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2.復讐2
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貴族達の見解はこうだ。
王太子は始めから王太子妃ルーチェの妊娠を知っており、婚約者の公爵令嬢が邪魔になった。だがこの婚約はそもそも王家から「是非に」と望まれたもの。それを一方的に切り捨てれば当然王家に傷がつく上に不利な状況に陥る。そこで公爵令嬢に冤罪をかけて亡き者にした後は公爵家そのものを手中に収める手もあったのではないか、と。
しかも、王太子妃の不貞相手は護衛騎士だけに留まらず、王太子の側近を始め、高位貴族の子息、名だたる芸術家、果てには神殿の有力者など多岐に渡るという情報も入っていた。これは王宮内で秘密裏に調査した結果であり、間違いないだろうと。そしてその者達の数名が今現在行方知れずであるとも。
現時点で、公爵令嬢はでっち上げの冤罪だったというのが明らかになった。
それどころか、王家が邪魔なぺーゼロット公爵の力を弱める為に神殿とグルになって公爵令嬢を嵌めたのではないかという陰謀説まで浮上している。
事実、神殿側は聖女が王妃に据えられたことで多額の金を「寄付」という形で王家から受け取っている。
更に、学生時代の王太子達の使途不明金――
王太子の交際費用は本来なら当時の婚約者であった公爵令嬢への贈り物に使用しなければならない。それを聖女への貢物と化していた。
他の側近や貴族子弟達も同様だった。
「恋に目が眩んだボンクラどもが」
公爵家を甘く見過ぎだ。
彼らの使途不明金が判明した背景は王室御用達の各商店からの送られてきた請求書。
ご丁寧に誰が何時なんのために誰宛てに送ったのかを詳細に記した請求書の山。
何故か、彼らは公爵家にツケを支払わせようとしたのだ。
意味不明だ。
当然、各家に密告させてもらった。
親たちは一斉に公爵家に押しかけてきて土下座して謝ってきたよ。
自分達の子供が悪いことをしたのだから責任は全て自分にあると言ってきたが、そんなことはどうでもよかった。悪いことをしたのは確かなのだし。それにしても無知というのは罪深いものだと思った。まさか公爵家がそこまで舐められてるとは思わなかった。
「お許しください!!」
「若気の至りなんです!息子はあの悪女に騙されたんです!!」
「我が家も被害者なのです!!」
どの口が言うか……呆れて言葉も出なかった。
許す筈がないだろう。
公爵令嬢を殺したも同然だという事を理解していないのか?
その一端を担っていた彼らを許すなどあり得ない。
「今後、あなた方とは縁を切らせてもらいます」
「そ、そんな!!」
「お金なら返しますから!」
「公爵領を通れないと貿易に支障がでるんです!!」
知ったことか!!
恨むなら自分の息子共を恨め!!
その後、親達は請求された金額を支払い、息子達を廃嫡に処した。
もっとも手癖の悪い彼らを野放しにして他者に迷惑を掛けられると困るので、しっかりと新しい職場を紹介させてもらった。勿論、親経由で。彼らは王宮の下働きとして働いている。主のすぐ傍で働ける環境だと泣いて喜ぶだろう。
彼らの親も嫡男と多額の金で物事を片付けられてホッとしている筈だ。
本来なら家族ともども処刑ものだが、今回は温情をかけたつもりだ。感謝してほしい。
自分達の身が守れるなら息子など直ぐに切り捨てる親達。
お約束の展開過ぎて笑ってしまった。
今まで虐げてきた者達にどつかれこき使われている息子の存在など始めからなかったかのように振る舞う姿はある意味感心すらした。
まぁ、僕はこれで許した訳じゃない。処刑という楽な死に方なんてさせる筈もないだろうに。何を勘違いしたのやら。
この三年後に数多の貴族が没落し、一家離散をした事を嘆く者が続出する。その中心にいるのはこの国の元王太子側近の家族である事は最早周知の事実であった――
王太子は始めから王太子妃ルーチェの妊娠を知っており、婚約者の公爵令嬢が邪魔になった。だがこの婚約はそもそも王家から「是非に」と望まれたもの。それを一方的に切り捨てれば当然王家に傷がつく上に不利な状況に陥る。そこで公爵令嬢に冤罪をかけて亡き者にした後は公爵家そのものを手中に収める手もあったのではないか、と。
しかも、王太子妃の不貞相手は護衛騎士だけに留まらず、王太子の側近を始め、高位貴族の子息、名だたる芸術家、果てには神殿の有力者など多岐に渡るという情報も入っていた。これは王宮内で秘密裏に調査した結果であり、間違いないだろうと。そしてその者達の数名が今現在行方知れずであるとも。
現時点で、公爵令嬢はでっち上げの冤罪だったというのが明らかになった。
それどころか、王家が邪魔なぺーゼロット公爵の力を弱める為に神殿とグルになって公爵令嬢を嵌めたのではないかという陰謀説まで浮上している。
事実、神殿側は聖女が王妃に据えられたことで多額の金を「寄付」という形で王家から受け取っている。
更に、学生時代の王太子達の使途不明金――
王太子の交際費用は本来なら当時の婚約者であった公爵令嬢への贈り物に使用しなければならない。それを聖女への貢物と化していた。
他の側近や貴族子弟達も同様だった。
「恋に目が眩んだボンクラどもが」
公爵家を甘く見過ぎだ。
彼らの使途不明金が判明した背景は王室御用達の各商店からの送られてきた請求書。
ご丁寧に誰が何時なんのために誰宛てに送ったのかを詳細に記した請求書の山。
何故か、彼らは公爵家にツケを支払わせようとしたのだ。
意味不明だ。
当然、各家に密告させてもらった。
親たちは一斉に公爵家に押しかけてきて土下座して謝ってきたよ。
自分達の子供が悪いことをしたのだから責任は全て自分にあると言ってきたが、そんなことはどうでもよかった。悪いことをしたのは確かなのだし。それにしても無知というのは罪深いものだと思った。まさか公爵家がそこまで舐められてるとは思わなかった。
「お許しください!!」
「若気の至りなんです!息子はあの悪女に騙されたんです!!」
「我が家も被害者なのです!!」
どの口が言うか……呆れて言葉も出なかった。
許す筈がないだろう。
公爵令嬢を殺したも同然だという事を理解していないのか?
その一端を担っていた彼らを許すなどあり得ない。
「今後、あなた方とは縁を切らせてもらいます」
「そ、そんな!!」
「お金なら返しますから!」
「公爵領を通れないと貿易に支障がでるんです!!」
知ったことか!!
恨むなら自分の息子共を恨め!!
その後、親達は請求された金額を支払い、息子達を廃嫡に処した。
もっとも手癖の悪い彼らを野放しにして他者に迷惑を掛けられると困るので、しっかりと新しい職場を紹介させてもらった。勿論、親経由で。彼らは王宮の下働きとして働いている。主のすぐ傍で働ける環境だと泣いて喜ぶだろう。
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本来なら家族ともども処刑ものだが、今回は温情をかけたつもりだ。感謝してほしい。
自分達の身が守れるなら息子など直ぐに切り捨てる親達。
お約束の展開過ぎて笑ってしまった。
今まで虐げてきた者達にどつかれこき使われている息子の存在など始めからなかったかのように振る舞う姿はある意味感心すらした。
まぁ、僕はこれで許した訳じゃない。処刑という楽な死に方なんてさせる筈もないだろうに。何を勘違いしたのやら。
この三年後に数多の貴族が没落し、一家離散をした事を嘆く者が続出する。その中心にいるのはこの国の元王太子側近の家族である事は最早周知の事実であった――
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