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成れの果て
【 4 】 温度差
しおりを挟む「 あっつ!!」
動揺し過ぎて 、
フーフーしないで飲んじゃったよ。
猫舌なアタシは 、
まだ熱くて飲めてない 、
同類に猫舌なケンを見つめる 。
「 ………… 」 実家、つった? 今 。
お互い無言なまま 、
コーヒーカップを握りしめて 、
始めの一口に悪戦苦闘していた 。
何で実家 … ?
初めてセックスした後に 、
急に実家連れてくんだ … 。
急速に、心開いてきたな 。
始めから 、開いてたのかな… ?
わからん 。
「 …… 朝獲れ活イカ 。」
ケンの一言に 、笑ってしまった 。
「 えっ? 何 ?」
何の話をしてるんだ? この子は 。
「 美味しいんだ 。今が旬 。」
ケンはそう言ってから 、
ようやくコーヒーを一口飲んだ 。
ホッとしたようで、
幸せそうなため息を吐いた 。
「 ふぅ~ん… 」
まともなものを食べていない 、
痩せ細ったアタシには 、
あまり興味のない話だった 。
「 噛まないやつがいい ?」
「 えっ?」
「 アンジュちゃん 、今 、
あまり食べるの好きじゃないでしょ」
「 あっ、うん… 、
噛むのが、面倒くさくて 。」
アタシの気持ちを理解してくれて、
素直に 嬉しい と思った 。
「 じゃあ、ウニだなっ!
ウニ食べさせてあげるよ♪
プリンみたいに食べやすいよ♪」
どうしても、彼は、
実家にアタシを、
連れていきたいらしい。
「 … わかった、よ 。」
特に、断る理由も無いし 。
「 わぁーいっ!
ちょっと待ってて♪」
彼はそう言うと 、
自分の携帯電話から、
どこかに電話を掛け始めた 。
「 …… もしもし? あっ、母ちゃん?
父ちゃん帰ってきてるだろ?
…… うん、今から帰るんだけどさ。」
実家に、電話してるのか… 。
他人事のように 、
アタシは少しずつコーヒーをすすり、
彼の話す声を聞いていた 。
「 今から 、彼女 連れてくから 。」
「 ぶっっ… ! 」
危うく、コーヒーを吹き出しかける。
「 彼女 ?!」
アタシはケンを見て、
自分に指を差す 。
ケンはニコニコしながら 、
何度も頷いてみせて 、
アタシに指を差す 。
えっ…? いつから付き合った?
セックスしたから ?
したから、彼女になったのか?
状況が飲み込めないまま、
軽いめまいに襲われる 。
ケンは 純粋だから 、
自然と… そういう流れに、
なったのかもしれない。
待って 、一夜限りの… とか 、
彼の頭の中には無いのかな … ?
「 あははははっ!…… うん 、
そんなに、はりきらなくていいよ。
いい子だよ。紹介するから 。
ウニ 、用意してあげて 。
彼女 、少食な子だから 、
あんまり無理に勧めないでね(笑) 」
しばらく母親と楽しそうに話した後、
彼は電話を切り 、
くるりとアタシの方を向いた 。
「 付き合ってるの? アタシ達 。」
ビックリした顔で、アタシは聞いた。
「 付き合ってないの? 俺達 。」
ビックリした顔で、彼が聞いてくる。
「 いやっ……、」
なんて言えば… いいのでしょうか?
「 俺は 、ちゃんと 、
付き合ってください!
って言ったよ? …… あっ、そっか!
まだ、アンジュちゃんから、
ちゃんと返事もらってなかった!
でも… 、ほらっ、したから、さ… 、
あれが良い返事かと思って… 」
彼は真顔になり、考え込む 。
「 返事 …… 」アタシは困惑する 。
「 彼女連れてく! って、
母ちゃんに言っちゃった俺!(笑)
どうしよう… 、ごめんね、何か 。
電話掛け直して、断ろっか?」
彼はそう言って、笑ってくれたけど、
申し訳ないぐらい哀しい顔をしてる。
胸が 、痛い … 。
普段 、こんな感情にはならないのに。
今 、すごく… 、胸が痛い 。
「 … いやっ、大丈夫 。
行こう 。彼女で、いいよ 。」
アタシは今 、どんな顔してんだろ?
なぁ? 美咲 …… 、
これで 、いいんだよな
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