番外編 ダークサイド

ブラックアウト ( 最終章 )

【 １ 】 閃光少女

       コウジ と 、セックス した 。


       一人暮らしの、彼の部屋で 。


       
       なんて事はない 。



       可もなく不可も、なく 。




「 鍵 … 、ここに、置いときます。」


窓からの朝陽を浴びながら、

コウジはテーブルの上に、

部屋のスペアキーを ｺﾄﾝｯ と置いた。


「…… あぁ～ 、うん… 」


ベッドで寝ているアタシは、

二日酔いがひど過ぎて、

そっちを向けない 。


「 お金も… 、少しだけど… 」


財布をいじる音が、

背後から聞こえた 。


アタシは起きていたけど、

目を閉じたまま、

寝てるフリをした 。……


コウジが 、「 行ってきます。」と、

返事をしないアタシに向かって、

寂しそうに言ってから、


玄関のドアを閉め、仕事に行った。


閉まるドアの音を聞いて 、

神経を研ぎ澄まし、

人の気配を感じない事を確認してから、


アタシは起きて、ベッドから降りた。


明るい部屋を見渡す 。


なんて事はない 、普通の部屋 。


テーブル の 上には、

一万円札が ２枚 、置いてあった 。



「 ふっ…、何の金だよ？ 売春婦かよ 」



頭が痛い… 、気持ち悪い… 。


昨夜は、浴びるように飲み過ぎた 。


昨夜は 、


この細い体に 、

注ぎ込み過ぎた酒の量のせいで、


ヤッてる最中に、

体の大きなコウジが揺れる度に 、

その 大きな体の重みと、揺れで 、


正直… 何度か吐きそうになった 。



「 あぁ～… 、無理 。吐くか 。」



よく知らない男の部屋のトイレで、

自分の指を、

自分の口の中に突っ込み 、


思いきり水分を吐き出す 。


慣れている作業に、何とも思わない。




       こんな生活を 、アタシは… 、



   １９歳になった ２月２４日から、




    もう… ７ヶ月も やり過ごしてる 。




" 私 " は 、相変わらず 、


この現実世界に出たがらない 。


臆病者は 、


好き放題に この身体を使うアタシを、


絶望的な顔で、見守っている 。



あの 、

美咲とチバちゃんが死んだ事を 、

ニュースの報道越しに知った朝だけ、


何故か勝手に 出てきたみたいだけど。




       出てきたところで 、



       あんたに 何が出来るんだよ ？