【改編中】悪女と罵られたので退場させていただきます!

つくも茄子

文字の大きさ
上 下
68 / 79
~ボルゴーヌ王国編~

1.訴え

しおりを挟む
「もうこれ以上、愛し合うお二人を引き裂かないでください!!」

 なんですの?!この方!?なんなんですの?この展開!!?

「貴女、私が誰だか知っての狼藉ですか?」
 
「わ、私は!」
 
「ここは大学。帝国貴族の私も此処では一介の学生に過ぎません。ですから貴女の振る舞いを咎めは致しません。淑女としてどうかと思いますが、それはからね」
 
「……!」
 
「ただ、貴女は此処の学生ではありませんわね。その身なりで一目瞭然です。学ぶに相応しくない服装ですもの。大学はパーティー会場ではありませんわよ?」
 
「そ、それは……!」
 
「今日の事は不問にします。お引き取り頂けますかしら?」
 
「え……」
 
「私の言葉が理解できないのかしら?」
 
「いえ……」
 
「なら分かりますでしょう?如何に大学内とはいえ、留学中の他国の貴族に対しての不作法。それがどういう意味か分かる筈よね?」

 そう、ここはボルゴーヌ王国。私からすると他国です。王国の公爵子息と婚約していると言っても私は留学生として来ているのです。つまり国際問題に発展しかねない事態になりかねなかった事を自覚していなければならないのです。だというのに彼女は何なのでしょう?この不用意な態度は。明らかに意図的な嫌がらせにしか思えないのですけど。それにこのタイミングでの騒ぎですわ。衆目を集めてしまっていますし、これは非常にまずい状況になっていると言わざるを得ません。

「も、申し訳ございませんでした」

 そう言うと、彼女は肩を落として去っていきました。
 意外とあっさりしたものです。まぁ、油断大敵というものですが。

 それにしても困った事になりました。


 彼女のように、私とオーファンラスター公爵子息との婚約をよく思わない人は多いのです。

 寧ろ、そういう人が殆どだと言っていいかもしれません。だから今回のような騒動が起こる事は想定の範囲内でした。だけどここまであからさまに仕掛けてくるとは予想外です。どこの家の貴族でしょうか?あの態度から察するに、おそらく側妃派、もしくは王女の信者と言ったところでしょうね。厄介な相手と婚約したものです。
 

 私の婚約者と王女は幼馴染です。

 それだけなら問題はないでしょう。
 えぇ、それだけなら――

 問題は、婚約者と王女がという噂があるのです。
 



 
しおりを挟む
感想 95

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話

ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。 完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~

みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。 全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。 それをあざ笑う人々。 そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

公爵令息は妹を選ぶらしいので私は旅に出ます

ネコ
恋愛
公爵令息ラウルの婚約者だったエリンは、なぜかいつも“愛らしい妹”に優先順位を奪われていた。正当な抗議も「ただの嫉妬だろう」と取り合われず、遂に婚約破棄へ。放り出されても涙は出ない。ならば持ち前の治癒魔法を活かして自由に生きよう――そう決めたエリンの旅立ち先で、運命は大きく動き出す。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

処理中です...