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ブラックアウト ( 最終章 )
【 3 】 閃光少女
しおりを挟む素直な気持ちで 、
彼と… 、ケンと求め合えたら 、
どんなに気持ちいいだろう、と思う。
どんなに楽しいだろう… 、とか 。
だけど 、
そこにいくまでが大変なんだ。
この環境も 、この状況も 、
この気持ちも … 。
一筋縄じゃ、いかない 。
アタシは ケンを壊したくないから、
だから 、
ケンが描くアタシとの未来を 、
アタシは静かに、消していく 。
他の誰かと、
幸せになってほしいから 。
アタシは 、普通じゃないから 。
普通な人と 、幸せになればいい 。
だから 、今 こうして 、
好きにならないように してる 。……
アタシが シドよりも 、
ケン を 好きになってしまったら 、
アタシが ここにいる意味は無くなる。
…ー 手にしていた携帯電話が、鳴る。
ぼんやりとした目で、
携帯電話の画面を見ると、
ケンからの電話だった 。
通話ボタンに親指をのせる 。
のせたけど… 、押せなかった 。
彼の声を聞いたら 、
アタシは… どうなってしまうんだろう。
怖い…
怖いんだ 。
彼を好きになる フラグ を 、
アタシは、ずっと前から感じてた。
それを 、無視出来たのに 。
回避できたはずなのに … 。
恋愛感情の引力 って 、
こんなに 逆らえないもんなのかよ。
携帯電話を、放り投げる 。
昨夜 、アタシが抱いた 、
よく知らない男の部屋で 、
天井を見上げ、シミを眺める… 。
すぐ目の前まできていた 、
" 人並みな人生 " を 、
" 人並み以上かもしれない人生 " を 、
アタシは 見なかった事にしよう 。
その光には 、手を伸ばさない 。
伸ばしかけた手を、
引っ込めよう 。
アタシが ケンを幸せにしたくても 、
彼を傷つけない保障は無い 。
傷つけたくないし、壊したくないから、
アタシは… 目の前の光に背を向けよう。
白 が 、黒く 滲み… 染まったら 、
もうその黒は、 白には戻らない 。
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