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第65話外交問題~護衛騎士side~
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喜怒哀楽が激しいユリウス陛下が憔悴しきっていた。
やはり大使の言葉がショックだったのだろうか。
あれだけハッキリと言われたらな……。
王国の大臣達に言われるよりも他所の国の政治家に言われた方が感じるものがあるのかもしれない。
『我が帝国だけではありません。ユリウス国王の評判は最悪です』
『今日の夜会の意味を御存知ないようだ』
『ユリウス国王、貴男が説教と言う名の無礼な物言いをした相手は小国とはいえ、一国の王女です。それを理解していないのですか?は?飢饉で苦しんでいる国民がいるのに贅沢をしている愚か者?それは誰の事を仰っているのですか?まさか王女殿下の事を指しているのではありますまい。かの王女殿下は飢饉と疫病対策のために我が帝国に助けを求めに来たのですぞ?』
『なるほど、ユリウス国王は着飾った王女に文句があると言う訳ですな。しかし……一国の王女が貧相な姿で夜会に出席するのは如何なものかと……。よろしいですか、例え救済を訴えに来たとしても装う事をしないのは失礼に値する行為ですぞ。着飾る事はある意味で相手に対する礼でもあるのです。それを理解できない、は……。なるほどユリウス王らしい。かの王女は国を代表して来ているのです。分かりますか?つまり王女は国の顔でもあります。侮られる事なく隙を作ることなく、そして相手を安心させるためにも装いは重要。如何にも貧相な装いで乞われたところで信用度はガタ落ちなのですぞ』
正論だった。
流石のユリウス陛下も反論が出来なかったようだ。
そして俺は気付いた。
ユリウス陛下の衣装などは以前と比べてグレードが落ちてしまっている事を。国の経済状況が悪い事は解っている。そのため、陛下自身が倹約し出費は控える方針に切り替えた。俺のような貴族の末端からすると立派な王様だと思う。だけど、国王ともあろう方が貧相にも程が有る。自国にいればそうは思わなかっただろう。だが、帝国に、しかも夜会に出席するにはあまりにも貧相だ。勿論、男は女と違って衣装や宝飾で着飾らないから良いが。
それでもな……。
帝国の大臣達から「貧乏臭い王」と言われた気がする。
しかも……。
『ところで、貴国はダイヤモンド輸出国。何故、ユリウス国王は自国のダイヤモンドを身に付けていないのですかな?自国の特産品を売り込むのも外交の一つでしょうに』
この言葉がダメ押しだった。もう、ダメダメだ。呆然と立ち尽くすユリウス陛下に大臣達からは「だからお前は駄目なんだ」と遠回しに非難された。
反論する余地すら与えないくらいグゥの根も出ないくらいのド正論と嫌味攻撃。
俺は途中で見ていられなくなったくらいだ。
やはり大使の言葉がショックだったのだろうか。
あれだけハッキリと言われたらな……。
王国の大臣達に言われるよりも他所の国の政治家に言われた方が感じるものがあるのかもしれない。
『我が帝国だけではありません。ユリウス国王の評判は最悪です』
『今日の夜会の意味を御存知ないようだ』
『ユリウス国王、貴男が説教と言う名の無礼な物言いをした相手は小国とはいえ、一国の王女です。それを理解していないのですか?は?飢饉で苦しんでいる国民がいるのに贅沢をしている愚か者?それは誰の事を仰っているのですか?まさか王女殿下の事を指しているのではありますまい。かの王女殿下は飢饉と疫病対策のために我が帝国に助けを求めに来たのですぞ?』
『なるほど、ユリウス国王は着飾った王女に文句があると言う訳ですな。しかし……一国の王女が貧相な姿で夜会に出席するのは如何なものかと……。よろしいですか、例え救済を訴えに来たとしても装う事をしないのは失礼に値する行為ですぞ。着飾る事はある意味で相手に対する礼でもあるのです。それを理解できない、は……。なるほどユリウス王らしい。かの王女は国を代表して来ているのです。分かりますか?つまり王女は国の顔でもあります。侮られる事なく隙を作ることなく、そして相手を安心させるためにも装いは重要。如何にも貧相な装いで乞われたところで信用度はガタ落ちなのですぞ』
正論だった。
流石のユリウス陛下も反論が出来なかったようだ。
そして俺は気付いた。
ユリウス陛下の衣装などは以前と比べてグレードが落ちてしまっている事を。国の経済状況が悪い事は解っている。そのため、陛下自身が倹約し出費は控える方針に切り替えた。俺のような貴族の末端からすると立派な王様だと思う。だけど、国王ともあろう方が貧相にも程が有る。自国にいればそうは思わなかっただろう。だが、帝国に、しかも夜会に出席するにはあまりにも貧相だ。勿論、男は女と違って衣装や宝飾で着飾らないから良いが。
それでもな……。
帝国の大臣達から「貧乏臭い王」と言われた気がする。
しかも……。
『ところで、貴国はダイヤモンド輸出国。何故、ユリウス国王は自国のダイヤモンドを身に付けていないのですかな?自国の特産品を売り込むのも外交の一つでしょうに』
この言葉がダメ押しだった。もう、ダメダメだ。呆然と立ち尽くすユリウス陛下に大臣達からは「だからお前は駄目なんだ」と遠回しに非難された。
反論する余地すら与えないくらいグゥの根も出ないくらいのド正論と嫌味攻撃。
俺は途中で見ていられなくなったくらいだ。
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