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5.議会3
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パチパチパチパチ。
静まり返った会場で拍手が鳴り響き、一人の青年が口を開きました。
「ラヌルフ公爵がレーモン王太子を支持しないとの意思表示をなさるのであれば、我がギレム公爵も同様に支持するのを辞めよう。ラヌルフ公爵が言ったように王家の血を引く者は他にもいる。相応しくない者を何時までも王太子位に居させるべきではない。私は王太子の廃嫡を求める」
「「「「「なっ!?」」」」」
衝撃発言の第二弾が飛び出して参りましたわ。
年若い青年の名前は、ティエリー・ギレム公爵。
三大公爵家の一つ、ギレム公爵家の若き当主。
一年ほど前に代替わりしたギレム公爵家。
先代の公爵はアリア王妃を認めていなかったそうですが、現公爵であるティエリー様も……?
「お、お待ち下さい! ギレム公爵までそのような発言をなされるなど……。廃嫡は些か暴論ですぞ!どうかお控え下さい」
「ご安心召されよ。廃嫡せよと言っているのではない。王太子にはもっと相応しい資質を持つ者を迎えるべきであると言つているのだ」
「し、しかし王太子殿下は……」
「国王陛下の唯一人の御子だ。しかし王族の血を引く貴族は他にもいるではないか。勿論、私もその一人だ。まあ、それを言うのなら侯爵以上の家柄は大抵王家の血を引いている。男女問わずな」
ティエリー様はしたり顔で仰います。
そして自ら調べられたご様子でした。
国王の血を濃く受け継いでいる貴族が他にもいるということを。
その方達はギレム公爵や私の家程ではありませんが、それなりの爵位を持っていらっしゃる御家ばかりですから、確かにその血を引いていて当然というものですわ。
「そういえば、この場には王妃以外の全員が王族の血を引いていた。我が国は女子に王位継承権はない。しかし婿に入った王族の男にはある。丁度、ここにも数名いるしな。何なら名乗り出てもよいのではないか」
挑発的な口調でティエリー様は他の家の方々を挑発されていらっしゃいます。
レーモン王太子よりも血筋の良い男子が王位に就くべきだと宣言したも同然ですわ。三大公爵と言えば、国の最大貴族。
公爵家として最古参に当たるギレム公爵家の発言力は昔から強いと聞きます。そして代々のギレム公爵家の当主は血統主義。特に三大公爵家を蔑ろにする者は許さないという一面をお持ちでしたわ。
「……言葉が過ぎますぞ、ギレム公爵殿」
「何、誤解のないように補足しただけだ。家の誇りを傷付けるような発言はしてはいないだろう?」
ティエリー様の隣に座っている高齢男性が苦虫を噛み潰したような顔で仰ったのに対して、ティエリー様は鼻で笑って仰いました。
「王太子としての義務も自覚もない男に国王など務まる筈がない。それとも何か?貴公は優秀なアリエノール嬢を正妃として酷使しようと考えているのか?世継ぎの王子を産むのは側妃にして正妃を公務に専念させて使い潰そうと?」
「そ、そのようなことは断じてない!」
ティエリー様に凄まれてはさすがの高齢男性も慌てて反論します。
「そうですか?先ほどから皆はアリエノール嬢を妃にと言っても王太子に再教育を促す気配は微塵も感じられませんでした。まるでアリエノール嬢を正妃にしたら何も問題はないと言わんばかりだ。まあ、アリエノール嬢は国内外に知れ渡った才女。王太子とは比べものになりませんから分からなくもないですがねぇ?」
会場中がしん、と静まり返った後ざわめき出しました。あまりにも的を射ていて一瞬皆が納得したような顔になったからです。
ええ、ティエリー様はマイペースに見せていますがなかなかの曲者ですわね。さすが、ギレム公爵と言うべきでしょうか(褒めていませんわよ)。
ティエリー様とは面識はありませんが、ご実家のギレム公爵家が勇猛なことで知られていることと関係しているのでしょうか?好戦的と言いますか、回りくどいことをして相手を罠に陥れる感じですわ。
「何か言い分のある者はおられないのか?どうぞ発言してください」
煽っておられますわ。
まぁ当然ですわね。
元々ギレム公爵家はレーモン王子の王太子位に反対表明していましたもの。今回の件でラヌルフ公爵家まで反王太子派に周ったとなれば、殿下がすんなり王位を得る事は難しくなりましたわ。国家の三本柱の二本が反王太子を掲げた訳ですから。
以前から噂にはなっていたのです。
王太子殿下は学園内で意中の女性を見つけられた、と――
私と殿下は四歳違い。
大人の四歳とは違い、子供の四歳差は大きいものです。
それでも流石に殿下が選ばれたお相手の女性が平民であった事は驚かされましたが……。
静まり返った会場で拍手が鳴り響き、一人の青年が口を開きました。
「ラヌルフ公爵がレーモン王太子を支持しないとの意思表示をなさるのであれば、我がギレム公爵も同様に支持するのを辞めよう。ラヌルフ公爵が言ったように王家の血を引く者は他にもいる。相応しくない者を何時までも王太子位に居させるべきではない。私は王太子の廃嫡を求める」
「「「「「なっ!?」」」」」
衝撃発言の第二弾が飛び出して参りましたわ。
年若い青年の名前は、ティエリー・ギレム公爵。
三大公爵家の一つ、ギレム公爵家の若き当主。
一年ほど前に代替わりしたギレム公爵家。
先代の公爵はアリア王妃を認めていなかったそうですが、現公爵であるティエリー様も……?
「お、お待ち下さい! ギレム公爵までそのような発言をなされるなど……。廃嫡は些か暴論ですぞ!どうかお控え下さい」
「ご安心召されよ。廃嫡せよと言っているのではない。王太子にはもっと相応しい資質を持つ者を迎えるべきであると言つているのだ」
「し、しかし王太子殿下は……」
「国王陛下の唯一人の御子だ。しかし王族の血を引く貴族は他にもいるではないか。勿論、私もその一人だ。まあ、それを言うのなら侯爵以上の家柄は大抵王家の血を引いている。男女問わずな」
ティエリー様はしたり顔で仰います。
そして自ら調べられたご様子でした。
国王の血を濃く受け継いでいる貴族が他にもいるということを。
その方達はギレム公爵や私の家程ではありませんが、それなりの爵位を持っていらっしゃる御家ばかりですから、確かにその血を引いていて当然というものですわ。
「そういえば、この場には王妃以外の全員が王族の血を引いていた。我が国は女子に王位継承権はない。しかし婿に入った王族の男にはある。丁度、ここにも数名いるしな。何なら名乗り出てもよいのではないか」
挑発的な口調でティエリー様は他の家の方々を挑発されていらっしゃいます。
レーモン王太子よりも血筋の良い男子が王位に就くべきだと宣言したも同然ですわ。三大公爵と言えば、国の最大貴族。
公爵家として最古参に当たるギレム公爵家の発言力は昔から強いと聞きます。そして代々のギレム公爵家の当主は血統主義。特に三大公爵家を蔑ろにする者は許さないという一面をお持ちでしたわ。
「……言葉が過ぎますぞ、ギレム公爵殿」
「何、誤解のないように補足しただけだ。家の誇りを傷付けるような発言はしてはいないだろう?」
ティエリー様の隣に座っている高齢男性が苦虫を噛み潰したような顔で仰ったのに対して、ティエリー様は鼻で笑って仰いました。
「王太子としての義務も自覚もない男に国王など務まる筈がない。それとも何か?貴公は優秀なアリエノール嬢を正妃として酷使しようと考えているのか?世継ぎの王子を産むのは側妃にして正妃を公務に専念させて使い潰そうと?」
「そ、そのようなことは断じてない!」
ティエリー様に凄まれてはさすがの高齢男性も慌てて反論します。
「そうですか?先ほどから皆はアリエノール嬢を妃にと言っても王太子に再教育を促す気配は微塵も感じられませんでした。まるでアリエノール嬢を正妃にしたら何も問題はないと言わんばかりだ。まあ、アリエノール嬢は国内外に知れ渡った才女。王太子とは比べものになりませんから分からなくもないですがねぇ?」
会場中がしん、と静まり返った後ざわめき出しました。あまりにも的を射ていて一瞬皆が納得したような顔になったからです。
ええ、ティエリー様はマイペースに見せていますがなかなかの曲者ですわね。さすが、ギレム公爵と言うべきでしょうか(褒めていませんわよ)。
ティエリー様とは面識はありませんが、ご実家のギレム公爵家が勇猛なことで知られていることと関係しているのでしょうか?好戦的と言いますか、回りくどいことをして相手を罠に陥れる感じですわ。
「何か言い分のある者はおられないのか?どうぞ発言してください」
煽っておられますわ。
まぁ当然ですわね。
元々ギレム公爵家はレーモン王子の王太子位に反対表明していましたもの。今回の件でラヌルフ公爵家まで反王太子派に周ったとなれば、殿下がすんなり王位を得る事は難しくなりましたわ。国家の三本柱の二本が反王太子を掲げた訳ですから。
以前から噂にはなっていたのです。
王太子殿下は学園内で意中の女性を見つけられた、と――
私と殿下は四歳違い。
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