70 / 79
~ボルゴーヌ王国編~
3.悪役1
しおりを挟む
フリッド・オーファンラスター公爵子息とジェニー王女殿下。
この二人は幼馴染の関係にあり、しかも婚約の話まで出ていたほど親しい間柄だったらしいのです。
ジェニー王女に他国との縁組話が出なければそのまま順調に話が進んでいたことでしょう。
互いに婚約者がいる身になっていながら逢瀬を重ねているのだから驚きです。
そんな二人に注意を促す者が少ないのも問題でした。
忠言するどころか二人の仲を肯定し、応援する者が多いくらいなんですから。
そもそも王女にも婚約者がいらっしゃるのですよ? それを分かっていて他の男と親しくしているなど言語道断!もしこのことが公になったなら、王家の信頼を大きく損ねることになります。
それを当人だけでなく周囲までもが理解していない様子に呆れて物も言えません。
相思相愛の二人の仲に割って入った「他国の婚約者達」は、この国では「愛し合う恋人同士を引き裂く悪人」だと認識されています。
つまり、私は『悪役』ということです。
何が悲しくてそんなレッテルを貼られなければならないのでしょうか? 私のどこが悪いと言うのです!? こんな理不尽なことがあっていいはずがありません!!
この国で友人と呼べる人間は少ないのは間違いなく二人のせいでしょう。
折角、お父様が私のために色々と用意してくださったというのに。
『ブランシュ、どうせならボルゴーヌ王国の教育を受けてみないか?学舎に通えばそれだけ人脈が広がるというものだ。茶会や夜会では得られない経験を積むことができるぞ?』
お父様がそう言って私に留学の話を持ちかけてきました。
それはとても魅力的な提案でした。
婚約者との交流以外にもボルゴーヌ王国を知ることは将来何かしら役に立つかもしれないと思ったからです。
お父様に言われるまでもなく留学することには賛成しましたよ? だけど……まさか私がこの国で「悪役」「お邪魔虫」と見做されるなんて思いませんでしたわ!! それもこれも全てあの二人がいけないのです!
溜息が出そうです。
私のメイド達もフリッド様に憤慨していますもの。
「……どうしてこうなったのかしら?」
呟いた声に応える者はいません。
自室にいるのは私一人なので当然のことですけど。
まあ、愚痴の一つも言いたくなるというものです。
こうなってしまうと婚約の意味を疑いたくなってきます。
『留学のついでだ。未来の公爵として、また、ブランシュの婿に相応しき人物かどうか見極めてくるといい』
そう、お父様に言われましたが、もうそんなことする必要もないかもしれません。
だって……。
私がこの国で何と呼ばれているのか知っていながら庇う素振りすらしない男ですもの。
この二人は幼馴染の関係にあり、しかも婚約の話まで出ていたほど親しい間柄だったらしいのです。
ジェニー王女に他国との縁組話が出なければそのまま順調に話が進んでいたことでしょう。
互いに婚約者がいる身になっていながら逢瀬を重ねているのだから驚きです。
そんな二人に注意を促す者が少ないのも問題でした。
忠言するどころか二人の仲を肯定し、応援する者が多いくらいなんですから。
そもそも王女にも婚約者がいらっしゃるのですよ? それを分かっていて他の男と親しくしているなど言語道断!もしこのことが公になったなら、王家の信頼を大きく損ねることになります。
それを当人だけでなく周囲までもが理解していない様子に呆れて物も言えません。
相思相愛の二人の仲に割って入った「他国の婚約者達」は、この国では「愛し合う恋人同士を引き裂く悪人」だと認識されています。
つまり、私は『悪役』ということです。
何が悲しくてそんなレッテルを貼られなければならないのでしょうか? 私のどこが悪いと言うのです!? こんな理不尽なことがあっていいはずがありません!!
この国で友人と呼べる人間は少ないのは間違いなく二人のせいでしょう。
折角、お父様が私のために色々と用意してくださったというのに。
『ブランシュ、どうせならボルゴーヌ王国の教育を受けてみないか?学舎に通えばそれだけ人脈が広がるというものだ。茶会や夜会では得られない経験を積むことができるぞ?』
お父様がそう言って私に留学の話を持ちかけてきました。
それはとても魅力的な提案でした。
婚約者との交流以外にもボルゴーヌ王国を知ることは将来何かしら役に立つかもしれないと思ったからです。
お父様に言われるまでもなく留学することには賛成しましたよ? だけど……まさか私がこの国で「悪役」「お邪魔虫」と見做されるなんて思いませんでしたわ!! それもこれも全てあの二人がいけないのです!
溜息が出そうです。
私のメイド達もフリッド様に憤慨していますもの。
「……どうしてこうなったのかしら?」
呟いた声に応える者はいません。
自室にいるのは私一人なので当然のことですけど。
まあ、愚痴の一つも言いたくなるというものです。
こうなってしまうと婚約の意味を疑いたくなってきます。
『留学のついでだ。未来の公爵として、また、ブランシュの婿に相応しき人物かどうか見極めてくるといい』
そう、お父様に言われましたが、もうそんなことする必要もないかもしれません。
だって……。
私がこの国で何と呼ばれているのか知っていながら庇う素振りすらしない男ですもの。
29
お気に入りに追加
3,214
あなたにおすすめの小説

本日より他人として生きさせていただきます
ネコ
恋愛
伯爵令嬢のアルマは、愛のない婚約者レオナードに尽くし続けてきた。しかし、彼の隣にはいつも「運命の相手」を自称する美女の姿が。家族も周囲もレオナードの一方的なわがままを容認するばかり。ある夜会で二人の逢瀬を目撃したアルマは、今さら怒る気力も失せてしまう。「それなら私は他人として過ごしましょう」そう告げて婚約破棄に踏み切る。だが、彼女が去った瞬間からレオナードの人生には不穏なほつれが生じ始めるのだった。


冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

婚約破棄を申し込まれたので、ちょっと仕返ししてみることにしました。
夢草 蝶
恋愛
婚約破棄を申し込まれた令嬢・サトレア。
しかし、その理由とその時の婚約者の物言いに腹が立ったので、ちょっと仕返ししてみることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる