【完結】「めでたし めでたし」から始まる物語

つくも茄子

文字の大きさ
5 / 67

5.議会3

しおりを挟む
 パチパチパチパチ。
 静まり返った会場で拍手が鳴り響き、一人の青年が口を開きました。

「ラヌルフ公爵がレーモン王太子を支持しないとの意思表示をなさるのであれば、我がギレム公爵も同様に支持するのを辞めよう。ラヌルフ公爵が言ったように王家の血を引く者は他にもいる。相応しくない者を何時までも王太子位に居させるべきではない。私は王太子の廃嫡を求める」

「「「「「なっ!?」」」」」

 衝撃発言の第二弾が飛び出して参りましたわ。
 年若い青年の名前は、ティエリー・ギレム公爵。
 三大公爵家の一つ、ギレム公爵家の若き当主。

 一年ほど前に代替わりしたギレム公爵家。
 先代の公爵はアリア王妃を認めていなかったそうですが、現公爵であるティエリー様も……?

「お、お待ち下さい! ギレム公爵までそのような発言をなされるなど……。廃嫡は些か暴論ですぞ!どうかお控え下さい」

「ご安心召されよ。廃嫡せよと言っているのではない。王太子にはもっと相応しい資質を持つ者を迎えるべきであると言つているのだ」

「し、しかし王太子殿下は……」

「国王陛下の唯一人の御子だ。しかし王族の血を引く貴族は他にもいるではないか。勿論、私もその一人だ。まあ、それを言うのなら侯爵以上の家柄は大抵王家の血を引いている。男女問わずな」

 ティエリー様はしたり顔で仰います。
 そして自ら調べられたご様子でした。
 国王の血を濃く受け継いでいる貴族が他にもいるということを。
 その方達はギレム公爵や私の家程ではありませんが、それなりの爵位を持っていらっしゃる御家ばかりですから、確かにその血を引いていて当然というものですわ。

「そういえば、この場には王妃以外の全員が王族の血を引いていた。我が国は女子に王位継承権はない。しかし婿に入った王族の男にはある。丁度、ここにも数名いるしな。何なら名乗り出てもよいのではないか」

 挑発的な口調でティエリー様は他の家の方々を挑発されていらっしゃいます。
 レーモン王太子よりも血筋の良い男子が王位に就くべきだと宣言したも同然ですわ。三大公爵と言えば、国の最大貴族。
 公爵家として最古参に当たるギレム公爵家の発言力は昔から強いと聞きます。そして代々のギレム公爵家の当主は血統主義。特に三大公爵家を蔑ろにする者は許さないという一面をお持ちでしたわ。

「……言葉が過ぎますぞ、ギレム公爵殿」

「何、誤解のないように補足しただけだ。家の誇りを傷付けるような発言はしてはいないだろう?」

 ティエリー様の隣に座っている高齢男性が苦虫を噛み潰したような顔で仰ったのに対して、ティエリー様は鼻で笑って仰いました。

「王太子としての義務も自覚もない男に国王など務まる筈がない。それとも何か?貴公は優秀なアリエノール嬢を正妃として酷使しようと考えているのか?世継ぎの王子を産むのは側妃にして正妃を公務に専念させて使い潰そうと?」

「そ、そのようなことは断じてない!」

 ティエリー様に凄まれてはさすがの高齢男性も慌てて反論します。

「そうですか?先ほどから皆はアリエノール嬢を妃にと言っても王太子に再教育を促す気配は微塵も感じられませんでした。まるでアリエノール嬢を正妃にしたら何も問題はないと言わんばかりだ。まあ、アリエノール嬢は国内外に知れ渡った才女。王太子とは比べものになりませんから分からなくもないですがねぇ?」

 会場中がしん、と静まり返った後ざわめき出しました。あまりにも的を射ていて一瞬皆が納得したような顔になったからです。
 ええ、ティエリー様はマイペースに見せていますがなかなかの曲者ですわね。さすが、ギレム公爵と言うべきでしょうか(褒めていませんわよ)。
 ティエリー様とは面識はありませんが、ご実家のギレム公爵家が勇猛なことで知られていることと関係しているのでしょうか?好戦的と言いますか、回りくどいことをして相手を罠に陥れる感じですわ。

「何か言い分のある者はおられないのか?どうぞ発言してください」

 煽っておられますわ。
 まぁ当然ですわね。
 元々ギレム公爵家はレーモン王子の王太子位に反対表明していましたもの。今回の件でラヌルフ公爵家まで反王太子派に周ったとなれば、殿下がすんなり王位を得る事は難しくなりましたわ。国家の三本柱の二本が反王太子を掲げた訳ですから。



 以前から噂にはなっていたのです。
 王太子殿下は学園内で意中の女性を見つけられた、と――

 私と殿下は四歳違い。
 大人の四歳とは違い、子供の四歳差は大きいものです。
 それでも流石に殿下が選ばれたお相手の女性が平民であった事は驚かされましたが……。


しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

あなたが捨てた花冠と后の愛

小鳥遊 れいら
恋愛
幼き頃から皇后になるために育てられた公爵令嬢のリリィは婚約者であるレオナルド皇太子と相思相愛であった。 順調に愛を育み合った2人は結婚したが、なかなか子宝に恵まれなかった。。。 そんなある日、隣国から王女であるルチア様が側妃として嫁いでくることを相談なしに伝えられる。 リリィは強引に話をしてくるレオナルドに嫌悪感を抱くようになる。追い打ちをかけるような出来事が起き、愛ではなく未来の皇后として国を守っていくことに自分の人生をかけることをしていく。 そのためにリリィが取った行動とは何なのか。 リリィの心が離れてしまったレオナルドはどうしていくのか。 2人の未来はいかに···

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

処理中です...