46 / 79
~アクア王国編~
12.ミレイ側妃side
しおりを挟む
「え?今なんて言ったの?」
「はい、大臣様の御嫡男がこの度、結婚なさったそうです」
「け、けっこ……ん……」
「はい、何でもお相手は伯爵令嬢だとか。家の没落に御嫡男が助ける形で結婚されたようです」
「そう……人助けなんだ」
私付きのメイド。
彼女からの情報で、攻略対象の一人が結婚したことを初めて知った。
王太子と一緒。
あのパーティー会場で婚約者に婚約破棄を宣言してくれた。
『王太子殿下と結婚してもミレイが本当に愛しているのは僕だって理解しているよ』
そう言ってくれたのに。
最近、さっぱり見なくなったから心配してたのに。
なんで急に?
彼だけじゃなかった。
その後、他の攻略対象者も次々と結婚していった。
おかしい!
だって皆、私の攻略対象者なのよ?
私のモノがどうして結婚なんかするの!?
ずっとずっと私だけを見て、私だけを愛するものでしょう!?
そうでないといけないのに……。
それが正しいはずなのに……。
「どういうことなの!?」
もう訳が分からない。
だってそうでしょう?
私のためにある存在なのに……どうして離れていくの……?
「公爵家の御長男様が辺境伯令嬢との縁組が漸く整ったようです」
「そう……」
「最初の婚約をダメになさってからは公爵家も一時期大変だったようですが、無事に御長男様の結婚がまとまってようございました。お相手の辺境伯家は国境警備の要。公爵家にとっても喜ばしい縁組です」
何が喜ばしいよ。
全然喜ばしくなんかないわ。
私はこのメイドが苦手だった。
情報通なのはいいけど、妙に含みがある気がする。現に私がメイドを睨みつけてもどこ吹く風で飄々としてるし……。
「好きでもな相手と結婚するなんて可哀想に!」
「まあ!妃殿下は冗談にもユーモアがございますね。貴族同士の結婚は家同士の繋がりを意味致します。個人の好き嫌いの問題ではありません」
「結婚は好きな相手とするものよ!」
「好き勝手した結果、辺境伯家に婿入りです」
「はっ!?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
メイドを見ると、微笑みながら「それでは、失礼します」と言い、さっさと部屋を出ていく。
気のせい?
まるで目が笑ってなかった……。
「はい、大臣様の御嫡男がこの度、結婚なさったそうです」
「け、けっこ……ん……」
「はい、何でもお相手は伯爵令嬢だとか。家の没落に御嫡男が助ける形で結婚されたようです」
「そう……人助けなんだ」
私付きのメイド。
彼女からの情報で、攻略対象の一人が結婚したことを初めて知った。
王太子と一緒。
あのパーティー会場で婚約者に婚約破棄を宣言してくれた。
『王太子殿下と結婚してもミレイが本当に愛しているのは僕だって理解しているよ』
そう言ってくれたのに。
最近、さっぱり見なくなったから心配してたのに。
なんで急に?
彼だけじゃなかった。
その後、他の攻略対象者も次々と結婚していった。
おかしい!
だって皆、私の攻略対象者なのよ?
私のモノがどうして結婚なんかするの!?
ずっとずっと私だけを見て、私だけを愛するものでしょう!?
そうでないといけないのに……。
それが正しいはずなのに……。
「どういうことなの!?」
もう訳が分からない。
だってそうでしょう?
私のためにある存在なのに……どうして離れていくの……?
「公爵家の御長男様が辺境伯令嬢との縁組が漸く整ったようです」
「そう……」
「最初の婚約をダメになさってからは公爵家も一時期大変だったようですが、無事に御長男様の結婚がまとまってようございました。お相手の辺境伯家は国境警備の要。公爵家にとっても喜ばしい縁組です」
何が喜ばしいよ。
全然喜ばしくなんかないわ。
私はこのメイドが苦手だった。
情報通なのはいいけど、妙に含みがある気がする。現に私がメイドを睨みつけてもどこ吹く風で飄々としてるし……。
「好きでもな相手と結婚するなんて可哀想に!」
「まあ!妃殿下は冗談にもユーモアがございますね。貴族同士の結婚は家同士の繋がりを意味致します。個人の好き嫌いの問題ではありません」
「結婚は好きな相手とするものよ!」
「好き勝手した結果、辺境伯家に婿入りです」
「はっ!?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
メイドを見ると、微笑みながら「それでは、失礼します」と言い、さっさと部屋を出ていく。
気のせい?
まるで目が笑ってなかった……。
57
お気に入りに追加
3,211
あなたにおすすめの小説
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

初恋が綺麗に終わらない
わらびもち
恋愛
婚約者のエーミールにいつも放置され、蔑ろにされるベロニカ。
そんな彼の態度にウンザリし、婚約を破棄しようと行動をおこす。
今後、一度でもエーミールがベロニカ以外の女を優先することがあれば即座に婚約は破棄。
そういった契約を両家で交わすも、馬鹿なエーミールはよりにもよって夜会でやらかす。
もう呆れるしかないベロニカ。そしてそんな彼女に手を差し伸べた意外な人物。
ベロニカはこの人物に、人生で初の恋に落ちる…………。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。


公爵令息は妹を選ぶらしいので私は旅に出ます
ネコ
恋愛
公爵令息ラウルの婚約者だったエリンは、なぜかいつも“愛らしい妹”に優先順位を奪われていた。正当な抗議も「ただの嫉妬だろう」と取り合われず、遂に婚約破棄へ。放り出されても涙は出ない。ならば持ち前の治癒魔法を活かして自由に生きよう――そう決めたエリンの旅立ち先で、運命は大きく動き出す。

完結 婚約破棄は都合が良すぎる戯言
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子の心が離れたと気づいたのはいつだったか。
婚姻直前にも拘わらず、すっかり冷えた関係。いまでは王太子は堂々と愛人を侍らせていた。
愛人を側妃として置きたいと切望する、だがそれは継承権に抵触する事だと王に叱責され叶わない。
絶望した彼は「いっそのこと市井に下ってしまおうか」と思い悩む……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる