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白夜夢
【 10 】 はりぼて
しおりを挟む美咲から貰った 、
白い錠剤のおかげで 、
アタシは今 …… 、
すごく気持ちがいい 。
リュウジ との セックス が … 、
というより 、
薬のおかげで 、
眠気 と 覚醒 の 狭間にいられるから。
その 、
眠りそうで眠れない感覚が 、
ずっと続くからこそ 、
性感帯 が 、異常に敏感に感じる。
上手い具合に、
現実から抜け出せる …… 。
現実逃避 の 、白い粒 。
好き … 、毎日 飲みたい…
「 あぁ……、 ん 、…… 」
騎乗位 で 、
一気に深く腰を下ろした瞬間 、
すごく大きな喘ぎ声が、
アタシの口から溢れた 。
さっきまで強気だった 、
鋭い眼力を向けていたアタシから、
あまりにも可愛らしい声が出て、
さっきまで 、
せつなそうに我慢していた 、
リュウジ の 顔 が 、
そんなアタシを 、
下から嬉しそうに、
見上げている 。
美咲は 、またバスタブに戻り、
体を温めながら 、
ニコニコ と 私達を眺めていた 。
腰を深く上下に動かす度に 、
薬の影響で 、感度が増していく…
ヤバい… 、ヤバいな …… 、
今夜のテキーラの量のせい… ?
いつもより、すごく気持ちいい
…… どうしよう …… ヤバい 、
イッ ちゃうかも、しれない…
「 ハァ… ハァ … いや、見ないで… 」
アタシが、らしくない事を口走る。
一瞬 、
" 私 " が 、出てきたかと思った 。
「 アンジュ … 可愛い … 。
そんな声も、出すんだ… 」
リュウジは、下から思いきり 、
アタシの中を突き上げてきた 。
その瞬間 、
アタシの背中は大きくのけ反る 。
彼の両腕が伸びてきて 、
アタシの胸を掴み、揉み始める 。
胸は 、感じない … 、小さいから。
なのに 、今夜は違う… おかしい 、
全てが、
逆らえないくらい気持ちいい … 。
「 やっ… 、気持ちいい… 」
何、この声… …
こんな可愛い 、か弱い声 、
出したくないのに ……
まるで 、" 私 " みたいだ… 。
「 イッちゃう … やっ… !」
「 うっ…… !」
アタシが、
イキそうになった瞬間 、
リュウジ が 先に射精した 。
危なかった …… 、
何が ? よく解らんけど 。
まるで、勝負に勝った感じ 。
私が 、セックスをする時に 、
自ら好んで騎乗位になるのは 、
男 を 上から見下ろせるから 。
征服感を感じられるから 。
「 ……ハァ … 気持ち良かった ?」
前髪をかき上げながら 、
アタシは彼を見下ろし、聞く 。
リュウジは、ぼんやりした顔で、
「 すげー、良かった… 」
と、言ってきた。
アタシは一瞬だけ微笑みで返し、
彼から跨がっていた足をどける 。
立ち上がり 、
無意識に首を左右に振り 、
コキコキッと鳴らす 。
暴走族に入っていた、若い頃… 、
Kー1選手なみに闘った後 、
ぼんやりと、
血だらけで倒れ込む敗者を、
しばらく見下ろし、
疲れ と 痛みを抜く為に 、
よく首を鳴らしていたっけ … 。
その癖 が 、いまだに抜けない。
セックス と 闘い が 重なる 。
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