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~ボルゴーヌ王国編~
2.ドタキャン
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「またですか?」
「申し訳ございません」
「これで何度目でしょう?」
「お恥ずかしい限りです」
「当日にキャンセルなんて、普通では考えられませんわ」
「本当に面目ないことでございます」
「それで、今日はどのような理由で来れないのかしら?」
「はい、王女殿下のお見舞いに参上したのですが……」
「それはお聞きしております。そのことでしたら私も納得していますので、これ以上あなたを責めるつもりはありません。ただ、見舞いは午前中と聞いていましたが?」
「はい、確かにそう伺っておりました」
「それが午後になっても戻らない理由はなんでしょうか?まさかとは思いますが、王女殿下の御容態が悪化したとでも言うのではないですよね?」
「いえ、そういうわけではありません。ただ、王女殿下から是非とも傍にいて欲しいと頼まれまして……」
「まあ!仲が宜しいのですね。確かお二人は幼馴染でしたわね。昔からこうですの?」
「は、はい。幼少の頃からずっと一緒でしたので……」
「それは羨ましい限りですわ。成人した今でも二人っきりで過ごすほどの仲だなんて、余程信頼されている証拠ですもの」
「恐縮です」
「フリッド様にもお立場というものがあるでしょうし、あまり強くは言いたくありません。ですが、今度からはちゃん前日までには連絡を入れて下さいと私が言っていたと伝えて頂戴。マナー違反を繰り返すようであれば相応の対応を取らせて貰いますよ?」
「はっ!承知致しました!」
「それじゃあ私はもう行きますけど、くれぐれも頼んだことは守るように」
「も、勿論でございます!」
返事は良いのよね。
だけど絶対に約束を守らないのだから困ったものだわ。
これで何度目かしら?
デートをドタキャンされたのは。
主人の伝言を知らせに来た者には悪いけれど、つい軽蔑の眼差しで見てしまったわ。
前もって連絡するという手段を取れないのかしら?
それとも直前になって王女に「行かないで」と縋られたとか?
両方の可能性が高いわね。
まあ、どちらにしても明日になればまた新しい噂が追加されるでしょう。
今度はどんな内容になるか楽しみだわ。
「申し訳ございません」
「これで何度目でしょう?」
「お恥ずかしい限りです」
「当日にキャンセルなんて、普通では考えられませんわ」
「本当に面目ないことでございます」
「それで、今日はどのような理由で来れないのかしら?」
「はい、王女殿下のお見舞いに参上したのですが……」
「それはお聞きしております。そのことでしたら私も納得していますので、これ以上あなたを責めるつもりはありません。ただ、見舞いは午前中と聞いていましたが?」
「はい、確かにそう伺っておりました」
「それが午後になっても戻らない理由はなんでしょうか?まさかとは思いますが、王女殿下の御容態が悪化したとでも言うのではないですよね?」
「いえ、そういうわけではありません。ただ、王女殿下から是非とも傍にいて欲しいと頼まれまして……」
「まあ!仲が宜しいのですね。確かお二人は幼馴染でしたわね。昔からこうですの?」
「は、はい。幼少の頃からずっと一緒でしたので……」
「それは羨ましい限りですわ。成人した今でも二人っきりで過ごすほどの仲だなんて、余程信頼されている証拠ですもの」
「恐縮です」
「フリッド様にもお立場というものがあるでしょうし、あまり強くは言いたくありません。ですが、今度からはちゃん前日までには連絡を入れて下さいと私が言っていたと伝えて頂戴。マナー違反を繰り返すようであれば相応の対応を取らせて貰いますよ?」
「はっ!承知致しました!」
「それじゃあ私はもう行きますけど、くれぐれも頼んだことは守るように」
「も、勿論でございます!」
返事は良いのよね。
だけど絶対に約束を守らないのだから困ったものだわ。
これで何度目かしら?
デートをドタキャンされたのは。
主人の伝言を知らせに来た者には悪いけれど、つい軽蔑の眼差しで見てしまったわ。
前もって連絡するという手段を取れないのかしら?
それとも直前になって王女に「行かないで」と縋られたとか?
両方の可能性が高いわね。
まあ、どちらにしても明日になればまた新しい噂が追加されるでしょう。
今度はどんな内容になるか楽しみだわ。
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