したところで意味ないのに」
「そうでもないわ。大公家との縁は切れなくとも派閥から抜け出す事は可能だわ。それには神官長は邪魔だった筈よ」
「邪魔?」
「ええ、大いにね。神官長からすると大公家はまだ利用できると踏んでいたのでしょうね。けれど他の者が自分と同じ考えとは限らない。別の視点で見ると大公家は危ういわ。衰退とまでいかなくとも今までより勢力は縮小するのは目に見えているもの。大公家の勢力が衰えて困るのは神殿側だわ。なにしろ、王家とは敵とは言わないけれど良好ともいい難い関係が何年も続いているのよ?これでもし第一王子が王位に就いてごらんなさい。目も当てられないわ。陛下が病床についているのも彼らの不安を煽ったのかもしれないわね」
要は、他の神官たちは神官長についていけないと感じたのだろう。
このままでは神殿側は大公家に良いように操られると思ったのかもしれない。神官長の息子が大公女を殺したんだ。それを盾に脅迫されると思っても無理はない。それとも大公派が分解し始め旗色も悪くなりつつあるためか。ここら辺で王家と和解しなければ不味いと感じたのかは分からない。
ただ、自分達が生き残るには神官長の存在は邪魔だったということだ。
それに合わせるように神官長が死に神殿勢力は大公家から離れた。その数日後に大公女が事故死したと発表された。
何が起きたんだ!?
大公の死を皮切りに次々と起こる異常事態に頭がパンクしそうだった。
「話が逆なのよ」
混乱している僕を気にもせずブリジットは説明を続けた。
「最初に死んだのは大公女の方。次に神官長が死んだの。それを神殿側と大公家が共謀して事故として処理したのが今の状態よ」
「なんでまたそんなことを……」
「これも仕方のない事なんでしょうね。大公女を殺したのは神官長の息子。神殿側としてもそんな不祥事を表沙汰にはできなかったのでしょう」
「え?」
意外な人物が出てきた。
というか動機ってまさか!!
「知ってしまったのでしょうね。大公家のやり口を。彼の場合は大公女のやり口と言った方がいいのかしら?まあ、彼も頭のどこかではおかしいと感じてはいたのでしょうね」
「決定的な証拠でも見つかったとか?」
「影の報告では第一王子派と接触した直後から様子がおかしかったみたいなの。恐らく、そちらから情報を手に入れたんでしょうね」
「第一王子が何でまた……」
「それは分からないわ。親切心で教えたのか、大公家の力を削ぐために情報をリークしたのか……それとも全く別の理由があるのか……。ただ、神官長の息子が大公女を殺すことは全く予想していなかったのは確かでしょうね。大公女が亡くなったと発表されて以降は表舞台に出てきていないわ。表向きは『婚約者の喪に服す』となっているけれど実際のところどうなのかはまだ分かっていないの」
どうしよう。
頭を抱えたくなった。
「それで、大公女を殺した神官長の息子は今どうしてるんです?」
「亡くなったわ。大公女を殺して自害したの」
「そう……」
「その後に神殿で神官長が亡くなっているわ。これは別のルートからの情報だけど神殿でクーデターが起こって現体制側が負けてしまったみたい。そこで新しいトップが誕生したのだけど……この話は後回しにするわ。とりあえずはこの二つの死に関して、神殿側は事故死として片付けたかったみたいね。そして、その企みは成功した」
「なんでまたそんなことを。神官長を殺したところで意味ないのに」
「そうでもないわ。大公家との縁は切れなくとも派閥から抜け出す事は可能だわ。それには神官長は邪魔だった筈よ」
「邪魔?」
「ええ、大いにね。神官長からすると大公家はまだ利用できると踏んでいたのでしょうね。けれど他の者が自分と同じ考えとは限らない。別の視点で見ると大公家は危ういわ。衰退とまでいかなくとも今までより勢力は縮小するのは目に見えているもの。大公家の勢力が衰えて困るのは神殿側だわ。なにしろ、王家とは敵とは言わないけれど良好ともいい難い関係が何年も続いているのよ?これでもし第一王子が王位に就いてごらんなさい。目も当てられないわ。陛下が病床についているのも彼らの不安を煽ったのかもしれないわね」
要は、他の神官たちは神官長についていけないと感じたのだろう。
このままでは神殿側は大公家に良いように操られると思ったのかもしれない。神官長の息子が大公女を殺したんだ。それを盾に脅迫されると思っても無理はない。それとも大公派が分解し始め旗色も悪くなりつつあるためか。ここら辺で王家と和解しなければ不味いと感じたのかは分からない。
ただ、自分達が生き残るには神官長の存在は邪魔だったということだ。
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