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~ボルゴーヌ王国編~
1.訴え
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「もうこれ以上、愛し合うお二人を引き裂かないでください!!」
なんですの?!この方!?なんなんですの?この展開!!?
「貴女、私が誰だか知っての狼藉ですか?」
「わ、私は!」
「ここは大学。帝国貴族の私も此処では一介の学生に過ぎません。ですから貴女の振る舞いを咎めは致しません。淑女としてどうかと思いますが、それは国によって基準が違いますからね」
「……!」
「ただ、貴女は此処の学生ではありませんわね。その身なりで一目瞭然です。学ぶに相応しくない服装ですもの。大学はパーティー会場ではありませんわよ?」
「そ、それは……!」
「今日の事は不問にします。お引き取り頂けますかしら?」
「え……」
「私の言葉が理解できないのかしら?」
「いえ……」
「なら分かりますでしょう?如何に大学内とはいえ、留学中の他国の貴族に対しての不作法。それがどういう意味か分かる筈よね?」
そう、ここはボルゴーヌ王国。私からすると他国です。王国の公爵子息と婚約していると言っても私は留学生として来ているのです。つまり国際問題に発展しかねない事態になりかねなかった事を自覚していなければならないのです。だというのに彼女は何なのでしょう?この不用意な態度は。明らかに意図的な嫌がらせにしか思えないのですけど。それにこのタイミングでの騒ぎですわ。衆目を集めてしまっていますし、これは非常にまずい状況になっていると言わざるを得ません。
「も、申し訳ございませんでした」
そう言うと、彼女は肩を落として去っていきました。
意外とあっさりしたものです。まぁ、油断大敵というものですが。
それにしても困った事になりました。
彼女のように、私とオーファンラスター公爵子息との婚約をよく思わない人は多いのです。
寧ろ、そういう人が殆どだと言っていいかもしれません。だから今回のような騒動が起こる事は想定の範囲内でした。だけどここまであからさまに仕掛けてくるとは予想外です。どこの家の貴族でしょうか?あの態度から察するに、おそらく側妃派、もしくは王女の信者と言ったところでしょうね。厄介な相手と婚約したものです。
私の婚約者と王女は幼馴染です。
それだけなら問題はないでしょう。
えぇ、それだけなら――
問題は、婚約者と王女が相思相愛という噂があるのです。
なんですの?!この方!?なんなんですの?この展開!!?
「貴女、私が誰だか知っての狼藉ですか?」
「わ、私は!」
「ここは大学。帝国貴族の私も此処では一介の学生に過ぎません。ですから貴女の振る舞いを咎めは致しません。淑女としてどうかと思いますが、それは国によって基準が違いますからね」
「……!」
「ただ、貴女は此処の学生ではありませんわね。その身なりで一目瞭然です。学ぶに相応しくない服装ですもの。大学はパーティー会場ではありませんわよ?」
「そ、それは……!」
「今日の事は不問にします。お引き取り頂けますかしら?」
「え……」
「私の言葉が理解できないのかしら?」
「いえ……」
「なら分かりますでしょう?如何に大学内とはいえ、留学中の他国の貴族に対しての不作法。それがどういう意味か分かる筈よね?」
そう、ここはボルゴーヌ王国。私からすると他国です。王国の公爵子息と婚約していると言っても私は留学生として来ているのです。つまり国際問題に発展しかねない事態になりかねなかった事を自覚していなければならないのです。だというのに彼女は何なのでしょう?この不用意な態度は。明らかに意図的な嫌がらせにしか思えないのですけど。それにこのタイミングでの騒ぎですわ。衆目を集めてしまっていますし、これは非常にまずい状況になっていると言わざるを得ません。
「も、申し訳ございませんでした」
そう言うと、彼女は肩を落として去っていきました。
意外とあっさりしたものです。まぁ、油断大敵というものですが。
それにしても困った事になりました。
彼女のように、私とオーファンラスター公爵子息との婚約をよく思わない人は多いのです。
寧ろ、そういう人が殆どだと言っていいかもしれません。だから今回のような騒動が起こる事は想定の範囲内でした。だけどここまであからさまに仕掛けてくるとは予想外です。どこの家の貴族でしょうか?あの態度から察するに、おそらく側妃派、もしくは王女の信者と言ったところでしょうね。厄介な相手と婚約したものです。
私の婚約者と王女は幼馴染です。
それだけなら問題はないでしょう。
えぇ、それだけなら――
問題は、婚約者と王女が相思相愛という噂があるのです。
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