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67.退学処分1
しおりを挟む王立学園の醜聞が朝刊のトップを飾った。
今年度に編入してきた大公女とその護衛兼学友たちによる「暴言と暴行未遂」の立体写真付きですっぱ抜かれていた。
新聞社曰く「匿名で手に入れた情報だ」とのこと。
実にいい仕事をしてくれた。
大公女とその仲間の醜い姿の立体写真は新聞に掲載され、リアル感が半端ない。
王族である事を理由に横柄な態度を取る大公女。
大公女の名を使って王様気分の取り巻き達。
停学処分になった者の早期復帰。
【大公家が王立学園に圧力か!?】
【傍若無人な大公家は同派閥の貴族に対する優遇措置を学園に求めている!?】
【登校初日に暴行未遂が起こっていた!!被害者に闇討ちという暴力行為という最悪な手段をとった背景には大公家の存在が見え隠れしている!!】
新聞の一面にはそんな記事が踊っていた。
当然、世間は大騒ぎである。
「王族として恥知らずにも程がある!」「権力を利用しての暴挙!」「最低だ!!」等々。
新聞を読んだ世論は怒り心頭である。
それは貴族階級にも及んでいる。
今まで散々好き勝手やってきたのだ、当然だろう。
ただ、大公女の取り巻きの親達は自分の息子達の所業を知らなかったらしく慌てて謝罪にきた。
新聞の記事を見て初めて事実を知ったらしい。
こうなることを全く想定していなかったのだろうか? まあ、この手のスキャンダルってのは何時の時代も親は後から知るものなのかもしれない。特に学校という閉鎖的な世界の中で行われた事だ。隠蔽されやすく発覚しにくいしね。
ともあれ僕としては今回の大公女とその取り巻きの退学処分は妥当な判断だと思っている。
流石の大公も世間にここまで叩かれたら嫌でも娘の教育を見直さざるを得ない。
彼女達に迷惑を掛けられた者達の親の中には王宮勤務の者が大勢いた。
それもあって大公は娘達の退学処分に反対しなかったのだろう。
なんにしてもこれで大公の発言力は低下した。
一時的になるのかもしれないが、取り巻き達は親元に帰された。
まあ、こんな派手に新聞に載れば大公家には居辛いだろう。
ただ、何故か第一王子は学園にそのまま残るそうだ。
何故!?
いっその事一緒に辞めてくれたらよかったのに……。
僕が知る限り、前回の第一王子は歳を取るにつれその性質は最悪になっていった。前とは何もかも違うとはいえ油断はできない。とは言え、大公女とその仲間達が学園を去ったのは僥倖だ。
やっぱり、マスコミを動かして正解だった。
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