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1.復讐1
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許せない。
許せるものか!
華やかな神殿で愛の誓いを交わす二人の男女。
幸せそうに微笑んでいる。
ふざけるな!
「「「「「王太子殿下ばんざ~~い!!!」」」」」
「「「「「王太子妃殿下おめでとうございますぅぅぅぅ!!!」」」」」
王太子夫妻は王城のバルコニーから手を振っている。
それに歓声を上げる民衆たち。
認めない。
こんなことは絶対に認められない!!
義姉上を冤罪で貶めておいてよくも……。
義姉上は間違いなく奴らに殺された。優秀な義姉上は既に「妃教育」を修了していた。王家の全てを知り尽くした義姉上を王家が野放しにできないという判断だ。表向き、義姉上は修道院に送られた事になっているがそれは違う!修道院に行く前に毒杯を賜って亡くなった。奴らはそれを知っていながらさも義姉上が今も生きているかのように振る舞っている。
全ては王家の求心力を低下させないための処置に他ならない!!
義姉上の死はほとぼりが冷めるまで内密にするという王命まで出た。大方、王太子に泣きつかれた結果だろう。賢王と名高い陛下も所詮は人の親。元婚約者とはいえ、王家の血を濃く引き継いだブリジット・ベアトリス・ぺーゼロット公爵令嬢の喪は最低三年はしなければならない。それは、王家の『色』を持って生まれた義姉上に対する敬意でもあった。
王太子はそれを嫌がった。
いや、正確には寵愛の男爵令嬢を早く妃に迎えたかったからに他ならない。下半身がユルユルの男は三年も待てなかったんだろう。
そうまでして手に入れた王太子妃ルーチェは新婚早々に懐妊した。
「こ、これは一体どういうことだ!!?」
予定日よりも早く生まれた王太子の子供。
それは見事な赤い髪と茶色の目をして生まれてきた。金髪に青い目の王太子と金髪に金の目をした王太子妃。どちらにもない『色』を持って生まれた赤ん坊は当然ながら王太子の子供ではなかった。
「これは何かの間違いです!!!」
真っ青な顔で否定する王太子妃を相手にする者はいない。
それはそうだろう。
誰が見ても王太子エンリケの子でないのは明らかだ。
しかも、王太子妃の産んだ子供と同じ『色』を持つ男が彼女の傍近くにいたことも疑惑を深めさせた。王太子妃の護衛騎士は子供と同じ赤い髪と茶色の目をしていた。十中八九、父親はこいつだろう。
怒り狂った王太子は、護衛騎士を刺殺した。
赤子に瓜二つの赤毛の護衛騎士は、王太子妃の愛人として王家に対する反逆罪として命を落とした。もっとも、王家の混乱はそれで収まることは無かった。寧ろ、事態は悪化した。
それまでは王太子の寵愛と他の高位貴族の子息達の手前、王太子妃に文句を言えなかった令嬢達が挙って反撃にでた。
学生時代に王太子妃によって婚約を破棄された令嬢、破棄されなかったものの結婚後も夫と不倫関係にあった夫人達が声を上げ始めたのだ。その上、いい寄られて迷惑をしたという子息達からも相次いで告発された。
王太子妃でありながら他の男と通じて子をなす阿婆擦れ女。
貴族達の間に疑惑が渦巻いた。
『婚約破棄されたぺーゼロット公爵令嬢は果たして本当に王太子妃を虐めていたのか?』
『そもそも、公爵家の御令嬢が如何に聖女とは申せ、一介の平民相手に自ら手を下すこと自体あり得ない。公爵家の力を使えば神殿に圧力をかける事も容易だ』
『聖女とは言うが光魔法が使えるだけだろう?』
『光魔法は確かに希少なものだが、大して使い道はない。ただ珍しいと言うだけのブランドに過ぎないものだ』
『こちらも調べたが結果は散々だったぞ。虐めの証言は全て出鱈目だ。王家はブリジット様に対してまともな調べもしなかったそうじゃないか!』
『先週発表されたブリジット様の悲報も怪しいものだ』
『嘘だと言うのか?』
『ああ。病ではなく殺された可能性が高いらしい』
『それは王家が?』
『他にいるか?王家の証とも言われる紫の目を持ったブリジット様が邪魔だったんだろう。王太子は婚約期間中も平民女に現を抜かしていたそうじゃないか。大方、妊娠を事前に知って、婚約者の存在が邪魔になったんだろう。だから冤罪を被せたに違いない』
王太子妃の事件を皮切りに王家の評判は地に堕ちた。
それと同時に義姉上に対する王家のあまりにも理不尽な仕打ちは王家の求心力を低下させ、結果的に国の政治基盤を揺るがす事態となった。
許せるものか!
