彼女を妃にした理由

つくも茄子

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本編

17.エピローグ

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 ファブラ王国を繁栄に導いたと名高いラミロ国王。
 彼の最初の正妃はカルーニャ王国のエルビラ王女とされている。
 もっともこの婚姻は無効となっている。その背景にはエルビラ王女が祖国より連れて来た侍女を後宮に迎えた為であったが、侍女が皇子を産んだ際に本来の出自が公表された。

 エルビラ王女の腹違いの姉、ペトロニラ王女。
 彼女は祖国において、生母の身分が低いために周囲から軽んじられていた。家族からさえ疎まれ、生母が亡くなると下女にも等しい扱いをされてきた。そんなペトロニラ王女に同情する者は国民にすらいなかった。
 異母妹の侍女として付き従ったのはそういった境遇だからである。

 劣り腹であるとはいえ、王女であることに間違いはない。
 更に、ペトロニラ王女は失われた「虹色の目」の持ち主であると判明すると、各国は挙って王女の扱いに憤慨した。それはカルーニャ王国の屋台骨を揺るがした。

 ラミロ国王はカルーニャ王国に、「エルビラ王女との婚姻の無効」と「ペトロニラ王女との婚姻」という二つを提示した。
 それを受けたカルーニャ王国は真摯に検討した。とはいえ、検討する余地など与えられる訳もなく、カルーニャ王国は粛々と命令に従った。

 カルーニャ王国は、公国と名を変え、国として再出発する。

 ラミロ国王は正式にペトロニラ王女と結婚。
 彼女を正妃の地位に就けた。
 王には後宮に側妃が多数いたものの、正妃をこよなく愛し、最終的に後宮を廃した。
 正妃は、ラミロ国王が唯一、心を許した女性である。

 謙虚で賢い正妃は、王を陰から支えた。
 ラミロ国王は、正妃の助言によく従い、政治に反映させたという。

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