番外編 ダークサイド

rosebeer

文字の大きさ
上 下
20 / 117
白夜夢

【 10 】 はりぼて

しおりを挟む


美咲から貰った 、

白い錠剤のおかげで 、




        アタシは今 …… 、


        すごく気持ちがいい 。




リュウジ との セックス が … 、


というより 、


薬のおかげで 、


眠気 と 覚醒 の 狭間にいられるから。


その 、

眠りそうで眠れない感覚が 、

ずっと続くからこそ 、


性感帯 が 、異常に敏感に感じる。



上手い具合に、

現実から抜け出せる …… 。




        現実逃避 の 、白い粒 。



        好き … 、毎日 飲みたい…





       「 あぁ……、 ん 、…… 」



騎乗位 で 、

一気に深く腰を下ろした瞬間 、


すごく大きな喘ぎ声が、

アタシの口から溢れた 。



さっきまで強気だった 、

鋭い眼力を向けていたアタシから、


あまりにも可愛らしい声が出て、


さっきまで 、
せつなそうに我慢していた 、
リュウジ の 顔 が 、


そんなアタシを 、

下から嬉しそうに、

見上げている 。



美咲は 、またバスタブに戻り、

体を温めながら 、

ニコニコ と 私達を眺めていた 。



腰を深く上下に動かす度に 、


薬の影響で 、感度が増していく…




        ヤバい… 、ヤバいな …… 、



     今夜のテキーラの量のせい… ?



      いつもより、すごく気持ちいい



      …… どうしよう …… ヤバい 、




      イッ ちゃうかも、しれない…





    「 ハァ… ハァ … いや、見ないで… 」




アタシが、らしくない事を口走る。


一瞬 、


" 私 " が 、出てきたかと思った 。




      「 アンジュ … 可愛い … 。



        そんな声も、出すんだ… 」




リュウジは、下から思いきり 、


アタシの中を突き上げてきた 。



その瞬間 、


アタシの背中は大きくのけ反る 。


彼の両腕が伸びてきて 、


アタシの胸を掴み、揉み始める 。



胸は 、感じない … 、小さいから。


なのに 、今夜は違う… おかしい 、


全てが、


逆らえないくらい気持ちいい … 。




      「 やっ… 、気持ちいい… 」



何、この声… … 


こんな可愛い 、か弱い声 、


出したくないのに …… 




       まるで 、" 私 " みたいだ… 。




      「 イッちゃう …  やっ… !」



      「 うっ…… !」






        アタシが、


        イキそうになった瞬間 、



        リュウジ が 先に射精した 。





        危なかった …… 、




        何が ? よく解らんけど 。





        まるで、勝負に勝った感じ 。




私が 、セックスをする時に 、


自ら好んで騎乗位になるのは 、



       男 を 上から見下ろせるから 。



       征服感を感じられるから 。




「 ……ハァ …  気持ち良かった ?」



前髪をかき上げながら 、

アタシは彼を見下ろし、聞く 。



リュウジは、ぼんやりした顔で、


「 すげー、良かった… 」


と、言ってきた。



アタシは一瞬だけ微笑みで返し、

彼から跨がっていた足をどける 。


立ち上がり 、

無意識に首を左右に振り 、

コキコキッと鳴らす 。



暴走族に入っていた、若い頃… 、


Kー1選手なみに闘った後 、


ぼんやりと、

血だらけで倒れ込む敗者を、
しばらく見下ろし、


疲れ と 痛みを抜く為に 、

よく首を鳴らしていたっけ … 。




      その癖 が 、いまだに抜けない。




      セックス と 闘い が 重なる 。













しおりを挟む

処理中です...