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第50話新たな王~文官side~
しおりを挟む「――――以上が今回の報告になります」
「契約の見直しか……」
「はい。残念ではありますが、これ以上の継続は厳しいと判断されました」
「そうか……」
「申し訳ありません」
「いや、お前の判断は正しい。謝る必要はない」
「ありがとうございます」
各国は我が国との取引の見直しを始めた。
古い契約は悉く破棄された。
勿論、残される契約もある。
自国の利益となるものと判断されれば当然それらは残される。
もっともソレがこの国の利益になるかどうかは別としてだが。
打ち切られた契約はシャイン公爵家の存在がなければ成立しなかったものばかりだ。
若手の文官達はそういった諸々の事を知らなかった。
そのせいで外交戦略に突如支障をきたして仰天する他なかった。戦略を立て直す事も出来ずに、我が国は大打撃を受けた。
「新しい契約を結べないか?」
「難しいと思われます」
「そうか……」
「はい。一度失った信頼を取り戻すのは難しいかと」
「…………」
それもそうだろう。
過去の契約あっての現在だ。
その契約が無ければ、この国を訪れる者は皆無だったに違いない。
ベテランの文官や大臣達はその事を良く理解していた。だからこそ、その損失の大きさに打ちひしがれているのだ。
「今後の方針は?」
「取り敢えず、新たな契約を結ぶ事が最優先です。それと外交に携わる者達の再教育が必要でしょう」
「確かに……」
今更ながらシャイン公爵家の凄さを実感した。
彼等が居なければ、この国は他国から見放されていただろう。
新たな契約を結ぶのは口にしている以上に難しいだろう。だがそれでもやらなければならない。
この国を存続させるために。
「取り敢えず、今は目の前の仕事に集中しよう。それでいいな?」
「はい。私も出来る限り協力させて頂きます」
「頼むぞ」
「はっ!」
新たな王の治世は始まったばかりだ。
これから先、この国は益々苦境に立たされる事になるだろう。
暗雲が立ち込める中、我々は立ち止まる事は許されない。
我々に求められるのはこの国の未来だ。その為にも、まずは目先の問題を解決しなければならない。
「――さぁ、仕事を始めるとしよう」
私達の戦いはまだ始まったばかりだ。
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