上 下
47 / 79
~アクア王国編~

13.ミレイ側妃side

しおりを挟む
「……は?……正妃?王太子妃?………… 誰が?」

「勿論、王太子殿下の正妃様についてです」

「え……?」

 なに?
 このメイド……何言ってんの?
 王太子の正妃って……なんで?

「き、妃は……わたしよ?」

「はい。ミレイ様は『側妃様』でいらっしゃいます。しかし、『正妃様』ではいらっしゃいません」

 どうして?
 私が王妃になるんでしょう?
 今は側妃なだけで、いずれは王太子妃になるのよ?
 だって私がヒロインなんだから。私は王太子妃になる。そうでしょう?だってそうじゃなかったらおかしいじゃない!

「三年です。ミレイ様が妃教育を始められて三年。妃教育は全く終わりが見えない段階です。ミレイ様の妃教育が終了するまでにあと何十年かかるか分からないと専門家が判断されたのでしょう。マナーつで問題になるのが外交です。国内では目をつぶれる行為でも他国の高貴な方々には通用しません。そもそも王太子妃が自国の歴史もまともに知らないというのは恥以外の何物でもないと思いませんか?自国の名産物が何かを知らないのでは話になりません。一国の王太子妃がソレでは困りまる、と思われたのでしょう」

「誰がそんなこと言ってんのよ!!」

「殆どの大臣方はそう考えているようですよ?」

「はぁ!?」

 メイドの言葉に絶句した。
 なんでよ?
 私だって頑張ってるんだよ?
 妃教育だってじゃない!なのに認めないのはそっちでしょう!!

 だいたい帝国の公爵令嬢ってなによ!?
 そんな存在いなかったじゃない!!どうなってんのよ!!!





「……あれが、ブランシュ・クリスティーネ・ヴァレリー?」

 帝国貴族。
 公爵令嬢。
 王太子の花嫁候補。
 婚約者の予定。

 これってアレかな?
 悪役令嬢第二弾ってやつ?
 最初の悪役令嬢が役割を果たさなかったから代わりが後からやって来た、ってパターン?……そうとしか思えない。

 なのにいつの間にかマデリーンは帰って来てるし、代わりの悪役令嬢にしたってそう。
 いっつも周囲に人を侍らせて、こっちにくる気配すらない。もう!困るのよね。ちゃんと動いてくれないと。あの女が嫌味を言ってくることは全くなかった。あ、でも周りにいる使用人は口煩かったっけ。


『この方をどなたと心得ているのですか』

『淑女としての嗜みを御存知でしょうか』

『帝国は側妃になられる方は伯爵家以上と決まっております。アクア王国は思い切った行動をされましたね』


 何が言いたいのかサッパリだった。
 王太子様は怒ってたから多分嫌味なんだよね?でもさ、相手が分からない嫌味って効果ないのよね。

 もっと、こう……分かり易く言ってくれたらいいのに。


しおりを挟む
感想 95

あなたにおすすめの小説

貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?

蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」 ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。 リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。 「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」 結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。 愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。 これからは自分の幸せのために生きると決意した。 そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。 「迎えに来たよ、リディス」 交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。 裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。 ※完結まで書いた短編集消化のための投稿。 小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。

ある公爵の後悔

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
王女に嵌められて冤罪をかけられた婚約者に会うため、公爵令息のチェーザレは北の修道院に向かう。 そこで知った真実とは・・・ 主人公はクズです。

追放された悪役令嬢は辺境にて隠し子を養育する

3ツ月 葵(ミツヅキ アオイ)
恋愛
 婚約者である王太子からの突然の断罪!  それは自分の婚約者を奪おうとする義妹に嫉妬してイジメをしていたエステルを糾弾するものだった。  しかしこれは義妹に仕組まれた罠であったのだ。  味方のいないエステルは理不尽にも王城の敷地の端にある粗末な離れへと幽閉される。 「あぁ……。私は一生涯ここから出ることは叶わず、この場所で独り朽ち果ててしまうのね」  エステルは絶望の中で高い塀からのぞく狭い空を見上げた。  そこでの生活も数ヵ月が経って落ち着いてきた頃に突然の来訪者が。 「お姉様。ここから出してさし上げましょうか? そのかわり……」  義妹はエステルに悪魔の様な契約を押し付けようとしてくるのであった。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

冷遇された王妃は自由を望む

空橋彩
恋愛
父を亡くした幼き王子クランに頼まれて王妃として召し上げられたオーラリア。 流行病と戦い、王に、国民に尽くしてきた。 異世界から現れた聖女のおかげで流行病は終息に向かい、王宮に戻ってきてみれば、納得していない者たちから軽んじられ、冷遇された。 夫であるクランは表情があまり変わらず、女性に対してもあまり興味を示さなかった。厳しい所もあり、臣下からは『氷の貴公子』と呼ばれているほどに冷たいところがあった。 そんな彼が聖女を大切にしているようで、オーラリアの待遇がどんどん悪くなっていった。 自分の人生よりも、クランを優先していたオーラリアはある日気づいてしまった。 [もう、彼に私は必要ないんだ]と 数人の信頼できる仲間たちと協力しあい、『離婚』して、自分の人生を取り戻そうとするお話。 貴族設定、病気の治療設定など出てきますが全てフィクションです。私の世界ではこうなのだな、という方向でお楽しみいただけたらと思います。

[連載中]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜

コマメコノカ@異世界恋愛ざまぁ連載
恋愛
 王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。 そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。

処理中です...