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75.準成人パーティー2

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「これは、ぺーゼロット公爵家の二人ではないか。私はグラバー大公家の現当主、ゼラルド・グラバーだ。学園では娘達が世話になった」

 真打きたーーー!!!

「これは、ご挨拶が遅れました。私はミゲル・ぺーゼロットと申します。こちらは義姉のブリジットです」

「お初にお目にかかり光栄でございます。大公閣下。私はぺーゼロット公爵家が第一子、ブリジット・ベアトリス・ぺーゼロットと申します。以後、お見知りおきを」
「ほぉ、これはまた噂以上に美しい御令嬢だ。是非、私の孫息子に紹介したいくらいだ」

 要らん!!
 迷惑!!
 帰れ!!

「それは素晴らしいことです。大公閣下の孫息子様でしたら閣下と同様に青紫の目をお持ちでしょう」
 
「……私と同様に?」
 
「はい。王家の血の結晶と言われる瞳の色を受け継ぐ者同士、きっと気が合うと思います」
 
「……」
 
「閣下のお孫様は今どちらに?」
 
「……はははっ。私の孫はどれも出来が悪くてな。とても公爵令嬢と娶せる事はできまい。すまないね。この事は忘れてくれ」

 心なしか表情が硬くなった大公はそのまま立ち去った。
 え?なんだったんだ?
 もっと粘って来ると思っていたのに。

「ミゲル、あなたやるわね」
 
「え?」
 
「あの大公の地雷を踏み抜くなんて」
 
「え?」

 地雷なんてあった?
 どれ?
 普通に会話していただけだけど?

「今の大公家には当主である彼以外に『青紫の目』を持つ者はいないわ。一人もね。だからこそ大公はあの歳になっても当主を譲らないの。人一倍『王家の色』に拘っていた大公の子供と孫にそれが現れなかったのは皮肉としか言いようがないでしょうね」

「それって別に大公のせいではないし、『王家の色』を持たないのは大公以外なんだから別に地雷でも何でもなくない?」

「甘いわね」

「え?」

「だからでしょう。自分の血筋に『価値無しの色』が出た事は彼にとってみれば屈辱以外の何物でもないわ。自分と同じ目を持つ優秀な息子を期待していたのに産まれたのは全て娘。『乱倫』『色狂い』と陰で言われても止めなかったのは理想の息子を追い求めていたからでしょうね」

「……」
 
「でも結局、彼は自分の息子を持つ事はできなかった。それでも、諦めきれない思いがあったんでしょうね。自分が出来なかった事を娘達に託した。大公の大勢いる娘達は息子を何人か産んでいるけれど肝心の目の色が『価値無しの色』ばかり。大公にとって自分以外の親族の目の色はある意味でタブーなのよ。もちろん、大公はそんな事おくびにも出さないけどね」
 
「めんどくさい人だね。目の色なんて何でもいいじゃないか」
 
「大公はそうじゃないのよ。特に自分ではなく、自分の血を受け継ぐ娘と孫がそうだという事にプライドが傷つけられるのでしょうね」
 
「厄介なプライドだ」
 
「まったくだわ。だから、会話は慎重にね」
 
「は~~~い」

 本当に面倒臭い一族だ。
 関わり合いになりたくない。

 
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