華やかな神殿で愛の誓いを交わす二人の男女。
幸せそうに微笑んでいる。
ふざけるな!
「「「「「王太子殿下ばんざ~~い!!!」」」」」
「「「「「王太子妃殿下おめでとうございますぅぅぅぅ!!!」」」」」
王太子夫妻は王城のバルコニーから手を振っている。
それに歓声を上げる民衆たち。
認めない。
こんなことは絶対に認められない!!
義姉上を冤罪で貶めておいてよくも……。
義姉上は間違いなく奴らに殺された。優秀な義姉上は既に「妃教育」を修了していた。王家の全てを知り尽くした義姉上を王家が野放しにできないという判断だ。表向き、義姉上は修道院に送られた事になっているがそれは違う!修道院に行く前に毒杯を賜って亡くなった。奴らはそれを知っていながらさも義姉上が今も生きているかのように振る舞っている。
全ては王家の求心力を低下させないための処置に他ならない!!
義姉上の死はほとぼりが冷めるまで内密にするという王命まで出た。大方、王太子に泣きつかれた結果だろう。賢王と名高い陛下も所詮は人の親。元婚約者とはいえ、王家の血を濃く引き継いだブリジット・ベアトリス・ぺーゼロット公爵令嬢の喪は最低三年はしなければならない。それは、王家の『色』を持って生まれた義姉上に対する敬意でもあった。
王太子はそれを嫌がった。
いや、正確には寵愛の男爵令嬢を早く妃に迎えたかったからに他ならない。下半身がユルユルの男は三年も待てなかったんだろう。
そうまでして手に入れた王太子妃ルーチェは新婚早々に懐妊した。
「こ、これは一体どういうことだ!!?」
予定日よりも早く生まれた王太子の子供。
それは見事な赤い髪と茶色の目をして生まれてきた。金髪に青い目の王太子と金髪に金の目をした王太子妃。どちらにもない『色』を持って生まれた赤ん坊は当然ながら王太子の子供ではなかった。
「これは何かの間違いです!!!」
真っ青な顔で否定する王太子妃を相手にする者はいない。
それはそうだろう。
誰が見ても王太子エンリケの子でないのは明らかだ。
しかも、王太子妃の産んだ子供と同じ『色』を持つ男が彼女の傍近くにいたことも疑惑を深めさせた。王太子妃の護衛騎士は子供と同じ赤い髪と茶色の目をしていた。十中八九、父親はこいつだろう。
怒り狂った王太子は、護衛騎士を刺殺した。
赤子に瓜二つの赤毛の護衛騎士は、王太子妃の愛人として王家に対する反逆罪として命を落とした。もっとも、王家の混乱はそれで収まることは無かった。寧ろ、事態は悪化した。
それまでは王太子の寵愛と他の高位貴族の子息達の手前、王太子妃に文句を言えなかった令嬢達が挙って反撃にでた。
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王太子妃でありながら他の男と通じて子をなす阿婆擦れ女。
貴族達の間に疑惑が渦巻いた。
『婚約破棄されたぺーゼロット公爵令嬢は果たして本当に王太子妃を虐めていたのか?』
『そもそも、公爵家の御令嬢が如何に聖女とは申せ、一介の平民相手に自ら手を下すこと自体あり得ない。公爵家の力を使えば神殿に圧力をかける事も容易だ』
『聖女とは言うが光魔法が使えるだけだろう?』
『光魔法は確かに希少なものだが、大して使い道はない。ただ珍しいと言うだけのブランドに過ぎないものだ』
『こちらも調べたが結果は散々だったぞ。虐めの証言は全て出鱈目だ。王家はブリジット様に対してまともな調べもしなかったそうじゃないか!』
『先週発表されたブリジット様の悲報も怪しいものだ』
『嘘だと言うのか?』
『ああ。病ではなく殺された可能性が高いらしい』
『それは王家が?』
『他にいるか?王家の証とも言われる紫の目を持ったブリジット様が邪魔だったんだろう。王太子は婚約期間中も平民女に現を抜かしていたそうじゃないか。大方、妊娠を事前に知って、婚約者の存在が邪魔になったんだろう。だから冤罪を被せたに違いない』
王太子妃の事件を皮切りに王家の評判は地に堕ちた。
それと同時に義姉上に対する王家のあまりにも理不尽な仕打ちは王家の求心力を低下させ、結果的に国の政治基盤を揺るがす事態となった。
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