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マジックアワー
2. 薄明
しおりを挟む「 私は、先が短いの 」
粋さんの台詞が、私の胸を突いた。
「 えっ 」
それは、驚いたサムライも同じだった。
「 だから、あなた達が、
最後の来客になると思うわ 」
続けて話す粋さんは、そう言うと
握っていた私の両手を離した。
" どうして… ?" と、聞きたかった。
けれど、聞けない雰囲気だった。
「 私はね、若い頃に…
テレビ局から依頼がくるほどの、
霊感占い師 だったのよ 」
窓の外を眺めながら思い出す粋さんは、
そう伝えると、
当時を思い出したのか、
フッ… と、呆れたような照れ笑いを
顔に浮かべた。
「 そう、だったんですか?」
私は自然に、
テーブルの上にのせていた両手を、
膝の上に置く。
外から吹いてきた風が、
開放している入り口から流れ込んでくる。
「 まだ、あなた達が生まれる前… ?
テレビ局でのリハーサルの時にね、
台本を無視して、
私は 感じた事を全て相手に話したわ。
自分に嘘がつけなくてね。
… あなたと、同じよ 」
粋さんは、サムライの顔を見る。
サムライは、
黙って 粋さんの話を聞いていた。
「 そしたらね、やっぱり… そうね、
気持ち悪がられて。
急遽、放送は撮り止め 」
毎日飲んでいる、と言っていた
その辺の葉っぱで作ったお茶を、
粋さんは飲み込んだ。
「 そう、だったんですか… 」
私は何だか、悔しいような…
寂しい気持ちに 襲われていた。
「 人はね、真実を知りたがるの。
だけど、それは あくまでも興味本位で、
本当は、真実を知るのが怖い
そういう 生き物なのよ 」
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