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浮き足立ち
【 7 】 差し伸べる手
しおりを挟む感情的になって去っていく、
シンジの後ろ姿を眺めていたら、
アタシのすぐ隣にいる男の子が、
肩を軽く叩いてきた 。
「 アン…… 、あっ… 、
あんな奴と付き合っちゃダメだよ、
姉ちゃん!」
男の子は、
無垢な笑みを浮かべている。
「 あっ、もう… 、弟のふり、
しなくて大丈夫だから 。」
アタシは髪をかき上げながら、
気まずい顔をする 。
「 そっか、なら良かった!」
ずっとニコニコしているその子は、
アタシに何か言いたげだった 。
「 …… ? じゃあ 。」
アタシは首をかしげ 、
バッグを肩に掛けて 、
背中を向けて歩き出す 。
仕方なく、VIPルームの方に 。
美咲は、そろそろ… 、
事が終わったんだろうか… ?
まだヤッてたら 、
あの人見知り野郎と何を話そう?
つまんない、最悪な夜だな … 。
「 バイバーイッ♪」
背後から、明るい声が聞こえて、
アタシは振り返る 。
天使の笑顔で、
彼は片手を大きく振っていた 。
アタシはまた、首をかしげてから、
前を向いて歩き出す 。
「 …… 変な子 。助けてくれたけど」
小さく、クスッと笑った 。
その笑顔は 、長い前髪で隠して、
誰にも見せなかったけど 。
…… VIPルームのカーテンを、
少しだけ開けて、中を覗く 。
美咲 が 、いない 。
カウンターの方を見ても、
見当たらない 。
アタシは、
トイレから向かってきたから、
トイレ ではない事は 確かだ 。
勢いよく、
カーテンをシャッ!と開けて、
饒舌野郎の目の前まで歩いていく。
座っている男は、
腰に手をあてて、
見下ろしているアタシの顔を、
少し躊躇しながら、見上げた 。
たぶん、きっと、
アタシの表情は、
今 、怖い顔なんだろう…。
「 美咲は ? 」
低い声で、アタシは男に聞いた。
「 …… なんか、
彼女の携帯が鳴って、
慌てて出てったけど… 」
テーブルの上には 、
万札が3枚、
置き去りのままだった。
アタシは、
それを勢いよく手に取る。
「 あっ……」男は手を伸ばす。
「 大丈夫 。
ちゃんと美咲に渡すから 。
やる事やったんだろ?
例え、途中まででも 。」
男に有無も言わせぬ早口で 、
アタシは冷たく言い放った 。
何も言い返せない男に向かって、
「 じゃあ 」
と言って、アタシは足早に 、
VIPルームを出ようとする。
「 あっ、待って… 」
横から、
コウジがアタシを呼び止めた。
「 何 ?」
苛立った顔で、アタシは彼を見る。
「 連絡先… 、あの… 」
小さい声で 、
無理に話そうとするコウジに、
アタシは冷めた目線そのままに、
「 今日は無理 。
つまんなかったから 。」
と、言い残して 、
カーテンをすり抜けて、立ち去った 。
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