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19.公爵の部下side
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今更ながらフォード達を調べ直した際に、教え子達も調査対象とした。理由は簡単だ。彼らの実績は本物。例外なく優秀な人材を世に送り出している。だが果たしてそれは事実なのだろうか?取りこぼした情報があるのではないか?例えば教育課程を強制的に終了したとか。
疑い出したらキリがない。
なぜならば、彼らは教師として不適格な者達だからだ。教育者としてはあり得ない姿は、例え脱落者が出たとしても雇用者側を抱き込んで隠蔽していたと言われても驚かない程に外道だった。
そして、その疑念は的中した。
「あぁぁぁぁぁああ! この報告書!!なぜもっと早く提出しなかったんだ!!?!」
宰相は調べ上げた調査報告書を片手に叫んだ。
「申し訳ございません。ですが、まさかこんなことになろうとは思ってもみませんでしたので……」
報告してきた部下の伯爵も項垂れるしかない。
そう、ここまで酷い人物だと思わなかったのだ。
いや、それこそ貴族ならば誰だって思うまい。ましてフォード氏の学歴や実績も調べれば調べるほどに優秀であることが分かるから尚更だ。だからこそ騙されてしまったのだが。
結論からいえば、フォード一派の家庭教師達は過剰評価されていた。
まあ、それも当然だった。
なにしろ、落第した教え子たちは例外なく精神を崩壊させられていたのだ。家名に傷がつくことを恐れた当主達は挙ってそれらを隠蔽していた。そのせいで今まで露見しなかったとも言えた。
心を壊されたのは下位貴族の子弟ばかりだ。
だからこそ見落とされていたとも言える。
被害者の生徒は多いが残念?いや、喜ぶべきことにミゲル様はその中に含まれていない。フォード氏が加虐する前にその優秀さを見せつけて静かに反撃したおかげだろう。もしも、ミゲル様が気弱な性格ならきっと悲惨な結果となっていたはずだ。そうならなかっただけでも良かったと思うしかない。
ただ、今回の事で貴族達は思ったはずだ。自分の息子や娘の家庭教師は大丈夫なのか?と危機感を覚えて動き出すだろう。考えるだけでも頭が痛い。
「ぐぬぬ……これでは私がフォードを罰することもできないではないか……」
宰相の顔色は真っ青を通り越して土気色になっていた。怒りか悔しさか、プルプルと小刻みに震えている。握り締めた拳からは爪の跡がくっきり残っていて血が滴っていた。よほど強く握ったのだろう。そのあまりの怒り具合に声を掛けられる部下は一人もいなかった。無理もない。宰相閣下が罰する前にフォード氏を始めとする多くの雇われ教師達は牢の中だ。しかも教師達の殆どが既に罰せられていた。
「はぁ~~~~。……それで、フォード氏はどうなる?」
漸く怒りを納めた宰相が低い声で聞く。その様子には鬼神すら逃げ出す程の怒気が滲んでいたが、何とか堪えた。部下の中にはその怒気に身体中から汗を吹き出す者までいる始末。
「余罪がかなりありそうでしたので鉱山の強制労働になりそうです」
「……ふむ。……それで、フォード氏の家族は?確か娘が学園に在籍していたと思うが?」
「はっ。長女が確か学園に在籍されております。現在は三年生とのことでございます。それと長男は今年王立学院に入学していましたが今回の件で退学しています。フォード夫人の実家が地方にあるらしく、親戚を頼るようですね」
「ほう……。それは都合が良いな」
何とも言えない黒い笑みを浮かべて笑う宰相に皆一様に身を震わせた。
疑い出したらキリがない。
なぜならば、彼らは教師として不適格な者達だからだ。教育者としてはあり得ない姿は、例え脱落者が出たとしても雇用者側を抱き込んで隠蔽していたと言われても驚かない程に外道だった。
そして、その疑念は的中した。
「あぁぁぁぁぁああ! この報告書!!なぜもっと早く提出しなかったんだ!!?!」
宰相は調べ上げた調査報告書を片手に叫んだ。
「申し訳ございません。ですが、まさかこんなことになろうとは思ってもみませんでしたので……」
報告してきた部下の伯爵も項垂れるしかない。
そう、ここまで酷い人物だと思わなかったのだ。
いや、それこそ貴族ならば誰だって思うまい。ましてフォード氏の学歴や実績も調べれば調べるほどに優秀であることが分かるから尚更だ。だからこそ騙されてしまったのだが。
結論からいえば、フォード一派の家庭教師達は過剰評価されていた。
まあ、それも当然だった。
なにしろ、落第した教え子たちは例外なく精神を崩壊させられていたのだ。家名に傷がつくことを恐れた当主達は挙ってそれらを隠蔽していた。そのせいで今まで露見しなかったとも言えた。
心を壊されたのは下位貴族の子弟ばかりだ。
だからこそ見落とされていたとも言える。
被害者の生徒は多いが残念?いや、喜ぶべきことにミゲル様はその中に含まれていない。フォード氏が加虐する前にその優秀さを見せつけて静かに反撃したおかげだろう。もしも、ミゲル様が気弱な性格ならきっと悲惨な結果となっていたはずだ。そうならなかっただけでも良かったと思うしかない。
ただ、今回の事で貴族達は思ったはずだ。自分の息子や娘の家庭教師は大丈夫なのか?と危機感を覚えて動き出すだろう。考えるだけでも頭が痛い。
「ぐぬぬ……これでは私がフォードを罰することもできないではないか……」
宰相の顔色は真っ青を通り越して土気色になっていた。怒りか悔しさか、プルプルと小刻みに震えている。握り締めた拳からは爪の跡がくっきり残っていて血が滴っていた。よほど強く握ったのだろう。そのあまりの怒り具合に声を掛けられる部下は一人もいなかった。無理もない。宰相閣下が罰する前にフォード氏を始めとする多くの雇われ教師達は牢の中だ。しかも教師達の殆どが既に罰せられていた。
「はぁ~~~~。……それで、フォード氏はどうなる?」
漸く怒りを納めた宰相が低い声で聞く。その様子には鬼神すら逃げ出す程の怒気が滲んでいたが、何とか堪えた。部下の中にはその怒気に身体中から汗を吹き出す者までいる始末。
「余罪がかなりありそうでしたので鉱山の強制労働になりそうです」
「……ふむ。……それで、フォード氏の家族は?確か娘が学園に在籍していたと思うが?」
「はっ。長女が確か学園に在籍されております。現在は三年生とのことでございます。それと長男は今年王立学院に入学していましたが今回の件で退学しています。フォード夫人の実家が地方にあるらしく、親戚を頼るようですね」
「ほう……。それは都合が良いな」
何とも言えない黒い笑みを浮かべて笑う宰相に皆一様に身を震わせた。
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